ドリーム小説
駅のプラットホームは、クリスマス休暇のために故郷へ戻る生徒たちでごった返していた。
およそ2週間分の荷物をまとめた鞄やスーツケースを引きずって、生徒たちは汽車に乗り込んでいく。
寮監の先生方が生徒の見送りに来ていた。
「マクゴナガル先生、さようなら!」
「はい、さようなら。良いクリスマスを」
「先生も、メリークリスマス!」
あちらこちらで、しばしの別れの挨拶が交わされていた。
もまた実家に帰省するべく、小さなボストンバッグを肩に担いで、汽車に乗り込むところだった。
ホグワーツともしばしお別れ。
昨夜、部屋で荷物の最終確認をしたから、忘れ物はないはず。
は、コートのポケットに手を突っ込んで、そこに小さなメモがあることを確認した。
「」
名前を呼ばれて、は汽車の入り口に手をかけて振り返った。
彼女の寮監が少し離れたところに立っていた。
何か言いたげな表情をしているが、それ以上彼女に近づいては来なかった。
スネイプが言いたいことは、彼の目を見つめれば何となく分かった。
くれぐれも無茶なことはするな、と言いたいのだろう。
「メリークリスマス。スネイプ先生」
「あぁ。また休み明けに会おう」
大きな音を立てて汽笛が鳴った。
出発の合図だ。
は口元を緩めて小さく笑い、スネイプに背を向け、汽車に乗り込んだ。
□■□わたしとスネイプ先生の奇妙な学園生活 <7>□■□
愛しているよ
愛しているよ
君を心から愛しているよ
君だけをずっと愛しているよ
だから僕をおいていかないでおくれ
僕を一人にしないでおくれ
君においていかれたら 僕は一人では生きていけない
愛しているよ
愛しているよ
「あぁ。雪が降ってきたよ。ホワイトクリスマスだね」
君を心から愛しているよ
僕の愛しい人
命短し 恋せよ乙女
『お前を永遠に愛すると言うことは
ろうそくがお前が生きている間燃えつづけると言うに等しい』 〜トルストイ〜
窓を開けると、辺り一面が雪野原になっていた。
朝陽に照らされ、水面のようにきらきらと輝いていて目が眩しかった。
「ー。そろそろ起きなさい」
「もう起きてるわ、母さん」
階下から呼ぶ母の声に、も大きな声で答えた。
ベッドの上で大きく背伸びをして、何気なくカレンダーに目をやった。
文字が動く魔法のカレンダーが、今日が12月27日であることを示していた。
大いに盛り上がったクリスマスパーティーから、あっという間に2日経ってしまった。
クリスマス休暇も、あと10日程で終わる。
すでに休暇中の課題を全て終えてしまったは、残りの10日をどう過ごすか考えなければならなかった。
「おはよう。母さん」
「おはよう。。よく眠れた?」
「えぇ。父さんは?」
「もう仕事に行ったわよ。グリンゴッツは年末に向けて休みなしよ」
「私、将来絶対に銀行員にはならないわ」
は冗談を言って笑いながら、ティーポットに茶葉をいれた。
「あら。あなた、紅茶なんか飲むの?」
「えぇ。おかしい?」
「おかしくはないけれど、珍しいわね。朝はいつもオレンジジュースだった子が」
「紅茶を嗜む友達がいるから、その影響かな」
本当は寮監が紅茶好きだからなのだが、なんだか正直に言うのが気恥ずかしくて、は嘘をついてしまった。
あたたかな紅茶をすすりながら、朝刊を広げていると、窓から白フクロウが入ってきた。
フクロウは所定の止まり木に止まると、ホォと一鳴きした。
「おはよう。クローバー」
はフクロウに近づくと、体を優しく撫でてやった。
が小さい頃、クローバー畑で怪我しているのを拾ってきて育てたフクロウだった。
「休みのときぐらい一緒にいてやりなさいよ。あなたが学校に行ってしまうと、寂しくて十円ハゲができちゃう
のだから」
「えぇ、本当に?クローバー、あなたそんなに寂しがり屋だったの?」
