ドリーム小説
自分に何が起こったのかわからない
それでも顔が熱くて
いえ。胸が熱くて仕方がない
確か前にもこんなことがあった
その人のことを考えると胸が熱くて仕方がなかった。
その気持ちはもうだいぶ前に消えてしまったけれど
どうして
どうしてまたこんなにも胸が熱くなったのだろう
スピカ 第十六夜
赤い絨毯の広がる談話室で、少年少女たちは静かに話しをしていた。
今はとりわけ、ある情報を持ってきた鳶色髪の少年の話に耳が傾く。
「へぇ。まさか、あの女がマクゴナガルの姪だったとはなぁ」
感心したように頷くシリウス。
70へぇ〜くらい出しながら、コーヒーをすする。
「シリウス。やめなさいよ、その呼び方。さんに失礼だわ」
「やぁやぁ、シリウスはきっとまだ根に持ってるんだろ。彼女がリーマスに水をかけたことを」
リリーとジェームズに言われたことに反論できないのか、シリウスは“うっ”と唸ってそっぽを向いてし
まう。
「僕も驚いたよ。のお母さんがマクゴナガル先生の妹さんなんだって」
にっこりと笑ってリーマスは本人に聞いたことを語る。
“だから昔からマク・・・ミネルバおば様にはお世話になっていたの”
もうばれてしまったためか、はあえて“先生”という言葉を使わなかった。
“おば様が教師ということもあって、入学前から変身術の手ほどきは受けていたの。おかげで今、私の一
番得意な教科になったわ”
嬉しそうに話す。
“おば様と私のことを話したのは、リーマス、あなたが最初よ”
できるだけ隠そうと思っていた、と言う彼女の顔に、引いたはずの赤みが再び差す。
“どうしてだい?別に隠さなくても”
“贔屓目で見られたくなかったのよ。身内だからテストの点も甘くつけられる、とか。でもそんな心配
しなくとも、おば様は身内だからといって容赦するような方ではないけれど”
苦笑するに、リーマスも大きく頷く。
“それはよくわかるよ”
あまりに真剣なリーマスに、は思わず噴出す。
リーマスを見つめるその顔は、どんどん赤くなっていった。
リーマスと図書室で別れて、はスリザリンの談話室でぼぉっとしていた。
手に持っている本も、開いたっきりまったく進んでいない。
目もどこか虚ろで、どこを見ているのかわからない。
身体の機能がほぼ停止しかけた状態で、ただの脳内をマクゴナガル先生の言葉が回っていた。
“Mr.ルーピンですよ。あなたのステディーなのでしょう?”
言われたときはあまりの突飛な発言に、何も考えられなかった。
でも今は割と冷静に考えられる。
(・・・そんな馬鹿なこと・・・)
冷静に考えなければ。
がリーマスと出会って、まだ1ヶ月ちょっとしか経っていないのだ。
それも出会ったと言っていいのかもわからないほど奇妙な知り合い方。
そもそも2人が仲良くなるきっかけとなったのは、抜け道のないの恋心だった。
行く宛てのないの想い。
それを救ってくれたのが、リーマスだった。
まだそれほどの月日が経っていないはずなのに、にはひどく懐かしいことに思える。
それは、もうそれだけの心が立ち直ったということ。
(不思議ね。あんなに長い間モヤモヤしていたのに。こんなにもすっぱりと忘れられるなんて)
ソファーに浅く腰掛けることで天井が見つめやすい。
そんなことを考えながらぼぉっとしていたため、の手元にあった本がドサリと床に落ちた。
「あ」
それに気づいて気だるげに手を伸ばす。
だがが本に触れるより先に、他の人物が本を拾い上げてくれた。
スッと渡される本に、はお礼を述べる。
「すみません。ありがとうございます」
「珍しいな。君がぼぉっとしているなど」
の頭に聞いたことのある声が降り注ぐ。
思わず本を持つその白い手の先を追っていた。
「・・・スネイプ君」
不健康と言ってもいいくらいの色白の少年がそこにいた。
セブルスは本をに渡すと、自分は彼女の真向かいのソファーに座った。
まさか彼の方から話しかけてくるとは思わなかったのだろう。
の顔は軽い驚きに満ちていた。
