ドリーム小説
そこはレスタ島から南へ、数十q離れた海の上
をはじめとした海軍本部の精鋭が北出身の海賊相手にこれから大暴れしようとしていたその頃、島から遠く離れた海に停泊する大きな船があった。白鯨を模した巨大な船。数多の息子を率いる船長が有する、モビーディック号
波は穏やか。空も青い。平和な海を、船の手すりから身を乗り出すようにして眺めているのはテンガロンハットを被ったそばかす顔の青年。通りかかったリーゼントの男に「エース。危ねぇぞ」と注意を受けるが彼の視線は水平線を向いたまま
「海に落ちても助けてやんねぇぞ」
「落ちねぇよ」
「そう言ってる奴が落っこちんだよ」
サッチに歯を見せてからかうように笑われ、エースは唇を尖らせる。エースの隣に立ち、サッチは手すりに背をもたらせて煙草に火をつけた。時間をかけて吸って、上を向いてふぅと細い煙を吐き出す
「いい加減、機嫌直せって」
「・・・」
「別にいいじゃねぇか。マルコが偵察役になったって」
「・・・」
「エース」
「わぁってるよ・・・」
「わかってる奴はそんな周りの奴に気遣わせるような顔しねえもんだ」
「・・・」
サッチの方が大人だ。そんなことはわかっている。今の自分が、偵察役になれなくて拗ねているだけの子どもだってことぐらいエース自身よくわかっている。けれど、若いエースはまだまだ精神的に未熟なのだ
「・・・いいな、マルコ」
「ん?」
「偵察とか・・・まじかっけぇ」
「ガキ。楽な仕事じゃねぇぜ」
海軍に見つからないように身を潜めて行動しながら情報を得るのはなかなかに面倒で難しい。その辺が分かっているのか。いや、わかっていないから憧ればかりが先行してしまうのだろう
「レスタ島だったか・・・。海軍本部が近いからな。さすがのマルコも苦戦してるかもな」
「俺も行きたかった・・・」
「ドアホ。すぐ暴れるわ喰いながら寝るわ行動が派手だわなお前なんか行ったら一発で見つかるっつーの」
「んなことねぇって」
「は。どーだかな」
どこまでも子ども扱いしてくるサッチにエースはブー垂れる。しかしどれも本当のことなのでぐぅの音も出ない
サッチは短くなった煙草をピッと指で弾き海に放り投げた。次の煙草を取り出そうと尻のポケットをがさがさと漁り、引き当てたのはクシャクシャになった一枚の手配書
「おー、こいつらだろ」
「・・・?」
「今マルコが偵察に行ってる奴らだよ。親父が言ってた次の標的」
「9,200万か・・・ぼちぼちだな」
億越えがうじゃうじゃひしめくグランドラインでは普通のレベルだ。驚くほどでもない
「おもしれぇ戦いができっかな」
「ま、相手次第だろうよ」
マルコも明日か明後日には戻ってくるから、報告を聞いてからだ。エースは高い空を仰ぎ、ハァとつまらなそうなため息をついた
「あー・・・、・・・暇」
「釣り勝負でもするか?勝った方が次の上陸んときの酒代持ち」
「遠慮する・・・サッチ強ぇんだもん」
乗ってこないエースにサッチは肩を上げて苦笑する。エースはまたため息をついて、手すりから体を起こしてグーッと背伸びをした
「暇だ・・・まじで・・・退屈で死ぬ」
「退屈、ね。退屈は神をも殺すってね」
「あ?」
「いいじゃねぇの。退屈だって、裏返せば自由に溢れてるってことよ」
「見ろ、この青く広い空を」とサッチは手すりに両肘をついて空を仰ぐ。エースも両手を腰において空を見上げた
「俺たちは自由だ」
まるで詩人のようにサッチは謡う。何処までも青く広がる空。眩しい太陽。入道雲の横を通り過ぎる鳥たち
「・・・自由・・・ねぇ」
いつの間にか自由の中にいすぎて感じなくなっていた
これは自分で選んだ道。自分で勝ち得た自由。自由に生きることが海賊の誇り
自分たちには当たり前。エースの呟きは、波の音に吸い込まれて消えていった
この空も海も、どこまでも青く、広く、美しい
この空の下にいる者も、この海の上にたゆたう者も、皆が等しく自由だ
act 2 : 退屈は神をも殺すか
「自由時間です」
積み荷の木箱に腰掛けて休んでいたのもとへ、傷だらけのレイダーが本部からの次の指示を持ってきた。敬礼する彼に、は「はぁ・・・」と生返事を返す