主人の言葉がわかるフクロウは、肯定するように小さな声で鳴いた。
は人差し指でフクロウのくちばしを撫でてやった。
嬉しそうに目を細めるフクロウが、とても愛おしかった。
「おいしいご飯を買ってきてあげるから。母さん、出かけてくるわ」
「あら。買い物に行くなら、これも買ってきてちょうだい」
そう言って母が杖を振ると、メモ帳に買い物リストが書き出された。
メモを受け取ると、は着替えをするために2階の部屋にあがっていった。
*
「行ってきます。本屋さんで立ち読みしてくるから、遅くなるわ」
「行ってらっしゃい。あんまり遅くならないようにね」
はいはい、という娘の声が聞こえて、ドアが閉まる音がした。
さて、娘がいないうちに部屋の掃除をしてしまおうかと、母は杖を振りかざした。
そのときだ、いきなり窓から黒いものが飛び込んできたのだ。
部屋の天井で旋回して降りてきたのは、クローバーよりも随分と大きい黒フクロウだった。
クローバーがキィキィと威嚇の声を発するが、黒フクロウは平然とした様子で椅子の背に降り立った。
そして、咥えていた手紙をキッチンのテーブルに放り投げると、来たときと同じように風のように去っていった。
黒フクロウがいなくなった後も、クローバーは興奮冷めやらぬ様子で羽根をばたつかせていた。
「静かになさい、クローバー。あら、速達だわ」
テーブルの上の手紙を拾い上げると、表に娘の名前が書かれていた。
差出人は誰かと裏返すと、
「まぁ。スネイプ先生からだわ」
寮監の先生からの手紙に、母は特に不審がることもなく、娘の部屋の机の上に手紙を置いた。
ダイアゴン横丁のペットショップで、はクローバー用の少し高価な餌を買った。
それから雑貨屋へ行き、母のメモを見ながら買い物をした。
茶色の紙袋を腕に抱え、久しぶりのダイアゴン横丁を散歩した。
クリスマスは終わったが、人々は年末年始に向けての準備に慌ただしかった。
ごった返すストリートを抜け、人もまばらな路地に入り、は歩き続けた。
彼女の手にはもう一つ、大切に保管していたメモがあり、そこに書かれた住所を頼りに目的地へと向かっていた。
(886番地・・・886番地・・・)
店の看板を一つ一つ確認しながら、歩き続けた。
目的地に近づけば近づく程、の鼓動は速まり、あの熱が少しずつ温度を上げていくのがわかった。
の足が、一軒の薬剤店の前で止まった。
「ここだ・・・」
の声はわずかに緊張していた。
店には、『CLOSE』の看板が下がっていたが、2階の窓の灯りがついていたので、彼がいるのだとわかった。
は躊躇いがちにドアを押し、中へと入った。
*
「こんにちは。ゴートンさん。です」
2回の呼びかけにも、返事はおろか、物音ひとつ返ってこなかった。
灯りはついているのに誰もいないのだろうかと、不思議に思いながらは2階への階段を昇った。
そして、灯りが漏れている部屋の前に辿り着き、はスゥと息を吸って、ドアをノックした。
返事は返ってこなかった。
その代わり、扉が音を立てて静かに開いた。
夕暮れ色の淡い光が視界を包んだ。
それから、女性がつけるような、甘い香水の匂いがした。
「ゴートンさん?」
はじめに視界に入ったのは、部屋の奥にあるベッドだった。
柔らかそうなベッドの上で、人が仰向けで寝ていた。
ゴートンは、つらそうに額に手を置いて横になっていた。
「君・・・?」
ベッドから聞こえてきた彼の声は、とても憔悴しきっていた。
もそもそと上半身を起こしたゴートンは、寝間着ではなく、白いシャツと黒いズボンという姿だった。
シャツはクシャクシャで、ボタンもたくさん空いていて、どこかから帰ってきてそのまま眠ったような格好だった。
それよりもが気になったのは、彼の顔色だった。
