ドリーム小説
Sky
【名】空、大空、天空;天国
椿姫 sky 5
私は彼を愛しています。
この世で唯一、彼だけを愛しています。
これが叶わぬ恋だと分かっていても―――決して幸せになることのない恋だとわかっていても、もうこの気持ちは止められない。
打ち明けてしまった今、後は一気に加速するだけ。
彼を愛したことを誇りに思い、決して後悔することはないでしょう。
でもきっと、私を愛したことを彼は後悔するのでしょう。
これは禁断の恋です。
―――人前で泣いたのはいつぶりだろう?
―――真昼間の外でこんなふうに触れられるのは初めて。
―――これはこれで・・・・楽しいかもしれない。
そんなことを考えながら、は首筋に感じる柔らかな唇の感触を楽しんでいた。
一度肌蹴させたブラウスのボタンをもう一度外し、下着が見えない程度まで肌を露出させている。
露わになった肌に少年の熱い吐息がかかってこそばゆい。
それでも、今目の前にいる少年に肌に触れられることも、名前を呼ばれることも、苦ではなく、むしろ幸福でさえあった。
不意に長めの黒髪がの首をくすぐる。
「くすぐったいよぉ、セブルス君」
チクチクとした痛みに、少しだけ身をよじる。
「・・・・気がそがれる。少しは我慢しろ」
中途で茶々を入れられ、セブルスはやや仏頂面で返事をする。
余裕のない彼のその姿が可愛くて、はクスクス笑いながら「はぁい」と返事する。
上半身だけを起こしたの首下に口を近づけ、セブルスはさえぎられた行為を再開する。
最後にキスマークをつけてから、1週間経った。
セブルスが付けた印が消える前に、また新たな印を刻む。
―――彼女が自分のものであるために。
―――自分が彼女のものであるために。
百花楼という隔離された空間の外で。
穏やかな風、眩しい光、澄み渡る青い空の下で。
2人は稚拙で艶やかな情事に耽る。
それはまるで2匹の猫がじゃれあっている様でもあり、幼子が母親に甘えるようにも見えた。
「終わったぞ、」
「はぁい。・・・・・・・・」
返事の後の沈黙が長い。
「・・・・・どうかしたか?」
何か不手際があったのだろうかとセブルスは不安になる。
だが、そんな想いとは対照的に、はちょっと意地悪な顔をする。
「セブルス君」
「・・・・・・なんだ?」
「キスマーク。つけるの上手になったね?もしかして才能あり?」
「なっ・・・にをっ
///
!!」
―――そんな才能など指摘されても、恥ずかしいだけであまり嬉しくない。
好きな少女に技巧の上達を褒められ、セブルスは何だか複雑な気分だった。
「あはは、かぁわいぃ、セブルス君。耳まで真っ赤だよぉ?」
楽しげに笑いながらはセブルスに飛びついた。
まだ服を肌蹴させたままのの胸元から、淡い色の下着が見え隠れする。
見ないようにと目を逸らすが、意識せずとも見えてしまうそれにセブルスの理性が飛びそうになる。
ただでさえ自分の気持ちを告白したときの自分自身の無意識の行動で飛びかけたのに、これでは蛇の生殺しである。
「!!服を直せっ!!」
「いやぁ。面倒でぇす!」
どぎまぎするセブルスが面白いのか、はわざと逆らう。
彼の肩に顔を載せ、にやりと含みのある笑いをする。
不意にに悪戯心が芽生えた。
「う・・わっ
///
!!?!」
不意に自分の耳を襲った快感に、セブルスの口から珍しい悲鳴の声が上がる。
耳を舐められ、噛まれたと気付いたときには、もう顔はこれ以上ないほど真っ赤になっていた。
