ドリーム小説


「な・・・何なんだこれは・・・――っ。一体どうなっているんだ・・・っ!?」
「何これ何これ何よこれ・・・――っ。何が起こったの・・・っ!?」

自分の身に起きた異変に、セブルスとは2人顔を見合って同じような台詞を叫ぶ
セブルスは両手で頭を鷲掴み、は両手で顔を包み込み、それぞれの方法で混乱を表していた



■♂□   っ ち が っ ち ! ?  □♀■   混乱ですよ 7



「な、なんで私セブの姿になってるの・・・っ!?」

目覚めたら幼馴染みの体になっていましただなんてシャレにならない
突然の変異にの顔は真っ青に変わる
そして両手でほっぺたや頭をぺたぺたと触って確認
けれど触れる肌や髪の感触は明らかに自分のものではなく、顔色は更に悪化するのだった

「わ・・・私じゃない・・・っ。何これ・・・っ」

見た目セブルスのはひどいショックを受けているようだった
そんな彼女にリリーは、「・・・、大丈夫?」とおずおずと声をかけた
親友の声には反応を示す
けれど彼女がリリーを見上げた瞬間、リリーは思わず「ひっ」と漫画のような声をあげて顔を引きつらせた

「リリー・・・?」
「あ・・・、・・・なのよね?」

リリーの驚きも頷ける
なぜなら彼女を見上げるは、今はセブルスの顔と体をしているのだ
無表情か仏頂面しか見せないセブルスが、今は若干瞳を潤ませた乙女の泣き顔をしている
ちょっと・・・いやだいぶ気持ち悪い。というか、おネェにしか見えない
思わずリリーも引いてしまう
そしてリリーの後ろにいた悪戯4人組は、更にドン引きしていた

「こ、これはまた・・・」
「うん・・・、・・・今世紀最大の衝撃映像だね」

ジェームズはとリーマスはこれ以上ない引きつり笑いを浮かべる
シリウスなど真っ青な顔で口に手を当てて吐き気をおさえており、ピーターはその後ろに隠れてやや震えていた


そんなサイドを尻目に、セブルスは彼女よりも先に徐々に冷静さを取り戻していた
見た目の彼は、綺麗な顔に難しそうな表情を浮かべてニコレッタ先生に問いかけた

「先生、これはどういうことですか・・・?僕らはなぜこんなことに」

話しかけられてニコレッタ先生は彼の方を振り向く
口調はセブルスだが、そこにいるのはまぎれもなく
普段あまり見ない彼女の真剣な表情と口調に、ニコレッタ先生は違和感を覚えずにはいられなかった

「先生、僕らの調合は完璧でした。・・・それなのになぜ」
「えぇ。そのことですが、ミス。・・・あ・・・失礼、今はミスター・・・でしたね?」

先生は頭の中で2人の外見と中身の状況をイメージしながら話を続けた

「あなた方の調合は完璧でした。私が見る限り、液体の色・香りともに何の問題もありませんでした」
「・・・はい。しかし、鍋は爆発してしまった。つまり・・・」
「そうですね。魔法薬が変化したということはつまり、異物が混入されたということです」

魔法薬の調合とは、それすなわち純粋なる化学だ
材料が1グラム違うだけでもまったく別のものができてしまったりする
たとえ完璧に見えたとしても、それはあくまで途中の工程
最後の最後に何かがあったに違いない
ニコレッタ先生は緩く握った手を口元に当てて自分の考えをまとめていた

「ひとつだけ・・・、気になることがあります」

そう言うと、先生はの姿のセブルスの手元に視線を向けた

「ミスは調合中に手に怪我をしましたね。その傷、ちょっと見せていただけますか?」

そう言うと先生は見た目がのセブルスの手をとった
まじまじとよく見てみると、の指先には数本の切り傷がついていた
調合中に割れた試験管で切った傷だ
今は血が止まって傷口の上で固まっている
ニコレッタ先生は目元を厳しくしてその傷を見つめた

「もしかしたら、ミスの血が鍋に混入した恐れがありますね」
「え・・・っ!?」
の血が・・・?」

先生の発言にはセブルスの声で驚き、セブルスはの顔で神妙な顔つきをした
魔法薬の調合において、血液は非常に強力な材料となる
もしの血が混ざってしまっていたのだとしたら、この特異な変化も説明がつく

「教室は現状維持してあります。鍋の底の残留物を調べてみましょう」

それでもしかしたら元に戻る方法も見つかるかもしれない
先生はマダムポンフリーに2人の手当てを頼むとローブを翻した
するとは慌てて先生を呼びとめた

「先生・・・っ!」
「はい?なんですか、ミスター・・・と、失礼ミス」
「あの・・・、私たちはやっぱり減点でしょうか・・・?」

セブルスの顔を借りたはひどく不安そうにそう問いかけた
今回の調合、失敗の場合は50点減点という確約付きだった
ドキドキしながら待つにニコレッタ先生は現実を告げる

「結果的に促進薬を完成させられなかったことに相違ありませんよね」
「そう、ですよね・・・」
「・・・」

厳しい先生の言葉にもセブルスもがっくりと肩を落とす
あぁ・・・50点減点である
2人はそう覚悟した
けれど不意に、ずっと厳しい表情だったニコレッタ先生がふっと力の抜けた笑みをみせた

「何を勘違いしているのですか。私はまだ何も言っていませんよ」
「え・・・?」
「・・・?」
「確かにあなた方は促進薬を完成させることはできませんでした。ですが途中の工程は何一つ申し分なく、かつミスは」
「は、はい」
「調合の手際がたいへん素晴らしかったです。努力の跡が見えました」
「あ・・・ありがとうございますっ」
「司書の先生からも、グリフィンドールとスリザリンという異色のコンビが熱心に魔法薬学の勉強をしていたというお話を聞いています。ということで」

いつも厳しいニコレッタ先生が、珍しく笑顔を浮かべて2人に審判をくだした

「あなた方の努力に免じて、5点減点で容赦して差し上げましょう」
「・・・!」
「ほ・・・本当ですかっ」

50点減点がわずか5点の減点にまで軽減された
さっきまでずーんと落ち込んでいたの目が輝きを取り戻す
ニコレッタ先生は「次の授業ではきちんと完成させなさい」と苦言を呈し保健室を後にしていった
は胸に両手を置いてどっと息を吐き出す

「よ、・・・・・・よかった・・・。あ・・・ホッとしたらなんか肩の力が」

相当なプレッシャーだったのだろう
はベッドのシーツに両手をついて背中を丸めていた
セブルスも5点減点されたとはいえ、そこまでの不満は感じなかった
何より、自分との努力が認められたことが嬉しかった


とりあえず2人はマダムポンフリーのチェックを受け、体に異常がないか看てもらった
それから顔や腕など、見えるところに付いた煤汚れを拭き取った
けれど全身を黒い煙を覆われたせいで2人とも頭の天辺から爪先まで真っ黒け
髪の毛も制服も汚れていて、身だしなみに気を遣う女の子にとっては最悪な状況

「うー・・・気持ち悪い。お風呂入りたいよぉ」

シャワーでも浴びてさっぱりしたいとは泣き言を言う
それは身だしなみに気を遣う女の子らしい至極真っ当な一言だったのだが
彼女が発した何気ない一言を皮切りに、2人はこれからの自分たちの生活に関わるある大きな問題に気付くことになるのだった



  





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