ドリーム小説
スピカ 第十五夜
変身術の授業中に居眠りしたことでマクゴナガル先生の部屋に呼び出されたリーマス。
先生のお説教を覚悟して彼だったが、話は意外にもあっさり終わった。
「まぁ、満月の翌日ということもありますし。今回は大目に見ましょう。特に言わなくともあなたは普段
からしっかりやっていることですし」
そう言って先生は厳しさを含んだ笑みをリーマスに向けた。
「あ、ありがとうございます」
よかった、とリーマスは素直に胸を撫で下ろす。
だがマクゴナガル先生の眼鏡がきらりと光った。
「これで悪戯がなくなってくれれば最高なのですが」
「・・・・あはは」
それには何とも言えず、引きつった笑みを浮かべるリーマスだった。
コンコン
リーマスの用も終わり、書斎を出ようとドアノブに手をかけたときだった。
反対側。ドアの外から誰かのノックオンが聞こえてきた。
マクゴナガル先生もそれに気づく。
「どうぞ。開いてますよ」
先生がそういうや否や、ドアはリーマスとは反対方向に勢いつけて開かれた。
と同時に少女が飛び込んできた。
「ミネルバおば様!!局から!魔法不適正使用取締局から通知が来ましたわ!!」
歓喜に満ちた笑みを浮かべて入ってきた少女は、リーマスがいるとは思わなかったのだろう。
リーマスもそんな弾丸のような勢いで入ってくるとは思わず、2人は出会い頭に正面衝突した。
「うわっ!!」
「きゃっ!も、申し訳ありません!」
リーマスよりも幾分か背の低い少女は、リーマスの胸にぶつかって謝罪の言葉を述べる。
その声に、その人物にすごく見覚えがあった。
「あ。」
「え?リーマス?」
も自分に返ってきた声に、ぶつかった相手がすぐに分かった。
途端の頬を汗が一筋流れる。
ちらりと視線をリーマスより奥に向けると、案の定マクゴナガル先生は額に手を当ててに鋭い視
線を送っていた。
「・・・・・Miss.」
“とうとうやってしまいましたね”という声が聞こえてきそうだ。
はなんとか何もなかったことにできないかと、頭を巡らせる。
「は、はぁい、リーマス。どうかしたの、マクゴナガル先生の部屋で?」
少しひきつり気味の笑顔で声をかけると、リーマスの割と冷静な声が返ってきた。
「うん、ちょっとね。ところで」
冷静すぎる声に、の笑みが余計に引きつる。
「・・・なに?」
「あれは・・・マクゴナガル先生だよね?」
(・・・・すごい気づかれてるわ)
不思議な顔をするリーマスだが、勘のいい彼を誤魔化そうとしても無駄だと分かったのか、は軽
くため息を付いた。
「?」
「リーマス。図書室で待っていてくれない?後で会いましょう」
観念したように苦笑するに、リーマスはわけが分からずもとりあえずオッケーサインを出した。
パタリと閉まるドア。
リーマスの足音は図書館へ向かっている。
それを確認して、は恐る恐る顔を上げた。
そこには偉大なる恐怖の魔女が眼鏡を光らせて立っていた。
「・・・・・・・・・申し訳ありません」
「!だから言いましたでしょうに。学校ではマクゴナガル先生とお呼びなさいと!」
眼鏡の奥の瞳を吊り上げて怒るマクゴナガル先生に、はまたも苦笑いを浮かべた。
石製の廊下にカツカツと足音を響かせて、リーマスは言われたとおり図書室へと向かっていた。
その音を聞きながら、さっきのの言葉を反芻してみる。
「・・・ミネルバ?・・・おば様?」
はて?と首を傾げながら廊下を歩く。
図書室はもう間近だった。
が上手く説明するということで、マクゴナガル先生はようやく納得してソファーに腰を落ち着
かせた。
向き合って座ったは、部屋に入ってきたときから大事に抱えていた茶封筒をテーブルに置く。
顔いっぱいに笑みを浮かべる。
「おば様。取締局から通知が来ました。私の受験の許可が。実技を見てくれると!」
子供のようにはしゃぐに、マクゴナガル先生もさっきのことを忘れてにっこりと微笑む。