「っ
///
!!」
「にゃぁお!」
猫を気取って返事をしてやるも、セブルスは怒ったような恥ずかしいような顔でを睨みつける。
紅潮して慌てた様子は逆にを楽しませた。
「うわぁ、だめだ。病み付きになりそぉ」
いちいち過敏に反応するセブルスが面白くて、の顔から笑いが途絶えない。
それは彼女に出会って以来、初めてのこと。
2人の気持ちが通じ合えたことで、2人の距離が少しではあれ近づけた証拠。
その事実が、セブルスは堪らなく嬉しい。
こんなささやかな幸せが、永遠に続けばいいのに。
嫌なことは忘れてしまおう。
今だけでも忘れてしまおう。
彼女を自由にできないことはよくわかっている。
彼女がこれからも自分とは違う男に触れられることも分かっている。
彼女自身もよくわかっている。
だからせめて今だけでも―――忘れてしまおう。
頭上に輝いていた太陽はいつの間にか、西の空に沈みかけていた。
風も冷たさを帯び始めている。
そろそろ遊戯は終幕へと差し掛かる。
「。時間だ、もう戻ろう」
セブルスはあくまで単調な口調を押し通す。
本当はこんなこと言いたくない。
時間など忘れて一緒にいたい。
それはもセブルスも同じこと。
セブルスの言葉に、は納得しつつも、どことなく寂しげな笑みを浮かべる。
「そ・・だね。・・・・戻ろうか?」
ふわりと微笑むも、その壊れそうな笑みにセブルスの胸は余計に締め付けられる。
―――少しくらいの我侭なら・・・・いいだろうか?
より先を進んでいたセブルスが不意に振り返る。
何事かと思っているに、どことなく照れくさそうに彼は言う。
「・・・その・・・・もう少しくらいなら、平気か?三本の箒で飲みなおすくらいなら」
逆光で分からないが、その顔はきっと仄かに色づいているのだろう。
セブルスの周りに漂う雰囲気を敏感に感じ取ったは、彼の気遣いに心が躍りだしそうになる。
「・・・いいの・・・?」
期待に満ち溢れた顔が隠せない。
自分はこんなにも心情を隠すのが下手だっただろうか?
「あぁ。が帰って来るまでだが。・・・・・行くか?」
どこか自信ありげな表情を浮かべるセブルス。
彼女はきっと自分についてくる―――――どうしてか、それ以外の答は思いつかなかった。
「・・・・・うん・・・・うんっ!!行こう!!」
その予想通り、は曇っていた笑いを晴れ晴れしいものに変えて軽い足取りで走り出した。
だが運動慣れしていないせいか、セブルスを追い越した時には軽く息があがってしまう。
忘れることはできない―――どこまで行こうと、彼女は籠の中で飼われている、か弱い存在なのだ。
気をつけるよう注意しようとして、だがセブルスが口を開く前に、はセブルスの少し前で立ち止まっていた。
「セブルス君!!」
少女の後方には、広いとも言えない村がその姿を誇示している。
少女は、これは私の街だと言わんばかりに両手を広げて空に掲げる。
傾き始めた太陽が、だけを照らし出すかのようにその光を彼女に注ぎ込む。
の銀糸の髪が光を受け、遠い海の水面のようにキラキラと光り輝く。
彼女の笑顔に応えるかのように、の後ろからセブルスの方へと一陣の風が吹き抜けてきた。
セブルスの闇色の髪が風に舞う。
「だぁいすきっ!!セブルス君!!」
愛しい者の眩しい笑顔。
決して消えることのない―――だが、どこかに儚さを残した笑顔。
そうだ。
ここには幸せがある。
嫌なことは忘れてしまおう。
今だけでも―――幸せでいよう?