「どうした?僕の顔に何かついているか?」
「い、いえ。どうもありがとう」
慌てて視線をそらすと、拾ってもらった本を膝の上に置く。
不思議な感じだった。
この間まで恋焦がれていた人が目の前にいる。
目も合わせられず、そのくせ彼に声をかけられるのを切に願っていた。
たとえその場にいなくとも、彼の事を考えるだけで胸がドキドキした。
その彼が今、の目の前にいる。
彼から声をかけ、本を拾ってくれた。
なのに。
(・・・何ともないわ。・・・苦しくない)
不思議だった。
でもこの不思議は、きっと医師に見せても、レントゲンをとっても、胸を切開してもわからないんだろう
なとは思った。
「スネイプ君」
気が付いたら、の方から声をかけていた。
セブルスが軽く顔を上げる。
「何か用か?」
セブルスもから声をかけられたことにいささか驚いている。
「少し、話をしてもいいかしら」
本をサイドテーブルに置いて、セブルスを真正面から見据える。
初めて見る同級生の表情に、セブルスは“Yes”とだけ返した。
が様々な質問をし、セブルスがそれに答える。
その繰り返しが続いた。
はいろんなことを聞いた。
授業のこと、私生活、好きな本、好きな場所・・・。
割と自分と重なることがあることにセブルスは気づき、次第に2人の話は発展していった。
そしてどういうわけか、はセブルスとの話を持ち出した。
「さんといるときのスネイプ君って、見ていて面白いのよ」
突然のの話題に、セブルスは眉間に皺を作る。
だが構わずは話を続けた。
「普段は冷静で落ち着いた優等生のあなたが、彼女の前ではただの15歳の少年になるの」
「・・・心外だな」
じゃぁ普段は年老いて見えるのか?という顔をする。
その複雑な表情に、は顔を緩ませた。
「さんも同じ。グリフィンドールの人たちといるときは小さな子供みたいにはしゃぐのに、
スネイプ君の前では少しだけ大人しくなる」
セブルスは普段のを思い浮かべ、“あれで大人しいのか?”という顔をした。
「なぜ?」
「あら。さんだって女の子なのよ。好きな人の前では女の子らしくしていたいものよ」
どこか遠くを見るように少女は話す。
“そういうものか”とセブルスは納得したようだ。
「よく見ているのだな」
感心するようにセブルスが言葉をかけた。
その言葉に、一瞬だけの胸がドクリと脈打った。
視線を前に向けると、セブルスがじっとのことを見ていた。
以前はどんなに望んでも向けられなかった視線が、今はこうもあっさりと自分に降り注いでいることに少
しばかり驚く。
そうだ。いつも見ていた。
いつだって2人を、あなたを見ていた。
「ふふ。まぁね。私、結構観察眼があるのよ?」
おどけたように、嘘ではない誠のことを口にする。
自然と口から出た言葉だ。
不思議との胸は痛まなかった。
「僕のことばかり言うが。。君はどうなんだ?」
「え?」
話も一段落し、これで終わりかと思っていた矢先、彼の方が尋ねてきた。
意地悪く笑っている。
「ルーピンだ。随分仲が良いようだが」
マクゴナガル先生と同じことを言われる。
どうしてかの胸が跳ね上がる。
「どうして、リーマスのことを私に言うの?」
正直な感想だった。
別に他の人だってリーマスと一緒にいるのに、なぜ矛先が自分に向くのだろう。
目の前に座る少年が、にやりと笑った。
「。その鋭い観察眼、たまには僕が代わってやろうか?」
長い足を前で組んで、演説するように語る。
初めて見るセブルス・スネイプに、は心が躍る。
でもそれは恋心じゃない。
それは純粋な好奇心。
「君は女子にありがちな徒党も組まない。他人との共存を好かないところが僕と似ている」
そして彼はフッと笑った。
は図星を突かれて何も言えない。
確かにそうだ。
は集団で、特に女子の塊で一緒にいるのが苦手だ。
だからいつもどこへ行くときもほとんど一人。
「そんな君が奴とともにいることに幾らかの楽しみを感じている。奴に気を許しているからではないか?」