最後にホグズミードで会ったときとは比べものにならないくらい青白く、疲れ切っていた。
目も腫れぼったくて、隈が濃く浮き出ていた。
「ごめんなさい。勝手にお邪魔させていただきました」
「あぁ、構わないですよ。よく来てくれましたね。ですが、申し訳ない。せっかく来てくれたのに、こんな
汚いところに通して」
「あの。具合が悪いんですか?」
「いや・・・まぁ、大したことはないです。単なる疲れですから」
ゴートンは無理をして笑おうとするが、顔の表情を作ることすらつらそうだった。
何があったら、こんなに憔悴してしまえるのだろうかと、は心配でならなかった。
「お休みになられていたんですね。すみません、起こしてしまって」
「お気になさらず。誰かお客様でも来ないと、たぶんずっと寝ていましたから」
「何か、お飲みになりますか?」
「いや、お客様は気を遣わないでください。私が」
そう言って起きあがろうとした瞬間、ゴートンは重い目眩に襲われ、ベッドに腰を降ろした。
額を押さえ、苦しそうに眉間に皺を寄せる彼を見て、は持っていた紙袋を床に降ろした。
「横になってください。何か持ってきます」
そう言うと、ゴートンの返事を待たずに、は台所へと足を進めた。
ゴートンももはや彼女を止める力もなく、申し訳ないと思いながらも、彼女の言葉に甘えることにした。
力尽きるようにベッドに体を倒し、顔の前に手をかざし、そのまま夢の世界へと旅立った。
*
が台所からコップを持って戻ってくると、彼は布団も掛けずにベッドの上に横たわっていた。
これでは休めないではないかと、はコップを置いて、彼の顔の横に腰をおろした。
ベッド脇のサイドテーブルには、恐ろしく多種類の薬が山積みになっていた。
「ゴートンさん。ちゃんとお布団を掛けて寝てください」
「ん・・・」
「ゴートンさん」
彼の顔を真上から覗くと、額にかいた汗で髪の毛が張り付いていた。
首周りも汗だくで、シャツが透けてしまっている。
ボタンを外した襟元から見える首と鎖骨は、骨がはっきりと浮き出るくらいがりがりに痩せていた。
は、せめて顔周りの汗を拭いてあげようと、タオルで彼の額を押さえた。
それから首周りを、と首元にタオルを押し当てたときだった。
ゴートンの細くて長い腕が伸びてきて、の後頭部を引き寄せた。
*
吐息もかかるほど間近で、彼の顔を見下ろしていた。
「・・・・・」
それがキスだと分かるのに、数秒の時間を要した。
驚きよりも、頭が真っ白になった。
それからすぐに駆け上がってきたのは、あの名前の知らない熱だった。
鉄を熱したように、身体の中が赤く高温になっていく。
乾いた唇が離れ、間近で見下ろす彼は目をつむっていて、眠っているようだった。
その目が、薄く開いて、と目を合わせた。
眩しそうに細められた彼の目は焦点が合っておらず、誰かを捜すようにを見つめていた。
「ゴートンさん・・・」
震える小さな声で名前を呼んでも、彼からの反応はなかった。
今一度、名前を呼んでみようとが唇を開いた瞬間、
『アリシア』
それは声にならないような繊細な声で、ゴートンが囁いた。
が知らない、女性の名前だった。
聞いたことがなかったけれど、聡いには、その名前が誰のものかすぐにわかった。
彼は夢の中にいるのだ。
そしてそれは、彼が自分を見ていないという哀しい現実だった。
前触れなく唇を奪われ、自分ではない人の名前で呼ばれ、彼女は心を痛めるはずだった。
だが、受けるべきショックは、彼女の中で燃える熱によって焼き消されてしまった。
業火は猛スピードで彼女の理性を喰っていった。
彼が見つめているのが、自分じゃなくても別にいいとさえ思ってしまった。
「ゴートンさん・・・」
「・・・・・」
「あなたが、好きです」
