ドリーム小説


居残り掃除を終えたは夕食の席でみんなと合流すると、早速事の次第を話した

「ってわけなのよ・・・。どう思う、みんな?」



■♂□   っ ち が っ ち ! ?  □♀■   交換ですよ 2



おいしそうなチキンを前に、5人は食事をしながら彼女の話を聞いた
はプチトマトにフォークを刺して、はぁ・・・とため息をこぼす

「あらまぁ・・・それはまた大変なことになったわね」
「うーん、しかし失敗したら50点減点とは。ニコレッタ先生も厳しいね」
「やっぱり?リーマスもそう思うよねぇ・・・」

は再びため息をついてプチトマトをぽいっと口の中に放り込んだ
そんな彼女の背中を、わざわざ隣の席に移動してきたシリウスは笑いながらバシバシと叩く

「ま、精々がんばれ!グリフィンドールに40点よろしくな」
「ぅぐ!・・・―ちょっと、シリウス!トマト出る!・・・もう、他人事だと思って」

は口元を覆って不満げな横目でシリウスを見やる
そんな彼女をけらけらと笑っていたシリウスだったが、ふと逆隣に座るリーマスに脇腹を肘でつつかれるのだった
リーマスは口元にゴブレットを当てた状態で横目でシリウスを睨んでいた

(あ?なんだよ、リーマス)
(このバカ)
(な、・・・いきなりなんだよ?)
(わかんないの?・・・本当に君、を前にするとダメ犬だね)

こういうときはもっと優しく慰めてやるもんでしょ、とリーマスは思ったが言ってやらない
まだ訳が分からず「?」を浮かべるシリウスから視線を外し、「馬鹿犬、鈍感犬」と内心で毒づいてやる

「で、打開策は見つかったのかい?」

ジェームズはちょっと行儀悪くナイフでを指しながら楽しげに問いかけた
はチキンを頬張りながら頷いてみせる

「うん。セブルスが今日と明日の夜、特訓してくれることになったよ」
「は?特訓?なんだよそれ!」
「や、明後日の課題に向けてさ、作業手順を確認して、実験の仕方をシミュレーションしておいた方がいいって」
「あいつが言ったのか・・・」
「そう。珍しくあっちからの提案」
「へぇ。セブルスがそんな良策をねぇ。なんだか意外だわ」

リリーは感心しながらコーヒーカップを傾ける
それは良い案かもとみんなが思う中、その打開策に過敏な反応を見せたのはシリウスだった
見えない犬耳をピンと立てて怪訝な顔でを見つめる

「おい、今日の夜ったってもう時間もないんだぜ?どこでやる気だよ」
「図書館だよ。これ食べ終わったらすぐに集合。それで閉館ギリギリまでやるって言ってた」
「図書館・・・!?」
「うん。図書館詰めのセブルスがね、この時間一番奥のテーブルなら誰もいないから練習しやすいって」
「だ、誰もいないって・・・っ」

の言葉にシリウスの脳内で勝手な妄想が膨らみ始める
図書館はおびただしい数の本棚が並んでいる巨大迷路のような場所
しかも奥の方のテーブル、遅い時間帯で誰もいないとなったら・・・
あの淡泊そうな陰湿薬学馬鹿だって一応は男なのだ・・・

「ダ、・・・・・ダメだダメだダメだぁっ!!」
「ち、ちょ・・・なによシリウスっ?」
「ぎょぎょっ!?」
「ジェームズ・・・『ぎょぎょっ!?』は声に出して言うもんじゃないと思うよ・・・」

ピーターに控えめにつっこまれて照れ顔で後頭部を掻くジェームズを、リリーが「褒めてないわよ」と斬って落とす
突然の大声をあげたシリウスにはびっくり(勿論以外の4人はシリウスの妄想などお見通し)

「ダ、ダメって何が?」
「んなの勿論あいつと2人で特訓することに決まってんだろ!」
「へ・・・?何で?」

シリウスが反対する意味がわからない
首を傾げるに、シリウスの耳はかぁっと赤くなっていく
それを見て4人の仲間たちはみな顔をそらしてブッと吹き出す
その様子にムカッとしながらも、シリウス一人だけ必死に反対した

「何でもだ!とにかく、課題の薬がわかってんなら俺らとだって練習できるだろ。わざわざあいつとやる必要なんてないっ」
「それはそうだけど。でも当日は私とセブが成功させなきゃ意味ないんだよ?息が合うように本人と練習しておくのがベストじゃない」
「(ぐ・・・、正論だっ)。と、とにかくダメだ!それから敵寮のあの野郎をんな親しげに呼ぶのもやめろよ!」
「えー・・・そんなこと言ったって。セブは幼馴染みなんだもん。つい出ちゃうのはしょうがないじゃない」

は首をひねり、「シリウス、どしたのよ。突然カリカリして」と困り果てる
一方で、自分の大好きな少女が大嫌いな奴のことを親しげに愛称で呼ぶことにシリウスはヤキモチを焼きまくり
面白がって見ていたリーマスたちもさすがに呆れ笑い、「シリウス、ちょっと落ち着きなよ」と声をかける
そのときだった


「相変わらず威勢がいいな。


賑やかなその場に似合わない、凍るように冷たい少年の声がの背中に放たれた
の顔から途端に表情が消え、何の感情もないものに自動的に切り替えられる
後ろを振り向かなくともには声をかけてきたのが誰なのかよく分かっていた