夕方の三本の箒は、仕事帰りの人々で、これでもかというほどごった返していた。
空いているのは一番端のカウンターのみで、マダム・ロスメルタに案内され、2人はそこに腰掛けた。
他にもまだ多数のホグワーツの生徒が残っている。
とセブルスだけが目立つことはない―――はずはなかった。
店に入ったときから、店内の客がチラチラとの方に目を向けてくる。
それは男も女もだったが、とりわけ男の目の数が多数である。
それもそうだ。
の美しさは尋常ではない。
雪のような肌に流れる銀髪、深海のような青い眼にルージュをひいているような赤い唇。
細く華奢な体が繰り出す身のこなしは、嫌でも人目を誘う。
それは彼女の長年の職業が影響しているのかもしれない。
何もしなくても、男を魅了する雰囲気を醸し出していた。
ホグワーツの学生数人と目が合ってしまい、セブルスは相手を射殺しそうな目で見つめ返した。
睨まれた方は、セブルスの視線に慌てて目を逸らしたり、ニヤニヤと揶揄混じりの視線を向けたりと千差万別。
もその視線を感じ取り、不思議な顔をする。
「なんか見られてない?」
そう言って振り返ると視線が合った男は、皆顔を赤くして視線を逸らす。
それがセブルスは無性に腹立たしかった。
「・・・・私・・どこかおかしい?」
自分の醸し出すフェロモンに気付いていないのか、はきょとんとした目をセブルスに向けてくる。
その鈍いとも可愛らしいとも言える様に、思わず深いため息を付いてしまう。
「・・・・・・・わかっていないのか?」
「・・・何が?」
無邪気とも天然とも言えるその様子に、セブルスは2度目のため息を付く。
「・・・・君が一般的に見て・・・かなり美麗な部類にいるということだ」
「・・・・・・・・・・・・・・へ?」
何を言われたのかわかっていない。
は目を点にしてセブルスを見つめる。
納得していないのか、理解していないのか。
セブルスは照れくささに頬を赤くし、顔をから背けた。
「・・・・もう一度しか言わん。。つまりは君が・・・・・・・美しい・・・ということだ
///
」
最後の方は消え入りそうな声で、だが本当のことを告げる。
やけに乾いた喉に手を当て不意に横を向くと、どことなく紅潮気味のが見えた。
「・・・・・・?」
いつも笑うときに細める瞳が大きく見開かれている。
初めて見るクリッとしたつぶらな目を、正直に可愛いと思った。
「お客さんとかお店の皆はよく言ってくれるけど・・・・・私、お世辞だと・・・」
「お世辞で済む範囲のものじゃない」
基本的に頭はいいのだが、はどこか抜けている。
「?」
覗き込んだ彼女の横顔は―――光のせいではなく―――ほんのり赤く染まっていた。
「・・・・・・どうしよ。嬉しすぎて・・・どうしていいかわかんない」
「どうもしなくていい」
そう言ってそっとの頬に手を添える。
セブルスの冷たい手が、徐々にの熱を奪っていく。
セブルス・スネイプのその意外な行動に、後方のテーブルから揶揄の声が上がったが、所詮は愚か者の浅はかな言動。
セブルスは気にしないことにした。
「は変わらず、そのままでいればいい」
この美しさは自分だけのもの。
自意識過剰でもいい―――そう思わずにはいられない。
不意に自分の手に暖かみを覚える。
気付くと、が彼の手に自分の手をそっと重ね合わせていた。
「変わらないよ。私は」
白い肌にオレンジの照明がよく映える。
グラスの中の氷が、カランッと音を立てる。
「ね?セブルス君は、生まれ変わったら何になりたい?」
突然の問いかけに、セブルスは一瞬思考が追いつかなかった。
「・・・生まれ変わったら・・?」
言葉を反復すると、は頷く代わりに目を少しだけ細めた。
その仕草が同い年とは思えず、ひどく艶っぽい。
彼女の表情に気をとられていたことに気付き、セブルスは慌てて答を返した。
「来世のことなど、考えたこともない」
―――今があればいい。
―――のいる、今があればそれでいい。
その言葉は口に出すことはないが。
はどうなのかと聞くと、ひどく儚げな顔をした。
今にも消えてしまいそうで、添えた指で頬を撫でてみた。
指先に帰ってきた滑らかな感触に安堵する。
セブルスの指の繊細な動きに、はそっと目を閉じた。
淡く色づいた唇が言葉を紡ぎだそうと微かに動く。
「私はね?・・・・生まれ変わっても私になりたい。・・・そしてね?」
2人を包み込む喧騒が一瞬で消えうせる。
「またセブルス君と出会いたい」
そして今度こそ、普通の恋をするの。
誰にも邪魔されない。
いつも傍にいて、手を繋いで、笑い合って、キスして・・・・・。
普通の女の子の恋をするの。
そうすれば―――君を幸せにできるわ。
再び開かれた深い青の瞳には、セブルスだけが映されている。
吸い込まれそうになりながらも、セブルスの頭は正常に機能していた。
の言った言葉を正確に解釈している。
―――なぜそんなことを聞くのだ?