誰も聞いていない愛の告白だった。
そっと顔を近づけ、眠る彼の唇に、今度は彼女から口付けた。
彼の体から香る甘い匂いが、より一層彼女の脳を痺れさせた。
「あなたが、」
「そば、に・・・いてくれ」
夢の中で、彼が答えた。
彼の細い腕が伸び、の頭を掻き抱いた。
背徳のキスはより深いものに変わり、互いの温度を共有しあった。
薬品で荒れた彼の手が、の華奢な背中を撫で、腰を撫で、足を撫でた。
彼に触れられた場所が、燃えるように熱くなっていった。
二人の息が荒くなる。
彼女の理性は、とうに焼かれて灰になっていた。
柔らかなベッドの上に二人の影が重なり合う。
は彼の名を何度も呼んだ。
だが、彼の口から彼女の名が紡がれることは、一度もなかった。
互いの気持ちがすれ違ったまま、二人は夕暮れ色の灯りの下で、体を重ねた。
*
気だるい身体を引きずって起こし、は脱ぎ散らかした衣服を拾い上げて身につけた。
彼はまだベッドで寝ていた。
おそらくは、抱いた相手がだということに気づくことはないのだろう。
彼の夢の中では、彼が愛する人との幸せな時間が流れているのだろう。
は乱れてしまった短い髪を手で直し、来たときと同じように彼の顔の横に腰を下ろした。
安らかな、息をしていないのではと不安になるくらい穏やかな顔で眠っていた。
はそっと手を伸ばし、彼の頬に手を近づけた。
だが、触れることはなく、諦めるように目を閉じて、手を引いた。
「さようなら」
小さな声で別れを告げて、はベッドから立ち上がった。
ゴートンに背を向けて、一歩を足を踏み出した瞬間、ベッドから伸びてきた手に手首を掴まれた。
驚いて後ろを振り返ると、片腕で半身を起こしたゴートンと目があった。
は目を丸くして驚き、そしてすぐに目を細めてばつの悪そうな顔をした。
「・・・起きて、らしたんですか」
「ずっと起きていましたから」
「・・・・・・いつからですか」
「ずっと起きていましたよ。君を、妻の名で呼んでしまってから・・・」
「・・・・・狡い人ですね」
その一言を、は哀しみと憎しみを織り交ぜて、つらそうに笑いながら言った。
ゴートンは寝ているふりを続けて、を騙したのだ。
はじめての行為に夢中で彼に溺れるのことを、愚かで淫らな娘だと嘲り笑っていたのか。
途端、の中で消されてしまった理性が急速に戻ってきた。
感じたことのない凄まじい羞恥に、顔も耳も真っ赤になる。
みっともなくて、ゴートンに顔を見られたくなかった。
「少し見損ないました・・・」
「あなたに嫌われる覚悟でいます。どんな謝罪の言葉も届かないでしょう」
「謝罪よりも、・・・話を、してください。私が納得できるような話を」
Please、という言葉が、彼女の口から寂しげに零れた。
ゴートンに掴まれた手首は、もはや何の熱も感じなかった。
あれほど熱く、焼け焦げそうだった熱は、今はもう灰の中で燻っていた。
「君を妻の名で呼んでしまったのは、故意にではありません。意識が朦朧としていて、気づいたら呼んで
しまっていました。それはきっと・・・・・君が、妻にとてもよく似ていたからでしょう」
は部屋を照らす灯りを、ゴートンは足下の床を見つめていた。
互いに目を合わせられないまま、彼の懺悔は続いた。
「君が私に好意を寄せてくれていることに気づいて、それに甘えてしまったのは確かです」
「私の気持ちを、利用したのですか」
「いいえ。決してそんなことはありません」
「でも、あなたは私を何とも思っていないのでしょう。なのに」
「誤解しないでほしい。君が好きじゃないわけではないのです。ただ、私の心はまだ・・・妻とともにあります」
「ならば尚更・・・・・・・遊び心で、同情で抱いてくださったと?」
「そんなつもりは微塵もなかった。ですが、結果として君を傷つけたのなら、そうだと言えます」
