ドリーム小説
俺との出逢いが運命と呼べるものかどうかはわからないが
ただひとつ言えるとしたら俺たちの出逢いは最高で最悪だったということだけだ
act 1 : 出撃は10分後です
この空も海も、どこまでも青く、広く、美しい
海の平和を守る中枢、海軍本部マリンフォード。その一室、情報伝達を行う管理室の電伝虫がカッと目を見開き、必死な形相で海賊討伐の援軍要請を叫んでいた
『本部!こちらグランドライン第13支部。援軍をお願いいたします!』
「クザン大将。援軍要請が来ています」
「・・・聞こえてるっつーのよ。んなこといちいち報告すんじゃないよクラァ!!」
「す、すみません!」
「あー・・・めんどくせぇなぁ。んで。場所はどこよ」
「レスタ島です。ここから1時間。どの部隊を派遣いたしますか」
「レスタか・・・、そうねぇ」
この男、青雉と呼ばれる三大将の一人なのだが、普段からだらけきったオーラ全開の軍人である。そんなやる気なし男がぼりぼりと頭を掻いて「確か相手の奴らの額はぁ・・・」と呟けば、控えの兵士は即座に答えを持ってくる
「9,200万ベリーです。北の海(ノースブルー)出身、オーロラ海賊団」
「あららら・・・まぁ、なかなかの相手だな。・・・よし」
クザンはビシッと兵士を指さし、「福招きの嬢ちゃんに連絡」と指示を出した
*
「ということで、大佐。出動要請です」
「何が『ということ』なのかさっぱりわかりませんが・・・。わかりました、お受けします。それで出撃は?」
「10分後です」
「・・・はやっ」
久しぶりの出動要請とはいえ、なんだその急な展開は!「大佐急いでください。船でお待ちしておりますので」と敬礼をして部屋を出て行く部下のレイダー君を見送り、はその場に立ちつくす。チッチッチッ、と時計の秒針の音が虚しく部屋に響き、次いでソファーに座っていた客人の茶をすする音ではハッと我に返った
「うわ、急がなきゃ」
「そんな慌てて、装備を怠るんじゃないよ」
「わかってますよ、お婆ちゃん」
慌てるに、ソファーで茶を飲みながら茶々を入れるのは海軍本部中将、大参謀のつる。捨て子のの親代わりをしてくれている、厳しいけれど優しい、恩人にも等しいつるお婆ちゃん
「久しぶりの出撃だねぇ、」
「ホントです」
「存分に暴れておいで」
「んー・・・、まぁ程ほどに」
準備の手を止めず、は苦笑した。黒いスーツに赤いネクタイを締め、指先のない黒い革手袋をキュッと嵌め、長い白髪は邪魔にならないように横結びでひとつに。右足の太腿に短刀をさしたホルスターを取り付け、最後にバサリと重厚な音を立てて背中に白い正義を背負えば完成だ
「じゃ、いってきます。お婆ちゃん」
は扉の前に立ち、ソファーに腰掛けるつるに向かって手を振った
「油断するんじゃないよ。無事に返っておいで」
「アイ、サー」
は額に左手をピッとかざしてつるに敬礼を送る。そして白いコートをひるがえし、部下が待つ船へと向かった
この空も海も、どこまでも青く、広く、美しい
にとっては久しぶりの出撃だった。兵士たちの士気も上がる。けれど熱く燃える船上で、を包むオーラは静かに凪いでいた。戦うことを好む軍人が多い本部において(青雉クザンほどだらけきってはいないが)基本は戦うことはあまり好んではいない。船首の前に立ち、青い空を仰ぐ。空は高く美しかった。青い空を悠然と舞う鳥には目を細める
(あぁ・・・いいなぁ)
強い海風がの長い白髪を後ろになびかせる
本部を出航してそろそろ1時間。水平線の向こうに小さな島をとらえた。あれが今現在の戦場の地、レスタ島。海岸近くに何隻もの船が並んでいる(海軍のもあるし、海賊のもある)。途切れることなく聞こえる爆発音、赤く燃え上がる炎と爆煙に兵士たちの士気が更に高まる
「派手にやってますねぇ」
「大佐。そろそろ戦闘の準備を」
「はいはい。あ、そうだレイダーさん」
「はい?・・・おっと」
指先のない革手袋をきつく締め直したは、重く肩にのしかかる白い正義と黒いジャケットを脱いで部下のレイダーに渡した。戦うときはできるだけ身軽に。それがのポリシー。黒いベスト姿になって両腕を空に向けグッと背伸びをする上官に、レイダーはニッと口角を上げる
「お預かりします」
「よろしくです。着ていてもいいですよ」
「はは、滅相もない。・・・早くこれを背負えるよう精進いたします」
レイダーはまるで執事のようにのコートとジャケットを片腕にかけてニッと笑う。は手首を回して準備運動をしながら、レイダーに視線だけ投げて小さく笑った
「きっと私より似合いますよ」
きっと。自分が背負うよりも、あなたのように軍人としての誇りのある人が背負うべきものなんだ
は視線を燃えさかる島に向ける
「では行きましょうか」
の一声に兵士たちは各々の武器を掲げて士気をあげる。大砲の準備や敵船に乗り移るロープの準備にと慌ただしくなる甲板。の小さな呟きなど、誰にも聞こえない
「・・・絶対的正義の名のもとに、ね」
島を見つめたまま、唇を少しだけ上げて笑う。笑っているはずなのに、けれどそれは戦いを楽しむ者の笑みではなく、どこか哀しみを帯びた笑みだった
※新シリーズ新連載です。海賊マルコと海軍夢主の恋物語。マルコが出ていなくて申し訳ないです・・・
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