―――なぜ死後のことなど考えるのだ?
一抹の不安がよぎる。
それでも自分の今の気持ちは一つ。
彼女の想いと自分の想いに相違はない。
「。・・・・・僕も・・・願うことならまた君と」
自分も同じ気持ちだと、そう言いたかったのに―――それは絶妙なタイミングで阻止された。
「セブルス!!早く来い!列車が出ちまう!!」
ざわつく店内でセブルスは一際大きな声で名前を呼ばれ、注意してやろうと声の主の方へと顔を向けた。
そこにはやはり、自分が帰りを待っていた金髪の少年が立っている。
セブルスはが来るまでという条件付でを三本の箒に誘ったにもかかわらず、が現れたことにどうしようもなく苛立った。
に言いかけていた言葉も忘れ、セブルスは無言でに眉間の皺を見せ付ける。
だがそんなことをしても無駄で、ホグワーツ特急の発車を止められるわけではない。
眉間に寄せた皺を自力で戻すと、軽いため息を付いての方へ向き直った。
少女はセブルスの中途半端な言葉に不満を言うでもなく、ただ儚げな笑みを浮かべていた。
2人の別れの時間がやってきた。
「・・・・・時間だね。今日は・・・ほんとに楽しかったよ」
自分のすぐ横からする声に耳を傾け、セブルスはカウンターに2人分の代金を置き、椅子にかけていたローブを羽織る。
かすかな衣擦れの音に紛れて、その声は届いた。
「セブルス君」
名前を呼ぶ声はひどく頼りなく、ガラスの器を弾いたように響き渡る。
向けられた笑顔はあまりにも儚く、水面を不安定に揺れる木の葉のようで。
「そんな顔をするな」
“寂しい”という感情が自分の顔にまでうつってしまいそうで、セブルスはできるだけ柔らかく微笑む。
壊れそうな彼女の笑顔を見ていると、どうしてもよぎる想いがある。
感情などめったに口に出さないセブルスなのに、誰も聞いていないという安心感が彼の口の拘束を緩める。
「また・・・・会えるか?」
声が震えないように、細心の注意を払う。
不安な顔をしないように、必死に強気を保つ。
どんな言葉が返ってくるのか、多少の不安はあった。
答えは2つに1つ。YESかNO。
だが返ってきたのはどちらの言葉でもなく・・・。
「さんが・・・待ってる。がっこに帰れなくなるよ?」
いつもの儚げな笑顔。
どうしてが自分の問いに答えてくれないのか、セブルスにはわからなかった。
不安が溢れかえりそうだ。
「セブルス!間に合わなくなるぞ!」
遠くでが叫んでいる。
セブルスはもう一度だけ視線を合わせると、ローブをひらめかせてに背中を向けた。
彼女の視線が背中に突き刺さる。
見つめられていると意識するだけで胸がざわめく。
次に会えるのはいつだろう?