優しすぎる彼の言葉に、は腹が立った。
はっきりと「遊びで抱いたのだ」と言ってくれた方が、ずっといいとは思った。
そうすれば、彼の頬を叩いてやったのに。
「私を恨んで構いません」
こんな状態になっても、彼が優しすぎて、は彼を恨むことなどできなかった。
頭に上っていた血が、スゥッとひいていった。
「あなただけが悪者ではありません・・・」
悪いのは自分も同じだとは思った。
名前の知らない熱に駆られて、自分を抑えられなかったのが悪い。
(あなたの言うことは、いつも正しいのですね・・・・スネイプ先生)
汽車を見送りに来てくれたときの、スネイプの心配そうな顔が瞼の裏に浮かんで消えた。
*
床に置いた荷物を抱え、はドアノブに手をかけた。
ベッドに腰を下ろすゴートンと距離を置いて、目を合わせて見つめ合った。
別れる前にひとつだけ、伝えたいことがにはあった。
「ゴートンさん」
「うん」
「スネイプ先生の研究室でお会いしたときから、私はあなたが好きでした。これは本当です」
せめて、真実だけは伝えておきたかった。
いつか、ロックハートが教えてくれたことだった。
好きな人に『好き』と伝えられず終わる恋ほどむなしいものはない。
自分の中で育った大切な想いを、伝えずに消したくはなかった。
ゴートンは、笑って聞いてくれた。
が好きな、目尻に皺を寄せた笑顔で。
ただ、その笑顔は、とても哀しげだった。
「ありがとう。君のような聡明な女性に想っていただけて、幸せですよ」
「奥様より先に出会っていたら、私を好きになっていてくれましたか?」
「その可能性はありますね」
ゴートンの言葉に、は愛しげに彼を見つめて、哀しげに笑った。
そして、別れの言葉を告げずに、は部屋を後にした。
哀しいはずなのに、涙は出なかった。
さようなら 私が好きだった人
黄昏の時間を噛みしめるように、ゆっくりと歩いては家路についた。
「おかえりなさい。遅かったじゃない」と母は問いかける。
だがは短く相づちを打つだけで、重い足取りで部屋へと上がっていってしまった。
部屋の机の上でを待っていたのは、スネイプからの一通の手紙だった。
彼女が家を出てすぐに届いたものだった。
スネイプから手紙が届くなんて、と不思議な気持ちで、慎重にはさみを入れた。
中に入っていたのは、一枚の紙切れとも言える手紙だった。
少し形の崩れた慌てた字で書かれた、短い手紙に目を通した。
内容を把握した瞬間、の膝は音を立てて崩れ落ちた。
手の中に手紙を握りしめ、床に座り込み、は口を手で覆って、声を殺した。
『・へ
ゴートンの奥方が、2日前の夜に病院で逝去された
ゴートンのところへは絶対に行かぬように』
伝えるべき時を逃し、すれ違ってしまった手紙を、は手の中に握りしめた。
頭の中を高速で駆けめぐるのは、ゴートンの部屋で不思議に感じたものたちだった。
白いシャツと、黒いズボン。
あれは、死者を弔う儀式の帰りだったのだろう。
彼の体から香る、甘い香水の匂い。
あれは、死に化粧でつけられた、彼の愛する人の香りだったのだろう。
彼が呼んだ見知らぬ女性の名前、彼が愛した人の名前。
あれは、きっと・・・・・目の前によく似たが現れ、彼に妻の幻影を見せたのだろう。
彼にとっては、妻が還ってきたと思わせてしまったのだろう。
傷ついたゴートンの心を、は癒すどころか、深く抉ってしまったのだ
後悔しても、すべてが遅かった。
自分がしてしまったことへの罪の重さを、は背中いっぱいに感じていた。
絶望に背を丸め、は床に額を押しつけて、ひたすら懺悔した。
信じていない神に、懺悔した。
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