ドリーム小説


ダンブルドアの無茶苦茶な提案により、は遅れて到着した留学生としてホグワーツに迎えられることとなった。二人ともスネイプの姓を名乗ることはできないため、校長の遠い親戚としてダンブルドアの姓を借りることとなった。
「事情により到着が遅れてしまったが、1年間のみの在籍となる。留学生のダンブルドア兄妹じゃ」
翌日の朝食の席で二人は全生徒の前で紹介された。ダンブルドアの姓を名乗っていることだけでもインパクトがあるのに、それに加えて二人の目立つ容姿に生徒たちの目は釘付けになった。テーブルのあちらこちらでひそひそ話が始まる。このざわめきはの転入時以来だと囁く者もいる。
(うわ。双子だってよ。すっげ可愛いなぁ、あの子)
(やだ、結構かっこいいじゃん、左の男の子。しかもグリフィンドールだって。ポイント高!)
(妹の方は、・・・え、スリザリン?マジで?全然そんな風に見えないのに)
男子生徒の目はに、女子生徒の目はに向く。そんな中で、スリザリンのテーブルに座るの視線は、二人の留学生からスネイプへと向いた。何がそんなに面白くないのか、いつも以上に暗くて重たいオーラを醸しだし、のことを睨み付けている。昨日を保健室に連れて行こうとしたところでばったり遭遇し、スネイプは大した理由も言ってくれないままを連れていってしまった。あれきりスネイプからは何の話もない。一体昨夜の間に何があったというのか。不機嫌な様子のスネイプのことが、今のにとっては一番気になることだった。





□ 魔女の条件U 〜The Adventure of Lovely Twins〜 <4> □





ダンブルドアの計らいではそれぞれ未来で所属していた寮に入ることを許された。
はグリフィンドール寮。銀色の短髪に蒼い瞳をもつ精悍な顔立ち、そこに勇気を象徴する獅子寮のシンボルカラー、真紅と黄金のタイを結ぶ少年は、そこにいるだけで女子生徒の頬を赤く染めさせた。
(やぁん!間近で見るともっとかっこいいじゃん)
は年頃の女の子たちの注目の的となっていた。寮の女子たちの黄色い声が途絶えることはなかったが、だからといってが男子生徒から妬みを買うわけでもなかった。その大きな理由は、
!お前、前の学校でチェイサーだったって話本当か?」
一体どこから仕入れたのか、ハリーとロンがのクィディッチに関する有力なネタを掴んだのだ。7年生になり、がたいの良くなったロンは自分よりも若干背の低いに覆い被さるようにして問いつめた。は両手でロンを押し返すようにして、その質問にイエスと答えた。
「レギュラーか?」
「え、・・まぁ、そうですね」
「ポジションは?レフトか、ライトか?」
「いえ、・・・一応センターです」
「センター!?花形じゃんか!・・・・・おぉぉ、よっしゃあー!!ハリー、今年の寮杯はもらったも同然だぜ!」
「あぁ!、早速今日から練習に参加してくれないか?」
「え、・・・・えぇ?僕が?」
「他に誰がいるってのさ。よし、そうと決まったらすぐに放課後の競技場押さえるぞ、ハリー!」
と、こんな感じで強引にごりごりと推し進められ、あれよあれよという間にはグリフィンドールのクィディッチの選手となってしまったのだった。初めこそ、「こんななよなよした奴にクィディッチなんてできるのかよ」と半信半疑で見ていた男子生徒たちも、の練習中のプレーを見るやすぐにその考えを180度変えた。の飛行術とクァッフルを操る巧みな手捌きは、歴代チェイサーの上位に食い込むのではないかというほど美しく目を見張るものだった。
クィディッチのプレーのみならず、勤勉で優しく穏やかな性格に、はすぐに寮の生徒から信頼される存在となっていった。その素晴らしい模範生っぷりに、
があと1年早くホグワーツに来ていたら、今頃監督生の座は・・・。良かったわね、ロン」
「・・・誰もが分かっていることをずばり言うなよ、ハーマイオニー」
読みかけの本を膝に乗せクスクスと笑うハーマイオニーに、ロンは両耳を塞ぐジェスチャーで答えるのだった。


