ドリーム小説


眉を寄せて眩しそうに眼を細めるを、シリウスとリリーは真上から見下ろし交互に名前を呼んだ

・・・っ!」
、気がついたのね・・・!?」

友人2人に名を呼ばれたは細く開けた目で2人の顔を交互に見た

「・・・ここ、は・・・?」
「保健室よ。わかる?」
「保健室・・・?」

はリリーの言葉を反復すると、肘をついてゆっくりと上半身を起こした

「あ、!まだだめよ、横になってなきゃ」
「・・・?」

リリーはを心配し甲斐甲斐しく世話をやいてくれた
けれど当のはというと、そんなリリーを怪訝な目で見つめ返すのだった
それはまるで「一体何訳のわからないことを言っているんだ・・・」と言っているかのような表情
なんともらしくない、愛らしさのない表情だった

「はぁ・・・しかし冷や冷やさせやがって。まさか死んだんじゃねぇかって本気で心配したぜ」
「ちょっと、シリウス!なんてこと言うのよ」
「なんだよ。リリーだって泣きそうだったじゃねぇか」
「あ、当たり前でしょう!は大事な親友なんだから。あなただってすっごく取り乱してたくせに」
「う、うるせぇな・・・っ。まぁけど、ホントに無事で良かったぜ」

リリーと言い合いをしていたシリウスはを見下ろして心配そうな顔で笑った
そして煤だらけの彼女の頭に手を置くと、まるで愛犬を可愛がるように彼女の頭をがしがしと撫でた
仲の良い2人の関係だからできるスキンシップだ
けれどの口からはいつものような「ちょっとやめてよね、シリウス」という陽気な返事は返ってこなかった
代わりにシリウスに投げられたのは、予想外の邪険な反応だった

「な・・・――っ!?何をするブラック!!貴様・・・・・血迷ったか!?放せっ!!」
「え・・・?」

は自分の頭を撫でていたシリウスの手を邪険に振り払うと、キッと目尻をあげて彼を睨みつけた
彼女の口からは聞いたことのない男らしい台詞だった
手を振り払われたシリウスをはじめ、その場にいた皆が戸惑いを見つめる

「な・・・何だよ。んな邪険にしなくてもいいだろ」

シリウスは若干戸惑いながらも苦笑いを浮かべてみせた
けれどはまるで親の仇のようにシリウスを睨み付けるばかり

「はっ。一体何の嫌がらせか知らないが、僕に気安く触れないでほしいな。不愉快だ」
・・?おい・・・お前、どうしたんだよ」

気を失って目を覚ましたら人が変わったようになってしまった彼女
調合中に起きた爆発のショック症状か。しかしそれにしては妙だ
皆が戸惑いを見つめる中、リーマスはジェームズに小声で話しかけた

「ねぇ、ジェームズ」
「なんだい、ムーニー」
「なんかさ・・・・・。のあの喋り方とか態度・・・誰かに似てると思わない?」
「やぁ気が合うね。実は僕も同じことを考えていたんだよ」

そう。今の、よく見知った誰かに似ているのだ
はて・・・誰だったか・・・?ジェームズとリーマスは首を傾げたり顎を撫でたりして考えた
そのときだ。まるでタイミングを計ったかのように、隣のベッドで寝ていたもう一人の人物がむくりと起き上がった
傍についていたニコレッタ先生が少年に声をかける

「ミスタースネイプ、目が覚めましたかっ!」
「う・・・、・・・ん?」

上半身を起こしたセブルスは眠そうに目をこすると、寝ぼけ顔でキョロキョロと辺りを見回した

「ニコレッタ・・・先生・・・?」
「そうです。気分はどうですか?ミスター」
「気分、は・・・・・えっと・・・ちょっと頭が痛い、です」
「そうですか。それは倒れたときに床にぶつけたせいかもしれませんね」

そう言ってニコレッタ先生はたんこぶができていないか確認するためセブルスの後頭部に手を当てた
そんな様子を見ていたジェームズとリーマスは、セブルスを見ていて違和感を覚える

