ドリーム小説
Sleep
【名】睡眠、眠り;永眠、死
【動】眠る、永眠する
椿姫 sleep 2
学校の図書館や寮の個室、一人きりの魔法薬学の実験室・・・・・
それ以上に落ち着ける場所があるなんて思ってもみなかった。
まして、それが売春宿だなどとはとても口外できない。
それでも、情事のためにあつらえられたこの部屋が―――否、のいるこの部屋が一番心安らぐ。
体の汚れを落としたい、とはシャワー室に入っていった。
することのないセブルスは、綺麗に整えられたベッドの淵に座る。
ぐしゃぐしゃに乱れていたベッドは、時間になると魔法が発動するのか、自然と清潔なものへと変化した。
太陽の日の匂いのする真っ白なシーツは、触れているだけで心地よく、睡眠の足りないセブルスを夢の中に誘い込む。
(・・・・・・・・・まずい・・な・・・)
が浴室から戻るまで―――そのはずが、のいる安心感からか、セブルスは次第に深い眠りへと落ちていく。
夢も見ないほどの深い世界へと、少年は旅立った。
口に咥えられた煙管からプカリと真っ白な煙が立っている。
男は一度煙管を放すと、備え付けられた箱にカンッと音を立ててぶつけ、中の灰を取り出した。
煙管に新しい葉を詰めながら、マスターはカウンターの横に座る女性に一瞥をくれる。
初老の女性は、少女が着る服のほころびを直している。
男は杖を取り出して呪文を唱え、煙管の葉に火をつけた。
3口吸い、フゥッと長い煙を吐き出す。
「あの坊主にタダ券を送ったのはお前か?」
低い、とても重みのある声が響く。
ほころびを直していたの指が止まる。
だがすぐにその手は動き出し、ほつれた糸を直し始める。
「・・・・・それが何か?」
険悪な雰囲気など全て包み込んでしまうような穏やかな声が流れる。
そんな声とは対照的に、マスターは苛立たしげに舌打ちする。
「余計なことをするんじゃねぇよ。椿一人で、どれだけ稼げるかわかってんのか?」
看板娘に無料券を使われたのでは商売にならない。
だがそんなマスターの苛立つ気持ちとは裏腹に、はなんとも寂しそうに笑う。
「・・・・・・何笑ってやがる。あの娘は天性の娼婦だぞ。あんな逸材、滅多にいねぇ」
楽しげに口元を歪め、プカリと煙を吐き出す。
は広げていた服や裁縫用具をまとめ、椅子から立ち上がった。
一際寂しそうな笑顔を向ける。
「ですが・・・時が来ました。・・・・椿の・・・の好きにさせてやってください」
その言葉に、マスターの顔から醜悪な笑みが一瞬で消える。
は優雅に男の横を通り過ぎ、奥の部屋へと入っていった。
残された男は、プカプカと浮かぶ白煙を眺め続ける。
その口元に、再び醜悪な笑みが刻まれた。
「小娘一人・・・・・・・どうってことはねぇ」
外からは、賑やかな子供の喧騒が聞こえてくる。
窓など開いていないのに、どこからか風が吹き入り、白煙をなびかせる。
「みじけぇ命だ・・・・・好きにさせてやるさ」
煙管を灰皿に打ちつける、カンッという音だけが響き渡る。
体があたたかいものに包まれているのが分かった。
心についた微細な傷も、全て癒されるくらいあたたかい何かに。
このまま目を閉じ続けていられたら、どんなに幸せだろう。
鼻をくすぐる桃の香に、だがセブルスは薄く目を開けた。
「ありゃ。起きちゃった?」
自分の頭の上から聞き慣れた声がする。
そこでやっと自分がベッドに横たわっているのに気付く。
少しだけ目線を上に向けると、そこには穏やかに笑うの姿があった。
「・・・・・悪い。・・・僕はどのくらい寝ていたんだ?」
何度か目を瞬かせ、セブルスは眠気を覚まそうとする。
瞬かせる目の間に、次第に皺が刻まれる。
パッチリと開けた目の前に飛び込んできたもの。
