ドリーム小説
「先生!マクゴナガル先生!」
必死になって扉を叩く音に、マクゴナガル先生は急ぎ足で扉に向かった。
押し開けられた扉の前には、自分が監督を務める寮のとセブルスが立っていた。
「どうかしましたか、Miss.、Mr.スネイプ」
「先生、助けてください!」
瞳に僅かに涙を溜めてそう叫ぶに、マクゴナガル先生も眉間に皺を寄せる。
「落ち着きなさい、Miss.。落ち着いて話しなさい」
宥めるよう言ってもは上手く言葉が続けられない。
そんな姿を見てセブルスはに代わって事情を話す。
「実はルーピンが昨夜から行方不明らしく。それを知ったが」
セブルスが皆まで言わずともマクゴナガル先生は何かを悟った。
険しい顔でローブを羽織ると、2人を連れて部屋を出た。
「何故黙っていたのです!2人ともついてきなさい。グリフィンドール寮へ」
スピカ 第二十五夜
一度も訪れたことのない獅子の寮の前には太った貴婦人の絵が掛けられていた。
に気付いた貴婦人がにっこりと微笑む。
『あら珍しい。スリザリンのお嬢さんがいらっしゃるなんて』
優雅に羽扇子を扇ぐ貴婦人に、は息を切らせて話した。
「レディ、お願いです!この扉を開けていただけませんか!?」
息が苦しくてむせながらもは必死に頼む。
だが貴婦人は困ったように眉を寄せる。
『申し訳ないけれど。合言葉がないと開けられないわ。たとえ獅子寮生でもそれは一緒な
のよ』
「お願い、レディ!!開けてください!」
扉の合言葉の規則はスリザリンも一緒であるゆえ無理なのはわかっていた。
それでもは必死に頼み、貴婦人に向かって頭を下げた。
『開けてあげたいけれど、でもねぇ・・・。あら』
貴婦人が困っている声には何とかならないかと頭を巡らせた。
そのとき彼女の前で重く存在していた扉がぎぃっと音を立てて開いた。
「ひとんちの前で何やってんだ」
男の子らしい無骨な声がの頭に降ってきた。
勢い良く顔を上げると、そこにはグリフィンドールのメンバーの一人のシリウスが立って
いた。
「スリザリン。何やってんだって聞いてんの」
を見て何だか機嫌の悪そうなシリウスに、だがは勢いよく尋ねた。
「お願いします、教えてください!リーマスは今どこにいるの!?」
いつもの大人しいとは違う迫力にシリウスは少し気圧される。
だが何気ない風を装って答えた。
「あ?リーマスは風邪で寝てるよ」
“会わせられねぇから帰ってくれ”とつっけんどんに言って扉を閉めようとするシリウス
に、だがはより一層強い口調で反論する。
「うそ!もしかして昨日の夜から帰ってないのではないですか!?」
「お前・・・なんでそれ」
不意のの言葉にシリウスは驚愕の目を向ける。
豹変したシリウスの顔を見ては“やっぱり”と顔を青ざめる。
シリウスはの肩を力強く掴んだ。
「おい!お前なんか知ってんのか!?リーマスどこ行ったんだよ!?」
鋭い犬歯を覗かせて今にも噛み付きそうな顔で叫ぶシリウス。
はそれでも臆せず問う。
「私にも、わからない。だから教えて下さい。リーマスがいなくなった夜に何かおかしな
ことは起こりませんでしたか?」
「あぁ!?」
突然冷静になったに腹立たしさを感じ、シリウスの不機嫌さは倍増する。
だが怒る頭を静めて忘れていることを思い出す。
それは今日の昼食の席でのダンブルドア校長の言葉。
瞬間シリウスの顔から怒りが消える。
「・・・・・土砂崩れだ」
ポツリと漏らした言葉はの耳にも届き、胸の鼓動を倍速させる。
不意に肩から痛みが消えた。
シリウスは踵を返して談話室へ戻ろうと足を踏み出した。
だが何かに引っ張られ前へ進まない。
「放せよ!!」
「お願い、待って!!」
シリウスの腕を掴むの手に力が篭る。
シリウスの力なら簡単に振りほどける。
だがシリウスは彼女の強い目に魅入って振りほどくことが出来なかった。
「お願いします、私に行かせて!」
「何言ってんだ!女が一人で行って何が出来んだよ!!」
我に返りシリウスはいともあっさりの細い手を振り解いた。
だがはシリウスの前に回りこみ先に行かせようとしない。
「私なら鼻が利くわ。それに治癒も出来る」
「お前、何言って」
「お願いします」
の言うことの意味がわからず、シリウスは眉間に皺を寄せる。
そんな彼には強固な瞳を向け続けた。
青い瞳の奥には同じ色の炎が宿っていた。
「わかった。君に任せる」
不意にの背中に声がかかり、後ろを振り向いた。
そこにはいつも彼らの先頭をきる眼鏡の少年がいた。
「な、何言ってんだ、ジェームズ!!」
予想外のジェームズの言葉にシリウスは慌てるも、ジェームズの目は真剣そのものだった。
「今の僕らはリーマスに関してとても無力だ。でも君は違う。そうなんだろう?」
に負けないくらいの強い目に、シリウスは気圧される。
問いかけられたは同じ炎を宿した目を見つめたまま首を縦に振った。
「君に任せる。その代わり、絶対リーマスを連れ戻してくれ」
「えぇ、約束する。ありがとう」
後ろではまだ納得できていないシリウスがジェームズに吠え掛かろうとしている。
そのときグリフィンドールの玄関からまた別の声が聞こえてきた。
“婦人。スリザリンのMiss.が来ませんでしたか?”
マクゴナガル先生の声だ。
貴婦人が肯定の返事を返すのも聞こえてくる。
は髪を振り乱し、焦ったようにジェームズに向き直った。
「お願いします!談話室の窓を全開にして!」
ジェームズが戸惑っている間にもマクゴナガル先生の足音が近づいてくる。
焦るを見てジェームズは何かを悟り、ピーターに指示を出した。
「ピーター、窓全開!」
「わ、わかった!」
ピーターが一番大きな窓を開け放った瞬間、突風とも言える強い風が入り込んできた。
羊皮紙やら何やらが飛び舞い上がり、談話室の生徒たちが抗議の声を上げている。
“なんですか、この風は!?”
もうすぐそこまでマクゴナガル先生は来ていた。
は意識を集中させる。
ゆっくりと目を閉じ、脳の奥にそのイメージを造りあげる。
大きく息を吸い込み、ピタリと止める。
吹き込む風にの銀髪が舞い上がる。
乱れる髪が光を放ち始めた。
なお一層強くなる風に皆が目を細める。
細められた視界の中で、それまで少女の形を保っていたものが徐々に形を変えていった。
手足が変形し、全身を銀色が包み込んでいく。
それは完全に人の形ではなくなっていた。
「Miss.!!」
マクゴナガル先生が元のものの名前を叫んだ瞬間、それは開け放たれた窓から神速で飛び
出していた。
窓から身を乗り出すと、闇夜の校庭を走る一つの点が見えた。
「!お戻りなさい!!」
それは闇夜に紛れすぐにその身を隠してしまった。
風の止んだグリフィンドール談話室にヒラヒラと羊皮紙が舞い落ちる。
談話室にいた生徒たちは皆呆然とした目で窓の外を見続けていた。
全員の凍結は、しばらくしてシリウスがポツリと言葉を漏らすまで続いた。
「雪豹の・・・アニメーガス」
窓の外には満天の星が輝いていた。
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短いですけどこの先の展開のためにも。
あぁぁん!リーマスどこ!?
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