「よかったですね、。ですが、油断は禁物ですよ。まだ祝福の言葉は言いませんからね」
どこまでも厳しさを忘れない身内に、もさっきとは違う力のある笑みを浮かべる。
少女のその力強い瞳に、マクゴナガル先生はに暖かく笑いかける。
「いい目ですね、。以前とは全く違う、決意と自信に溢れる目です」
不意に雰囲気の変わった先生の声に、は不思議な表情を浮かべる。
「あなたがそんな表情をするようになって、私は嬉しいですよ。いい出会いをしたのですね、?」
「え?」
何を言われているのかさっぱりわからず、は大きく開けた瞳で問いかける。
がよくわかっていないと悟ったのか、マクゴナガル先生は“あら?”と虚を突かれた顔をする。
「あら、違うのですか?Mr.ルーピンです」
「リーマス?彼が何か?」
誤魔化そうとしているふうでもないに、マクゴナガル先生はあえて一番わかりやすい言葉を投げ
かけた。
夕食前の図書室。
居心地のいいソファーはほとんどが占領され、リーマスはいつもが座っている一番奥の席で本を
読んでいた。
ここいれば、も自分のことを探すのが簡単だろうという考えもあった。
案の定、図書室の入り口に辿り着いた彼女は一発でリーマスを見つけることができた。
リーマスもを見つけ、大声が出せないので軽く手を上げた。
リーマスに気づいたがこっちに足を向ける。
だが、リーマスはの様子がなんだかおかしいことに気づく。
下を向いてばかりいる。
「ごめんなさい、リーマス。遅くなってしまって」
いつもの口調で謝る。
だがやはり視線はどこか泳いでいる。
「いいよ。それより、何か僕に話したいことでもあるんじゃない?」
“だから僕をここへ呼んだんでしょ?”と問いかけると、は何だか慌てて笑みを浮かべた。
でもやはりリーマスと目は合わせない。
「そ、そうね。そうだったわ。とりあえず座りましょう、リーマス」
そう言って椅子を引くも、いつもとは違ってガタガタとうるさいくらい音を立てる。
は明らかに慌てている。
いつもの冷静で落ち着いた彼女とは明らかに違う。
そして何よりも一番違うことにリーマスは気づいていた。
「。どうかしたのかい?」
「えっ?何が?」
そこでようやくはリーマスの方に顔を向けた。
だが、の身長に合わせるように少しかがんだリーマスとバチッと視線が合ってしまった。
リーマスがの顔をじっと見つめる。
「。顔が真っ赤だよ?」
「・・・え?・・・えっ!?」
軽い口調で指摘されて、は反射的に自分の両頬に手をあてる。
触れた頬は、自分でもわかるほど熱を持っていた。
“なんでどうして?”とは自問自答する。
そこにリーマスの優しい言葉が降ってきた。
「大丈夫?熱でもあるんじゃない?」
そう言うと、リーマスはの額に手を添えた。
赤かったの顔がさらに赤くなる。
「リ、リーマス!!」
リーマスの大きな手の感触と仄かに暖かい体温を額に感じ、の思考は半分以上機能停止していた。
心配そうな顔をするリーマスに、何と言っていいかもわからない。
の顔から赤みが取れて、彼女がちゃんと話せるようになるまで、ゆうに30分はかかったという。
完全にパニック状態になりながらも、の頭の中では何度もマクゴナガル先生の言葉がリピートさ
れていた。
その言葉があまりにも直球すぎて、にはとても対処できない。
“Mr.ルーピンですよ。あなたのステディーなのでしょう?”
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観念したように苦笑するに、リーマスはわけが分からずもオッケー牧場と言った。
・・・これわかる人います?ガッチュいしまちゅ♪
あ。ステディー=決まった恋人、ですよ★
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