チャイナ服を着てはいるものの薄っすらと透けたの胸の下着と、その柔らかい感触。
「っ
//////
!!?!?」
時計を見ていたの「1時間くらいかな?」という声は、セブルスの耳に届いていない。
「〜〜〜〜
///
!!!」
突然自分の腕の中で暴れだしたセブルスに、は慌てる。
「ちょっと、セブルス君!なに?どうしたの?」
あくまで落ち着いた口調のに疑問を感じるも、何だか一人でだけ慌てている自分にセブルスは情けない気もした。
だがやはり直視することはできず、目を泳がせ続ける。
真っ赤な顔でうつむくセブルスに、も彼が何に慌てているのか気付く。
フッと軽く微笑むと、セブルスの後頭部に回していた腕に力をいれて引き寄せた。
「目を瞑って、セブルス君。落ち着いて・・・深く息吸って」
さっきよりも近くなってしまったの胸元にどぎまぎしながらも、言われたとおり気を落ち着ける。
は片手を自分の背中に回すと、プチッという音を立てて胸の拘束を緩めた。
もう一度両手でセブルスの頭を抱くと、自分の胸に顔をうずめさせる。
セブルスは突然頬に当たった柔らかな感覚に、頭が瞬時に沸騰した。
「なっ
//
!?何する」
セブルスの抗議の声も、「静かに」と一言で閉ざされる。
の胸はまだ幼く小振りである。
とはいえ、それなりに弾力もあり、正直に言うと気持ちがいい。
一瞬でも気を抜けば、男としての自我が目覚めてしまいそうだ。
「いいから。あのね?女の子の胸って、人を安心させる効果があるんだよ。セブルス君、疲れてるんじゃない?」
目の下のくまを言い当てられ、セブルスは何も言えない。
確かにここのところ軽い不眠症で、あまり寝ていない。
イライラすることも多かった。
柔らかい感触と、微かな桃の香に心が安らぐ。
忘れかけていた眠気が再び襲い始める。
「このまま寝ちゃっていいよ。時間になったら起こしてあげる」
その声がまるで子守唄のようで、あまりにも心地よくて、セブルスは否定の言葉を出すのを忘れてしまう。
温かな体温と、柔らかな感触、心地いい香りに包まれて、セブルスはゆっくりと目を閉じた。
はそんな少年の黒髪を愛しそうに撫でる。
それは無意識であろうが、は自分の腰に彼の手が回っているのに気付いた。
まるで幼子のようなその仕草に、思わず笑みがこぼれる。
「おやすみ、セブルス君」
自分とは対照的な黒い髪をかきあげ、額に軽くキスする。
「私も・・・・・・会いたかったよ」
彼の低い体温が心地よくて、もそっと目を閉じた。
夢を見た。
何年も前の、二度と蒸し返したくもない思い出。
初めて、ここで仕事を任されたときのこと。
わけが分からないまま知らない男に抱かれて、幼い体が悲鳴を上げていた。
楽しそうに笑う男と、泣きじゃくる自分。
その瞬間、世界中の「男」という生き物を嫌悪した。
男なんていなくなってしまえばいい―――本気でそう思った。
その日から自分はメスとなり、毎日のようにオスを相手にして生きてきた。
彼らからいろんなことを教わって生きてきた。
文字の書き方、読み方、生活一般、世間のこと。
男の喜ばせ方、演技、キス、セックスの仕方。
それでも、誰も教えてくれないこともあった。
男を愛する方法。
この憎むべき生き物を、自分はどう愛すればいいのでしょうか?
愛することのできる男などいるのでしょうか?
女の体を貪ることしかできない無能な、下半身だけで生きているような奴らを、自分はどう愛すればいいのでしょうか?
それでも、今自分の胸の中にいる少年にだけは、自分をお金では買ってほしくありません。
もし体を繋げる日が来たとしても、それが意味のないものであっては欲しくない。
こんなわがままは許されるのでしょうか?
初めて湧き上がったこの感情。
なんという名前なのでしょうか?
