ドリーム小説
海軍と海賊。正義と悪。追う者と追われる者。けれど今は見上げる者と見下ろす者
「俺のこと覚えてるかい?」
再会を喜び笑って彼女を見下ろすマルコと、太陽を背負う彼を眩しそうに眼を細めて見上げる。彼の視線にあてられ、は首筋の赤い痕がチリリと疼くのを感じた
「もちろん覚えていますよ、賞金首ハンターさん。いえ、・・・白ひげ海賊団一番隊隊長、不死鳥マルコさん」
淀みなく彼の名を呼べば、マルコは「へぇ」と口角を上げた
「嬉しいねぃ、名を知っていてくれたなんて」
「驚かされましたよ。まさか、かの四皇の船の一員だったなんて」
そんな大海賊大悪党を知らなかったなんて不覚です。はマルコを見上げ、にっこりと笑って告げた
「海賊だと知っていたら、あの時あの場所であなたを捕まえられたのに」
手の届く場所に、肌が触れ合う場所にいたのに。取り逃がしてしまうなんて海軍本部将校として大失態。は未練などないです、あくまで私とあなたは敵ですと言い放つ。そんな彼女に、マルコは眼を細めて意味ありげに笑って言い返す
「へぇ、俺を捕まえるか。今度もまたベッドの上で?」
「まぁ・・・そうお望みならかまいませんが。海賊人生の最後ぐらいちゃんと海の上で迎えさせてあげますよ」
「ははっ。なかなか言うよい」
挑発にも乗ってこないをマルコはますます気に入る。思わずぺろりと舌なめずりしてしまう
二人の会話に下っ端の船員たちは何が何だかわからず眼をパチクリさせる。察しの良いクザンはなんとなく理解した様子。まさかとマルコが知り合いだったとは意外や意外
「あらららら。こりゃどーいうことよ、ちゃん。白ひげんとこの不死鳥と知り合いなわけ?」
「やー・・・、これはですね」
「話を聞いてる感じじゃ、なんかただならぬ仲みたいだけど」
「んー・・・」
「なによ。・・・あ・・・、まさか、あいつがその首の絆創膏の相手だったりしちゃって」
「んんー・・・・・・」
微妙な笑顔の返事は「そうです」と言っているようなもの。の様子を見てクザンは「あららら、大当たり?」とにやり笑う。クザンの声は船の手すりに群がる海賊たちにも届いていたらしく、彼らは目を丸くしてマルコとを交互に見た
「ま、まじっすか。マルコ隊長!?」
「さすがっす!海軍の女を手籠めにしちまうなんて」
「おいおい勘違いすんじゃねぇよい、お前ら。別にあいつが海軍だってわかってたわけじゃ」
「狙った獲物は外さない異名は伊達じゃないッすね、さすが『夜のスナイパ、」
「なんで知ってんだ、それ!・・・てめぇ、サッチ!お前ぇかよい!」
「ぶっ・・・くっくっく・・・、許せマルコ」
変な名前広めんじゃねぇ!と角を生やすマルコをサッチと、それからそばにいるエースは腹を抱えて笑う
一方、船下では勝手に始まった兄弟喧嘩をとクザンはポカンと傍観していた
「なんか勝手に盛り上がってんな・・・」
「そうですね・・・。今のうちに退散します?」
「大賛成。んじゃ、ちゃん後ろ乗って」
「はい」
はぴょんと後輪ステップに飛び乗りクザンの肩に手を置く。「じゃぁな、荒くれども。あばよ〜」とクザンは自転車を漕ぎ出そうとしたときだった。サッチの首を絞めていたマルコは「待てよい」と二人を呼び止めた
「逃げんのかい、」
涼しげな声で挑発。は声がした方を見上げた。マルコはサッチを手放し、にやっと笑ってを見下ろした
「逃げるんじゃないです。帰るんですよ」
「へぇ。同じ海賊を目の前で二度も取り逃がすたぁ、どこの腰抜け海軍だい」
「そういう挑発は、残念ですが私に言っても無意味ですよ」
言われ慣れているので効きません。マルコには聞こえなかったが、ぽつりと呟いたその言葉をクザンは無言で聞き流す。が本部内で窮屈な想いをしていることを改めて感じ取る呟きだった