「・・・これはどうも。マルフォイ先輩」

は肩越しに振り返り、横目で見上げるようにしてその人物を見た
高い教育を受けた彼女があえてそんな無礼な態度をとるのには訳がある
彼女の背後に立つプラチナブランドの少年―――ルシウス・マルフォイは、彼女の態度にぴくりと片方の眉を上げた

家では人を斜めに見上げるよう教育されているのか。それとも、生活する寮の影響か」
「残念ながらどちらも違いますね。私はお相手する方に合わせているだけですよ」
「ほう・・・相変わらず減らず口だけは立派なものだな」
「どうも。お褒めにあずかり光栄です、先輩」

はルシウスに横顔を向けたままにっこりと笑ってみせた
ルシウスと顔を見合わせることすら拒む。それぐらい彼女は彼が苦手だった
そしてまたルシウスも彼女のことを良く思っていなかった

「調子に乗るなよ、。貴様の言動の一つ一つに腹が立つ」
「そうですか。まぁどう思ってくださっても結構ですが。それをわざわざお嫌いな寮のテーブルまで言いにいらっしゃるなんて、先輩もお暇で物好きな方ですね」
「ちょっと貴方、何ですのその言い草。彼に失礼じゃなくって?」

整った顔を歪めてに食ってかかる少女がいた
ルシウスの取り巻きの中で最も美しい少女、ナルシッサ・ブラックだ
彼女の姓がシリウスと同じなのは、彼女がシリウスの従姉弟(いとこ)にあたるからだ
しかし従姉弟とはいっても仲が良いとはいえないようだが

「あぁ嫌ですわ。貴方といいシリウスといい、本当にグリフィンドールの人間って野蛮で無礼ですこと」
「なんだと?陰険根暗のもぐら野郎どもに、んなこと言われる筋合いねぇな」
「なんですって?口を慎みなさい、シリウス!」
「もぐらスリザリン。略してもぐザリン、とか?」
「おー。上手いこと言うじゃねぇか、
「な・・・―っ、なんと無礼な!お黙りなさい無礼者ども!!」
「黙れ。ナルシッサ」

熱くなる場に放たれた冷たい氷のような一声
ルシウスの一言に、色白の顔を真っ赤にさせて吠えていたナルシッサは一瞬で静かになった
綺麗な顔はいまだ悔しさと憎しみに歪められたままだが

「ル、ルシウス・・・っ」
「そんな奴らと対等に口論などするな。行くぞ」
「――っ。・・・はい」

ナルシッサはやや不満げだったが、ルシウスに言われては引き下がるしかない
眉間に皺を寄せ、とシリウスを一睨みして背を向けていった
ルシウスもまた凍るような一瞥をに投げつけ、静かに去っていった
彼らが去って、冷たい空気から解放されたリリーたちはどっと息をつく

「あれ?どうしたの、リリー。みんなも」
「どうしたのじゃないわよ・・・もう、ホントに。相変わらず凄いわね、あなた」
「え?」
「よくあのルシウス・マルフォイ相手にあそこまで言い返せるわ」

あっけらかんとしたに、リリーは半ば感心して感想を述べる
ルシウス・マルフォイの家は昔からの名家
その権力はすさまじく、逆らったり彼らの気を害したりした者は悲しい末路を行くことになると有名
けれどはそんなことまったく気にせず彼に言い返せることができた
それは彼女の肝が据わっていることもあったが、一番の理由は家もマルフォイ家と肩を並べられるほどの名家だからであろう
マルフォイ家が一族皆スリザリンなのに対して、の家は一族皆グリフィンドール
まさに寮を分けての2大対決なのだ

「だって言われっぱなしなんて嫌なんだもん。ただでさえ家のことで張り合ってきてしつこいったらないのに」
「まぁは特に絡まれるからねぇ」

頬を膨らませるを見てリリーは苦笑する
は眉をひそめて大きめに切ったチキンにフォークを突きさした
イライラは食べて解消しよう。はあーんと口を大きく開けた
そしてふと思い出す。あれ?何か忘れてることがあるなぁ、と
あれ、そういえばセブルスと約束した時間って何時だっけ・・・?
はふと大広間の時計に目を向けた
そして時計の針がセブルスとの待ち合わせ時刻の3分前を指しているのに気付くと両眼を真ん丸にした

「うわっ、こんな時間だ!待ち合わせに間に合わない・・・っ」
「え、ちょっとっ?」
「ごめんねみんな、私もう行かなきゃ!」

そう言うやはチキンをさしたフォークを持ったまま勢いよく立ち上がった

「まずい、遅刻だ!」
「忙しいわねぇ、。ゆっくり食事もできないなんて可哀相に」
「ホント私もそう思う。じゃね、リリー。みんなも、また後で!」
「はいはい、いってらっしゃい」
「お、おい!待てよ!お前本当に行く気か、」
「はい、シリウス!プレゼント」
「へ?な・・・っ、――もがっ!?」

は鞄を肩にかけると、持っていたフォークをシリウスの口の中にずぼっとつっこんだ
チキンを放り込まれて目を白黒させるシリウスを他所に、ジェームズにリリー、リーマスとピーターは行ってらっしゃいとに手を振って見送った





  





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