ただ私が願うのはひとつ。
彼の所有物になりたい。
まるで意識が繋がっていたかのように、2人は同時に目を覚ました。
久しぶりに安眠できたセブルスは、頭の中がすっきりとしていた。
仕事を終えたばかりのも疲れた体を休ませることができ、幾分かはましになった。
セブルスは今更ながらに恥ずかしかった。
同じ年の少女の胸に抱かれて眠っていたなど、誰にも言えない。
「おはよう、セブルス君」
頭の上から声が降ってきた。
彼女の腕の中で身をよじらせ、少しだけ顔を上に向ける。
天使のように優しく微笑むがいた。
深い青の瞳が輝く。
セブルスも挨拶を返そうと口を開いて、だがそこから言葉は生まれなかった。
セブルスの目が一点に集中する。
の細い首についた、真っ赤な印。
自分以外の男が彼女に残していった情事の痕。
それを見ているだけで、何かがセブルスの中で蠢く。
「・・・セブルス君?」
突然黙り、何かを凝視する彼をはいぶかしむ。
だが、彼の視線の先を追い、彼の目が何に取り憑かれているのかを悟る。
洗ってもおちることのない束縛の印。
は苦々しげな顔をする。
セブルスに言い訳したってしょうがない。
これが、自分の仕事なのだから。
何も言ってこないセブルスに、はいささかホッとする。
純情な彼のことだから、気恥ずかしくて目を逸らしたのかもしれない。
だが、そんな考えとは正反対の言葉が少年の口から漏れた。
「その・・・・・・・これは、どうやってつけるんだ?」
セブルスに視線を戻すと、彼の指がの首を指していた。
純真無垢な少年の闇のような瞳に、の姿が映っている。
不意に沸き起こるの闇の心。
この少年のものになりたい。
この少年を手に入れたい。
「・・・・・・・・?」
横抱きにしていたセブルスをベッドに仰向けに寝かせる。
は彼の上に覆いかぶさり、セブルスの肩に顔をうずめた。
「・・・・教えてあげるから・・・・ちょっと黙ってて」
その細い指で、緑と銀のストライプのネクタイを解き、ワイシャツのボタンを3つだけはずす。
セブルスの不健康そうなほど真っ白な肌が露わになる。
華奢だが、それでも少年らしく肩はがっしりとしている。
の息が肩にかかる。
その熱っぽさに、セブルスの心臓はドクンと脈打つ。
白い首の付け根―――シャツでギリギリ見えないかという位置に、はそっと口付けた。
熱くしっとりとした唇の感触に、セブルスの肌が粟立つ。
両の唇で肌をはさみ、ペロッと軽く舐め上げ、そこにきつく吸い付く。
チクッとした痛みにセブルスの体が微かに反応を見せる。
赤く咲いた花を、は最後にペロッと舐め上げた。
「ここなら、見えないでしょ?・・・こんな感じだよ」
鏡がないと確認できず、視覚で確かめることはできないが、チリチリとした痛みがその存在を主張している。
その熱が、一生消えなければいいのに。
そう思えずにはいられなかった。
は自分でくつろがせた彼の服を直そうと手を伸ばす。
一つずつボタンを嵌めていく。
突然セブルスの服の乱れを直していたの手が取られた。
強い力で引っ張られる。
「な、なに?」
力の差は歴然である。
セブルスは起き上がると、瞬時に自分との立場を逆転させた。
今度はセブルスが見下ろす形になる。
「セ・・ブルス君・・?」
すでに肌蹴た状態のの服の胸元を横に広げる。
真っ白な―――だが先に誰かにつけられた赤い花が散る肌が露わになる。
セブルスはゆっくりと顔を近づけ、お返しとばかりにの鎖骨に口付けた。
がやったことを思い出し、同じようにしてそこをきつく吸う。
「・・・ん・・・・ぁっ・・」
肌に触れるセブルスの手は冷たいのに、吸い付く唇は燃えるように熱い。
その相違が心地よくて、思わず艶っぽい声が漏れてしまう。
それは仕事で身につけた演技などではなく、無意識に。
そのことに、は自分でも驚いていた。
男に触れられて、素直に感じれる自分がまだいたことに。
ほどなくしてセブルスが唇を放すと、そこには真っ赤な刻印が残されていた。
チリッとした痛みに、もそこに痕がついたことを認識する。
ふと顔を上げると、そこには気恥ずかしいのか真っ赤な顔をしたセブルスがいた。
そそくさとの着衣の乱れを直す。
「・・・・・すまない。・・・・・子供っぽいことをして・・」
そんな彼の純粋な姿に、の心がホワッとあたたまる。
キスマークなんて、今まで嫌というほどつけられてきたが、付けた後に自己嫌悪で赤くなる男なんて見たことがない。
気付いたら、顔いっぱいに笑顔を浮かべる自分がいた。
「・・・・・セブルス君・・・・・・・可愛すぎだよぉ!!」
「うわっ!なっ!?!!」
油断していたセブルスに、は思いっきり飛びついた。
大きなベッドの上を重なりながらゴロゴロと転がる。
が上に乗っかった状態で、回転は止まった。
少女は楽しそうに笑う。
「セブルス君」
からの2度目のキス。
幻などではない。
その柔らかな感触が、セブルスの唇に伝わる。
驚きはしたものの、その感覚を忘れたくなくてセブルスはの体を抱きしめる。
それから何度もキスし、見つめあい、2人で笑いあった。
「嬉しいよ。これ、私がセブルス君のものだっていう印だよ」
の銀糸の髪がサラリと流れ、セブルスの顔にかかる。
くすぐったいような感触が、逆に心地いい。
もう何もいらない。
どんなに仕事が来ても構わない。
この印さえあればそれでいい。
「会いにきて、セブルス君。この印が消える前に、また私に印をつけに来て」
その眩しい笑顔が忘れられない。
セブルスの瞳に焼き付いて離れない。
目に見えるしるしが欲しい。
私とあなたを繋ぐしるしが欲しい。
あなたになら束縛されても構わない。
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