「今の私たちは単なる通りすがり。私たちにはあなたを捕まえる意志はなく、あなた方の親分さんも戦闘を許可していないのにわざわざ戦うのは無為です」
「正論だよい。・・・・・・なら」
「・・・?」
マルコは一度から視線を外し、船の中央にいる人―――おそらくは白ひげと何か言葉を交わした。何を話しているのかはわからない。しばらくしてマルコは再びの方に顔を戻した。そして白鯨の頭を模した広い船首の上に立つと、突然腰から短刀を数本取り出して投げる構えを取った
「・・・!?」
「おいおいおいっ?」
嫌な予感は的中した。マルコはその短刀を勢いよく目がけて投擲してきた。これにはもクザンも目を丸くする。クザンが即座に反応して防御策を取った。クザンの手のひらからパキパキパキと氷が張る音が聞こえ、次の瞬間の前に氷の盾ができあがり飛んでくる短刀を防いだ。カン!キン!と乾いた音を立てて短刀は海に落ちていく
いきなりどうして・・・?は眉を寄せ、クザンも厳しい顔つきで上を見上げた。マルコがぺろりと舌なめずりをしてを見下ろしていた
「どうするよい。海賊が攻撃してきたんだ。これで応戦せず逃げ帰れば、絶対的正義に傷がつくんじゃねぇのかい」
「挑発には乗らないと言ったはずです。・・・何がお望みなんですか」
マルコが海軍を攻撃したことで周りのギャラリーはぎゃいぎゃい騒ぎ出す。まるで森の獣たちが一斉に本能を剥き出しにしたかのような喧噪。獲物は二人・・・、いや正確には狙われているのは一人。マルコは指3本を立ててに向かって宣戦布告した
act 14 : 3 minutes fight
「3分間だ。俺の相手をしろよい」
「3分・・・?」
「それで十分だろ。お前を海に沈めるには」
海軍の女将校を挑発するマルコの言葉に、下っ端の海賊たちの雄叫びが沸き上がる。は別段腹を立てることも悔しく思うこともなかったが、散歩に連れてきてもらっている身。クザンの肩に手をかけたまま、後ろから彼の肩越しにひょいと顔を出して彼の顔を覗き込む
「青雉さん。3分お待ちいただいても?」
「俺はかまわねぇよ。手貸すかい?」
「いえ、一人で大丈夫です」
一番隊の隊長相手に強きな発言。海賊たちは「強がんじゃねぇよ!」「手助けしてもらえ、姉ちゃん!」とわめき立てる。けれどその声が3分後にはきっとおさまっているだろうことをクザンは予想する。の言葉が決してはったりではないことは彼がよくわかっているから。自転車から飛び降りたにマルコが再び声をかけた
「勝負はこの船首の上でやるよい。今梯子を降ろす、」
「あ、必要ないです」
大丈夫です、とは手を振る。「無理すんなよ!」と海賊たちはキャッキャと楽しそうに彼女をからかう。モビーディックはかなり巨大な船だ。海上から船の上まで高さはかなりある。まさか手と足でよじ登ってくる気か。次の瞬間、は膝を落としてやや低めの体勢を取り静かに呟いた
「月歩」
バウッ!と空気を蹴る音が連続して鳴り響き、はまるで見えない階段を昇るように宙を飛んで跳ねてあっという間に白鯨の船首の上に辿り着いた。トンと片足で着地してマルコと対峙する。の不思議な体術に周りの海賊たちがどよめいた。「なんだあいつ!?魔術師か?」「能力者か?何の実だ!!」と。冷静なのはマルコと船の中央に位置する大海賊白ひげだった
「ほぉう。六式使いたぁ、なかなかの遣り手じゃねぇか。油断すんじゃねぇぞ、マルコ」
「わかってるよい、親父。よく見ててくれ」
さっき二人がどんな会話を交わしたのかはわからない。けれどマルコは含みのある笑いで白ひげにそう言い、正面に立つと向かい合った
※なぜか戦うことになりました。マルコは彼女の力を探りたいようです
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