だって君がいつも見ているから。
いつの間にか僕もそれを眼で追ってたんだよね。
でも大丈夫、誰にも言ってないよ。
言うわけないさ。
僕だけの秘密だもの。
第三夜
別に意識して見ようとしてるわけじゃないんだ。
必死になって探しているわけでもないんだ。
ただ、僕たちはと一緒にいるだけで。
はセブルスと一緒にいるだけで。
そうすると必然的に、僕は君の視線を見つけることになるんだよね。
そのときの感覚、なんて言ったらいいのかな。
かくれんぼの鬼の気分。
だってほら今も。
(あ。見っけ)
魔法薬学の実験中。
は未だにこの科目が苦手らしくて、セブルスと組んでいる。
まぁ、あんな事件があった後だし、先生もの監視には力が入ってるみたいだけど。
で、それはいいとして、そんな2人のちょっと後ろの席。
ほら、いた。
かげる地下室でも、君の銀髪は綺麗に揺れる揺れる。
時折試験管から目を離しては一番前の席にいるセブルスに目を向ける。
実験中に危ないなぁと思ったけど、目を離してはいけないときはしっかりと薬品を睨んでる。
要領いいなぁって感心してしまった。
僕はそんな、クラスの何気ない動きを一番後ろの席から見ていた。
ピーターに半分以上実験を任せて、ピーターが失敗しそうになったら僕が助ける。
うん、楽ちん。
でも、今日はそうもいかないみたい。
先生から宿題が出てしまった。
「期限は本日の夕食まで。グリフィンドール寮はミス・とミスター・ルーピン、スリザリン
寮はミスター・スネイプとミス・がレポートを回収し、私の研究室まで届けてください」
うわぁ、面倒な役だぁ。
でも届けるだけだし、まあいいか。
も一緒だから退屈しないし。
何だかピーターがうんうん唸ってるから、僕が代わりに残りの実験をやって、羊皮紙に記録して、これで
今日の授業はおしまい。
後で図書室にでも行ってレポートを書こう。
談話室になんかいたら、きっと(今現在居眠りしている)シリウスに「見せろー!」とか言われるに決ま
ってるからね。
そしてふと目を上げると、銀髪のあの子もちょうど終わったようで、ペアの子が何か言っている。
「ごめんね、。結局全部やってもらっちゃって」
「いいわ。それほど苦手な科目じゃないし」
どうやら僕と同じ状況だったみたいだね。
でも、しかし、本当に。
君は笑わないんだね。
夕食前の図書室。
私はいつもの私の席へ。
今はもう日も落ちかけていて、それほどきつい光は差し込んでこない。
穏やかなオレンジ色に包まれて、私は今日の魔法薬学でとった羊皮紙をめくる。
びっしりと書き込んだこの実験結果をまとめて、おしまい。
他のスリザリン生のレポートももう集めてある。
後はこれを・・・・・スネイプ君と持っていけば、それでおしまい。
でもそれはまだまだ来そうにない。
だって、ほら。
「ここでこの粉を混ぜる!赤い液体に変わったであろう?」
「え。そーだっけ?」
「お前は何を見ていたんだ!」
「失礼ね!ちゃんと見てたわよ!」
スネイプ君と、グリフィンドールの・・・さん。
授業中あれだけ騒いでいたのに、また騒いでる。
スネイプ君があんな大声を出すことは、スリザリンの寮内ではまずない。
なかなか貴重だ。まだ見ていたい。
でも、そろそろ持っていかないと時間が。
声をかけようか、かけまいか。
何をしているのだろう、私は。
何を緊張しているの。
同じ寮内の、同学年の男の子に。
さぁ早く。期限が切れる前に。
「スネイプ君。そろそろ持っていかないと間に合わなくなるわ」
「あぁ、すまん、。すぐに行く」
同じ寮内のよしみもあって、彼は私の名を・・・姓ではあるけれど・・・すんなり呼んでくれる。
それだけで、私の心にまた針が刺さる。
チクチクとうるさいな。
「。こことここだけまとめればいい。悪いが先に行く」
「ん。ありがと、セブ」
にっこりと女の子らしく笑い、彼女はまた羊皮紙とにらめっこ。
スネイプ君は私の持っていたレポートを半分持ってくれ、先生の研究室へと向かう。
レポートを持ってくれた。
そんな何気ない仕草がたまらなく嬉しくて、私はお礼を言おうと彼の横顔をじっと見つめる。
だが彼は彼女を見ていた。
私がホッとしたのも束の間。
「後で、な」
スネイプ君は彼女に、何か言葉を、私には分からない言葉をかける。
あぁ、ダメ。
また針が刺さる。
私はその痛みに、たまらず目をそらす。
図書室にはまだ多くの生徒が残っている、それらが目に入った。
目を逸らし、ピタリと止める。
不意に視界に鳶色が飛び込んできた。
目が合った。
何気なく、いつものように見ていただけなのに。
遠くから気付かれないように、一般の風景の中に溶け込むように座っていただけなのに。
いや、きっと偶然なのだろう。
彼女が何かを避けるように視線を逸らし、その先にたまたま僕がいたのだろう。
でも、見事といえるほど瞬間的に僕らの視線はかち合った。
実はまだ見つめているんだ。
何だかお互い外すに外せないんだよね。
どうしよう。きっと向こうもそう思っている。
なんて考えていたら、彼女の方が先にふいっと目をそらした。
セブルスの方にも向けず、僕の方にも向けず、何だか視線が泳いでいる。
しばらくしてセブルスが歩き出し、その後について彼女も歩き出した。
2人がもうすぐ僕の横を通る。
3
2
1
2人は何も言わずに通り過ぎていった。
それはそうか。僕は赤の他人なんだから。
それから十数分してが僕のところにやってきた。
出来立てのレポートを掲げて。
「ごめん、リーマス!急いで行こう!」
「お疲れ、。じゃ、いこっか」
僕はレポートの束を半分以上持つと、さっと歩き出す。
が僕の後ろをついてくるのが分かった。
図書室の出口に着くまでの間、僕はいつも以上に眼を回して周りを見てみた。
茶色、黒、金色、赤・・・。
その日の図書館にいた銀髪は、彼女だけだった。
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