「ねぇ、ジェームズ」
「なんだい、ムーニー」
「なんだかさ・・・・・。さっきと同じ台詞の繰り返しになるんだけどさ」
「セブルスのあの喋り方とか態度・・・誰かに似てると思わない?だろ」
「そう。なんか・・・おかしいよね」

ジェームズとリーマス。勘も良く頭の冴えた2人の考えていることはほぼ同じだった
けれど、その考えはあまりにもありえなさすぎて言葉にすることができずにいた
そんな中、たった今目が覚めたばかりのセブルスは、ジェームズとリーマスだけでなくその場の全員を凍り付かせる言動をとったのだ
上半身を起こしてキョロキョロと周りを見回すと、彼はすぐ近くにリリーがいることを見つけ、

「あ、リリーだ」
「え・・・?」
「え?って。なぁに?リリー」
「セ・・・・・セブルス・・・?」

セブルスはリリーに向かってにっこりと笑顔で話しかけたのだ
あの陰険根暗で常日頃からジェームズ一派を嫌っているセブルスが、リリーをファーストネームで呼び笑顔を向けた!
ありえないことだった
誰も見たことのないセブルスの笑顔に、驚きよりもむしろ戦慄が背筋を駆け上る

「ミ・・・ミスタースネイプ?どうされたのですか」
「へ?どうって、何がですか。先生」

セブルスの豹変ぶりにニコレッタ先生も驚いている
声をかけられたセブルスは、なんとも愛らしく小首を傾げて先生を見つめ返した
ニコレッタ先生の両眼が点になる

「せんせー?ニコレッタせーんせー・・・どうかされました?」(セブルスの声ですよ)
「馴れ馴れしいのにも程がある!ブラック貴様、最低でも僕から3mは離れろ!!」(の声ですよ)

あっちではが男らしい口調でシリウスを怒鳴りつけ、こっちではセブルスが可愛らしい口調で首を傾げ
一体何がどうなっているのやら
保健室内に立ちこめる、何とも言えないもやもやとした空気
けれどそのもやっとした空気を切り裂き状況を変えたのは、皮肉にもその空気を創り出した張本人たちだった

「ニーコーレッターせんせー・・・・・って、・・・え・・・?あ、あれ・・・?」(セブルスvoice)
「僕の視界に入るなブラッ・・・ク・・・・・・。・・・・・・は・・・‥?」(voice)

てんでバラバラの方を向いていたとセブルスが、そこでようやく隣同士顔を見合わせたのだ
どちらも調合の爆発でわいた黒煙のせいで、顔も服も煤だらけ、髪もぼさぼさである

「・・・・・」
「・・・・・」

けれど今の2人にとってそんなことは問題ではなかった
大きな問題はもっと別にあったのだ
その証拠に、顔を見合わせた2人はそれぞれの顔を見るやぴたりと動きを止め、目を点にして絶句していた
そして2人は、つい先程ジェームズとリーマスが言葉にするのを躊躇った「ありえなさすぎる予測」を真実に変える言葉を呟いた

「な・・・なんで私がそこにいるの・・・‥?」(セブルスvoice)
「なぜ僕の体がそこに・・・‥?」(voice)

2人ともお互い思うことは同じ
なぜ自分で自分のことを見つめているのか
まさか自分がもう一人増えたとでもいうのか
そして2人は同時に同じ行動をとった
それは自分の体を見下ろすこと
は自分の体を見下ろし、なぜか男子の制服を着てスリザリンのネクタイを締めていることに絶句し
セブルスもまた、自分が女子の制服を着てグリフィンドールのネクタイを締めていることに混乱し
再び2人は顔を上げお互いを見つめ合うと、自分自身がそこにいることを確認しあうのだ
しばし保健室には沈黙が流れた
カチ・・・コチ・・・と時計の針の音だけが聞こえていたが、そんな中見つめ合う2人の表情は一気に崩れ

「ど、どうなってるのよ・・・‥――っ!!?!」
「ど、どうなってるんだ・・・‥――っ!!?!」

2人の声が綺麗にハモって保健室にこだましたのだった



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