そういえばもうすぐふくろうテストがある。
試験勉強をしなければいけない。
そうしたら、当分ホグズミードには来られないかもしれない。
そんな、今のセブルスにはどうでもいいことを考えながら、一歩一歩重い足を前へ進めていたときだ。
店の喧騒に混じって、澄んだ美しい声が響いた。
「セブルス君」
たった一言、名前を呼ばれただけでセブルスの足は止まってしまう。
―――振り返ってはいけない。
今振り返れば、きっと自分は彼女の傍を離れられなくなる。
自分は学校へ、彼女は百花楼へと戻らなければならない。
振り返ってはならない。
歯を食いしばり立ち竦むセブルスの背中に、その言葉は降り注がれる。
甘く、切ない桃の香りを含んで。
「生きてさえいれば・・・また会えるよ。私はずっとそばにいるから」
―――離れていても、いつもそばにいるよ。
心と体がバラバラになる。
自分の気持ちが抑えられない。
自分の行動が予想できない。
真新しい店のドアノブに手をかけていたはずなのに―――気付いたときには、セブルスは店の奥に舞い戻っており・・・。
―――知らない。わからない。自分の行動がわからない。
「・・・・・セブ・・ルス・君・・?」
セブルスは自分でもわからぬまま、をきつく抱きしめていた。
もう一生放さないと言わんばかりに、きつくきつく。
「セブルス君、列車が出ちゃうよ。帰れなくなるよ?」
彼の突然の行動に驚き戸惑いながらも、それでもは彼を自分から引き剥がそうとする。
だがセブルスはそれに反するように、尚もきつく抱きしめる。
―――離れたくない。
―――ずっと一緒にいたい。
―――せめて、せめて自分の想いを・・・・
が精一杯の力を振り絞り、なんとかセブルスの胸の中から抜け出すことができた。
早く列車に乗るよう注意しようと顔を向けたときだった。
「セブルス君。さんが待って」
その続きを言うことは叶わなかった。
少女の小さな唇は、少年のそれで塞がれてしまったから。
それはセブルスからの初めてのキス。
全てに任せていた彼が起こした、初めての行動。
予想外の、あまり期待していなかった彼の行動に、の思考はついていけないでいた。
それでも自分の唇に広がる感触はひどく甘美で、放しがたくて。
店内からぽつぽつと沸き起こる揶揄の声など全く2人の耳には入らない。
セブルスがカウンターに座ったの腰をそっと抱きしめると、それに応えるようにもセブルスの首に手を回す。
永く甘い、永遠ともいえる時間が流れる。
目を瞑っていたは、不意に唇から暖かみが離れていくのを感じ取った。
―――あぁ、もうお別れか。
そんなことを思いながら目を開け、目の前にあるセブルスの顔が歪んで見えることに気付く。
そこで初めて、は自分の頬を伝う熱いものに気付いた。
「・・・・・・セブルス・・君・・」
無意識に呼んだ名前に、の目からはさらに涙が溢れ出る。
セブルスはの頬に触れると、親指の腹でそっと涙を拭い去ってやった。
の両の頬を、彼の冷たい手が包み込む。
その温度を忘れたくなくて、はその手に自分の手をそっと添える。
「愛している。・・・・・いつかきっと・・・迎えに行くから」
言葉が終わるとすぐに、の頬から冷たい感触は離れていった。
どうしてか、その手を掴み、留めておくことはできないでいた。
涙で歪む世界で、漆黒のローブが店の入り口をくぐるのが微かにわかる。
遠くで木製のドアが閉まる音がする。
そして、忘れていた店の喧騒が再び流れ始める。
店から彼の存在が、気配が完全に消えた。
もうすぐ、この村からも彼の気配は消えてしまう。
遠ざかってしまう・・・遠くに行ってしまう。
「セブルス君」
遠くのテーブルから、男たちの酒盛りの声が聞こえてくる。
でも少女の耳の奥では、彼の声が鳴り止まない。
「セブルス君」
オレンジ色の照明の灯りが、人々の体温を高めていく。
でも少女の頬には、まだ彼が残していった冷気が漂う。
―――離れたくない。
―――ずっと一緒にいたい。
―――私をあなたのそばに閉じ込めて置いて。
―――もうあなたじゃなきゃ・・・・ダメなの。
「・・・待ってる。・・・・ずっとずっと、待ってるよぉ・・・セブルス君」
―――早く迎えに来て、王子様。
―――もうそれほど、時間はないの。
もうすぐ悪魔が、やってくる。
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