順風満帆なホグワーツ仮生活を送る。その一方で、が所属するスリザリン寮はというと―――ある意味、一種の嵐と化していた。
もともとはスリザリン寮。長い黒髪と少し釣り上がった黒い瞳、そして自信に満ちた態度はまさに寮の特性にあてはまっており、深緑と白銀のタイを結ぶ少女は、寮の生徒を近づけさせない高貴な雰囲気を漂わせていた。
(すっげ美人。なんか高嶺の花って感じだな)
先輩とどっちが美人かな?)
(うーん・・・、甲乙つけがたし!)
そんな話があちこちでされる中でも当の本人は気にすることなく窓辺のソファーで一人読書などしていた。それもまた一枚の絵画のように美しく、男子生徒たちだけでなく女子生徒にも感嘆のため息をつかせるのだった。
そんなふうに穏やかで静かな生活を送ろうとしていたの寮生活は、だが一人の少年の登場によりガラガラと崩れることになるのだった。それはがスリザリンにやってきた日の夕食後の談話室でのこと。暖炉前で静かに読書していたは、扉から入ってきた一人の少年の目に留まり、気まぐれに声をかけられた。
「おい。お前が例の留学生か」
「・・・・・」
「校長の親戚らしいが、たった一年の留学なんて一体どんな力を使ったんだ」
「・・・・・」
スリザリンの監督生となったドラコは、威厳たっぷりに寮の新人に嫌味をぶつけた。返ってくる答えで品定めをしてやろうというドラコの目論見は、だがあっさり崩れた。ドラコが何を言おうと、が彼の方を振り向くことはなかった。ひたすら読書に没頭している。
「おい・・・」
「・・・・・」
「・・・貴様」
自分を無視し続けるに、ドラコは額に青筋を浮かべて引きつった笑みでを睨み付けた。そして、つかつかと彼女の方へ歩み寄ると、読んでいた本を乱暴に取り上げたのだ。これには談話室にいた生徒たちも思わず息を飲んだ。
「監督生の僕の声を無視するとはいい度胸だな。生意気な奴め」
「何するのよ」
それまで微動だにしなかったが初めて口を開いた。
「当然の報いだろう。僕を誰だと思っている。監督生だぞ」
「あっそ。監督生がどれほど偉いのかしらね」
「・・・・・なんだと?」
ドラコがどんなに監督生であることを誇示しようと、はそれにひれ伏すことはなかった。そのことが気に入らないドラコは益々額の青筋を浮き立たせる。周囲の生徒たちも、一触即発の状況にハラハラするばかり。ドラコを適当にあしらっていたは、もっと嫌味を言ってやろうと眼差しをきつく彼を見上げた。だが次の瞬間、
「・・・あなた、・・・・まさか・・」
それまで飄々としていたが、何か恐ろしいものを見るような目でドラコを見上げた。の態度が豹変し、ドラコも僅かに怯む。
「な、なんだいきなり・・・僕に何かあるのか」
凄い形相で自分を見上げる少女に、ドラコも負けじと睨みを利かせる。ちょうどそのとき、スネイプの手伝いを終えたが寮に帰ってきた。どこか浮かない顔をしていたは、だが寮内の雰囲気がいつもと違うことを敏感に感じ取り、暖炉前のドラコを見つけて声をかけた。
「ドラコ。どうしたの、何かあったの?」
「・・・ドラコ、ですって?」
の声に過敏に反応したのは、ドラコではなくの方だった。
「ドラコって、・・・まさかドラコ・マルフォイ・・・!?」
恐る恐る問いかける。見上げる先のドラコは、そうだと言わんばかりに胸をふんぞり返す。その瞬間、の表情が一変した。目の前に立つのがドラコ・マルフォイだと知るや、綺麗な瞳をキッと釣り上げた。勢いよく立ち上がると腰に両手を当て、ドラコと鼻先を突き合わせギンッと睨み付けた。いきなり息がかかるほどの間近に詰め寄られ、ドラコは一瞬状況を忘れて頬を赤らめた。だがは、なんと杖まで取り出しそれをドラコの眉間に突きつけた。
「ここで会ったが百年目!あんたの息の根を止めてやる!!」
「「「・・・は・・・!?」」」
その場に居合わせた全員が目を点にしてを凝視した。何か物騒な台詞を聞いた気がするが、いやきっと気のせいだろうと流すつもりでいたのだが、
「私の平穏な未来のためよ。残念だけれど、あんたには今ここで消えてもらうわ」
「・・・は・・・!?」
訳が分からないドラコに向かって、は決闘クラブのように杖を構えた。ドラコは冷や汗を流して慌てる。わたわたと服のポケットをまさぐるも、杖は脱いだローブの中にあった。丸腰の状態でドラコはじりじりと後ずさるしかない。
「お、おい・・・やめろ!!」
は獲物を狩るライオンのように不敵に笑い、滑らかに唇を開いた。
「ラカーナム・インフラ、」
「エクスペリアームス!」
が唱えた炎上呪文を中途で遮り、かぶせるように武装解除術をかけての杖を奪ったのは入り口付近に立つだった。今度は皆がの方を向く。の杖は真っ直ぐにに向いており、彼女を攻撃したその顔には苦渋が隠せなかった。は上げていた杖を下ろし、哀しげ目でを見つめた。はドラコからへと視線を移す。氷のように冷たい目だった。
「邪魔しないでちょうだい」
「だめよ・・・」
「何故?あなたには関係ないわ」
は唇の片端だけを上げ、攻撃的に笑う。それでもは怯むことなく、を真っ直ぐに見つめた。
「どんな理由があるのかはわからないけれど、・・・同じ寮の仲間を傷つけないで」
監督生として。ドラコの親友として。に訴える。その綺麗すぎる蒼い瞳に見つめられ、は不満そうに―――それはまるで母親に叱られて納得のいかない子どものように拗ねた顔でそっぽを向いてしまった。
「ご立派ね・・・。流石は監督生だわ」
・・・」
「部屋に戻らせてもらうわ」
は弾き飛ばされた杖を拾うと、二人に背を向けて女子寮へ続く階段を昇り始めた。だが数段昇ったところで振り向き、「あぁ、そうだ」と再びドラコを睨み付けた。目が合い、ドラコは攻撃されたこともあり思わず怯んでしまう。
「な、なんだ・・」
「ドラコ・マルフォイ。私、あなたが嫌いよ」
「・・・は・・・?」
「金輪際、気安く私に声かけないでよね。できることなら顔も見たくないわ」
言いたいことを言うと、はふんっと不機嫌を露わに女子寮へと引っ込んでいった。後に残された者たちはようやく緊迫した空気から抜けだし、皆一斉にぶはぁと息を吐いた。そしてまるでゴシップ雑誌のように、の奇怪な行動について取り上げだした。容姿は美しいが、何をするかわかったものじゃないと皆口々に言う。やれドラコが殺されかけただの、監督生を監督生と見ない行動が傲慢だのと。
そんなこそこそ話を耳に入れながら、は杖を手にしたまま呆然と立ちつくしていた。暖炉の前ではドラコが怒りに拳を振るわせ、クラッブとゴイルに八つ当たりしている。は先程が自分に見せた敵意ある目を思いだし、心の中に大きな不安と哀しみを抱くのだった。





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