珍しく饒舌なセブルス。
それも本当。
例えば図書館。
確かに昔から図書館には通っていたけれど、その理由は本が好きなことと、もう一つはセブルスがそこに
いたから。
でも今となってはそれは理由にならない。
それでも図書館に通うのは・・・・。
そこまで考えて、質問をセブルスに返した。
「あなたが・・・さんといるように・・・?」
少しだけ意地悪するように返すと、セブルスに視線を外されてしまった。
彼なりの照れ隠しらしい。
初めて見るセブルスの行動に、は知らずに微笑んでいた。
随分と話していたのだろう。
周りを見ると、談話室に残っている生徒はほとんどいなかった。
「君と色恋沙汰について話す日が来るとは、微塵も思わなかった」
セブルスが話し疲れたのか小さな溜め息を吐いた。
「それはお互い様だわ」
も肩をすくめてセブルスを見つめ微笑む。
2人が顔を見合わせて笑うことなど、これが初めてと言ってもいい。
「ねぇ、スネイプ君」
席を立とうとしていたセブルスに声がかかる。
“何だ?”と顔を上げると、にやりと笑うと目が合った。
「卒業したら、さんと式を挙げるのですって?」
思ってもみなかった言葉に、セブルスの目が少し大きくなる。
途端、苦虫を噛み潰したような顔になった。
「・・・誰だ」
「リーマスに。リーマスはさんに聞いたらしいわ」
セブルスは、“あいつめ”という顔をしてそっぽを向いてしまった。
(あ。照れてるのね)
意外と素直な反応が楽しく、はもう一歩踏み込む。
「私も。その式に呼んでくれない?」
あごに手を置き、悪戯っ子のように微笑む同級生に、セブルスはどうでもいいというように答える。
「・・・来たければ来ればいい」
「じゃぁ、勝手に行くわ」
セブルスが小さく笑ったのがわかった。
席を立って自室へ向かうセブルスに、は“おやすみなさい”と囁いた。
サイドテーブルに置いた本に手を伸ばす。
読む気にもならず、自分ももう寝ようかと席を立った。
「そのときは」
不意に上から声が降ってきた。
声のほうを振り向くと、階段からセブルスがを見下ろしていた。
「僕も君のに押しかけるとしよう」
意外すぎる彼の言葉に、今度はが目を見開く。
そんな彼女の姿にニヤリと笑みを浮かべるセブルス。
やられたとは口端を上げて苦笑する。
「ふふ。変な会話だわ」
“全くだ”と一人ごち、セブルスは今度こそ自室へと行ってしまった。
その後ろ姿を見送りながら、は満足そうに微笑んだ。
自身も信じられないでいた。
まさかこの間までまともに話したこともなかった彼とこんなことを平然と話せるとは。
そもそもセブルス・スネイプとはあんなにも丸い人物だっただろうか。
入学して間もない頃の彼は、もっと刺々しかった気がする。
それをあそこまで丸くしたのはきっと、彼の幼馴染に違いない。
あのグリフィンドールの明るい少女に。
セブルスとが一緒にいるときのことを思い出し、思わず笑みがこぼれた。
「グリフィンドールとスリザリンって、実はくっつきやすいのかしら」
そんなことを考え、苦笑しながらスッと目を閉じた。
だがたった今自分が言ったことに自分で驚き、バチッと眼を見開く。
「・・・・何言っているのかしら・・・私」
今の自分の言葉には、明らかに自分のことも含まれていた。
それを無意識に言ってしまったことに問題がある。
そのことに気づくや、また顔が熱くなってくるのを感じた。
何かが頭をよぎる。
胸がチリチリと燃え出す。
だって、口にした言葉より問題があるのは。
「どうしてそこで・・・・あなたが頭に浮かぶの?・・・リーマス」
ニッコリと自分に微笑む彼の姿が瞼の裏に流れる。
無意識に誰かを想ってしまう。
それは誰もが知ってる魔法。
NEXT
BACK
TOP
・・・嘘だろ、こんなセブ。
ありえなぁ〜い。
絶対式にはセブに袴はかしちゃる!!
あ。白無垢の方がいいか?
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送