「自由時間・・・ですか」
「はい。本部のクザン大将からです」
「青雉さんから?」
「『嬢ちゃん、援軍ご苦労だったねぇ。お疲れさん。片付けは部下どもに任せて、久々の陸地、羽目外さない程度に休んでおいで』だそうです」
「・・・レイダーさん。是非今年の海軍本部大忘年会ものまね王座決定戦に出演してください」
似すぎていて正直感動しました(談)
それはそうと自由時間をもらえるのは嬉しいが、片付けを全部任せていいものか。将校にしては腰の低いはそれを気にする。だがのそんな性格もレイダーは予想済み
「お気遣いなく。後は我々にお任せください。大佐はむしろ作戦本部と船の周辺におられない方がよろしいかと」
「・・・」
「あまり他の将校殿と接触されたくないのでは?」
「・・・ん」
の表情が一変、片眉を下げて困ったような顔で笑う。自分の気持ちを理解してくれる有能な部下に感謝した
「ありがとうございます、レイダーさん」
「それには及びません」
レイダーは帽子の鍔をグッと下げて唇を上げて応えた。は積み荷から腰を上げてズボンの埃を払う
「それじゃ、お言葉に甘えて好きに過ごさせてもらいますね。・・・ところで自由時間っていつまでですか?」
「明日の夕方までです」
「・・・長」
「思った以上に島の被害が甚大でして、海賊の襲撃を受けた村の復旧と我々の軍艦の修復作業に時間がかかるそうで」
「はぁ・・・なるほど」
それはしかたがない。もちろんの乗ってきた軍艦だけは無事だったのだが(その辺が福招きの所以だ)。まさか他の船を置いて帰ることもできない。結局海軍はレスタ島に丸一日停泊することになったわけだ
港の方では兵士たちが船の修理にあくせく働いている。その近くに張られた簡易本部テントには白いコートを羽織った海軍の重鎮たちが煙草を吸ったり仮眠を取ったり各々のことをしている
が見つめているのに気付いたのだろう、その中の数人の将校が彼女に向かって睨みをきかせてきた
嫌悪、畏怖、嫉妬・・・。受けとったこちらが嬉しくなる感情は何一つない
「・・・」
「大佐。そろそろ自分も修復任務に戻りたいと思います」
「あ、はい。それじゃ、ちょっと出かけてきますね。レイダーさん、後よろしく。・・・あ、コートとジャケット、もうちょっとだけ預かっておいてください」
「了解しました。・・・・・・。大佐。差し出がましいようですがひとつだけご忠告をさせていただいても?」
「え?あ、・・・・・・・・・はい」
返事をしながらも、の顔は「だいたい予想はついている・・・」と引きつっていた。目深にかぶった帽子の奥で、レイダーの目がキュピーンと光る。それは説教体勢に入ったときの彼の目だ
「お酒の摂取量ですが。これはくれぐれも理性で留めておける範囲で」
「(やっぱり言われた、という顔)・・・・・・善処します」
「どうか明日の夕方、港にお戻りにならない大佐を探すために部下全員に淫行宿街を走り回らせるという荒行だけは避けていただきたい」
レイダーの目のキュピーンが3割増になったのを見て、は引きつった顔で笑うしかなかった
はぼんやりした風貌からは想像されにくいが、はっきり言って酒癖が悪い。それだけならまだしも、容姿の整った彼女に声をかけてくる男も多く、酒で思考力の低下した彼女は男の誘いにホイホイ乗ってしまう危険な性格をしているのだ。彼女を心配する部下からすればたまったもんじゃない
「・・・レイダーさん、だんだん毒舌っぷりに磨きがかかってきましたね」
「大佐についていると色々と学ぶことが多いもので」
「・・・なるべく気をつけます」
レイダーの冷たい微笑みに見送られ、は居心地悪そうに港を後に。弱いくせに好きな酒を飲みに酒場を探しては村をうろつくのだった
※エースは白ひげ海賊団の中では末っ子の方だと思うので、みんなにいじられ甘やかされてると思います
しかし話が進まない。マルコとが出逢わない(死)。そして貞操観念の低いヒロインで申し訳ない・・・
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