ドリーム小説


ここは魔法薬学の教室。そして今は授業中。だが

「それではない、何度言ったらわかるのだ!次に入れるのはこの赤い葉だ!!」
「何よ、こっちのだって赤いじゃない。何がどう違うのよ?」

教室中に響き渡る少年少女2人の怒声
他の生徒たちもみな作業の手を止めて呆然とそのやり取りを見守っていた

「それは赤ではない、緋色だ!」
「ほぼ一緒よ。大丈夫、大丈夫。はい、投入!」
「ば、馬鹿者やめろ!!爆発する・・・っ!」

考えなく適当に調合しようとする少女に少年は慌てて彼女の赤い葉を持つ方の手首をとった

「ちょっと、馬鹿とは何よ馬鹿とは。失礼ね。心配しなくてもわかってるわよ」

少女はにっこりと笑うと、自信満々に掴まれていない方の手で赤い葉をとって少年に見せた
その葉を見た少年の顔が真っ青に変わる

「こっちでしょ?」
「あほか!!それは朱色だ・・・っ!!」
「へ?・・・んーもう、どっちがどっちよ!?」





■♂□   っ ち が っ ち ! ?  □♀■   交換ですよ 1





ここに2人の少年少女がいる

一人は
グリフィンドール寮所属の4年生
特徴的な長い黒髪をたずさえ、明るくさばけた性格と高い運動神経で寮を問わず男女に人気がある少女だ

もう一人はセブルス・スネイプ
スリザリン寮所属の4年生
肩まで伸びた黒髪が顔に影を落とし、明るさとは縁遠い性格の持ち主だが、全教科で上位を独占する少年だ

この2人、一見全く接点がなさそうに見えるが実は幼馴染
それから今2人の目の前に仁王立ちし、額に青筋を浮かべて立っている美人の女性は魔法薬学のニコレッタ先生

「・・・――っ!!ミスタースネイプ、ミス!2人とも居残り掃除です!!」

先生の大声に、周りの生徒たちは「あぁやっぱり・・・」と慣れた様子で自分の作業に戻っていく
そして、そんな2人を後方の席から見守る5人の生徒たちがいた
の友人――グリフィンドールのリリー、ジェームズ、シリウス、リーマス、ピーターだ

「ったく。まただよ。ホント、あいつ魔法薬学だけはだめだな」
「ははん。んなこと言っちゃって。本当は一緒に実験したいんだろ、シリウス」
「な、何言ってんだ、ジェームズ!俺は別に・・・っ」

ジェームズに茶々を入れられ、机に頬杖ついていたシリウスはボッと耳を赤くした
わかりやすいにも程があるが、シリウスは密かにに想いを寄せていた

「わかりやすいわねぇ、シリウス」
「ホントにね。でもの前だと緊張してなぁんかぎこちなくなっちゃうんだよね」

リリーの実験結果をメモしながらにこにこと笑って友人を皮肉るのはリーマス
シリウスは「ポーカーフェイスのてめぇに言われたくねぇよ」と言い返すもリーマスの笑顔は崩れない
シリウスはふてくされ、唇を尖らせてぼやいた

「くっそぉ・・・。なんでとあいつがペアなんだよ」
「仕方ないでしょ。あぁ見えてセブルス、魔法薬学の成績学年トップなんだから」
は他の成績は良いのに、魔法薬学と薬草学は最悪だからね」

恋のぼやきもリリーとジェームズに宥められてしまう始末
シリウスは余計にむすっとし、隣で一人実験を続けるピーターに「手伝ってよぉ・・・」と嘆かれるのだった


*


時は過ぎ、放課後
先生に言われたとおり、とセブルスの2人は教室に残って居残り掃除をおこなっていた
先生は2人を監督しながら嘆きのため息をつく

「あなたたちはいつになったら静かに私の授業を受けてくれるのかしらね」
「あはは・・・いやぁ」
「・・・・・」

頭を掻きながら笑って誤魔化すと、心外だという仏頂面でビーカーを洗うセブルス
すべての掃除が終わった後、2人は椅子に座るよう言われ、先生の嘆きのお説教が始まった

「ミス。何のために学年トップのミスタースネイプをあなた専属のペアにしたと思っているのですか」
「い、いやぁ・・・何か薬学って私の性格に合ってないみたいで」
「まったく・・・。ミスタースネイプだって本当でしたら彼の実力に見合った生徒をペアにすべきところを、あなたのために協力してもらっているんですよ?」
「先生、お気遣いなく。僕は別に気にしていませんので」
「おー、セブルスさすが優等生!」
「ミス!!」
「えへへ」

お調子者のに先生も頭を抱えてしまう
隣で静かに沈黙を保つセブルスと比べてしまい、アンバランスな2人が本当に幼馴染みなのかと疑ってしまう
先生は一つ息をつくと、それからこう言った

「このまま続けても埒が明きませんね。別の策を講じましょう」
「別の策?」
「・・・・・?」
「そうです」

そう言うと先生は2人に向かって一つの課題を出した

「明後日の魔法薬学の授業。課題は『促進薬』の作成です。その実習であなた方が手順を間違えることなく、尚かつ手際よく薬を作ることができたら」
「できたら・・・?」
「・・・・・」
「そのときはスリザリンに50点、それからグリフィンドールに40点差し上げましょう」
「え・・・えぇ!?」
「・・・!」

先生が提示したその高得点には目を丸くし、さすがのセブルスも驚きの表情を見せた

「よ、よんじゅってん!」
「はい。40点です」
「すごい・・・もしできたら、今日の失点が一気に取り戻せる!」

は目を輝かせて両の拳を握りこんだ
けれど喜びの表情は不意に「あれ?」と不思議顔になる

「先生・・・何でグリフィンドールは40点で、スリザリンは50点なんですか?」

一緒に実験をするのに、とちょっと納得いかない様子では柔らかなほっぺたを膨らませる
先生は不満げな少女を見下ろし、腰に両手を置いてため息をついた

「ミス。あなた一人で促進薬を作ることはできないでしょう?ミスターへの加点は当然のことです」
「おぉ・・・なるほど」

納得いったようで、あっさりとほっぺたの空気を抜いた
隣に座るセブルスは、顔には出さないが、当然だ馬鹿と内心で得意げ
そんな2人に、先生は話の続きをした

「ですが油断なさらず。もしいつものように何か騒ぎを起こしたり、薬がきちんとできていなかったりした場合は、それぞれの寮から50点ずつ減点します」
「・・・・・!?」
「えー、そんな殺生な・・・っ」

まさかの減点には弱気な声をあげる
一方で今度はセブルスの方が納得いかないようだった

「先生、なぜ失敗の場合の減点には差がないのですか?」

長い髪の毛で影を落とした顔は不満げで、眉の間には皺が寄っていた
だがそんな呪うような形相を見せても所詮は14歳の少年
ニコレッタ先生はあっさりとセブルスの睨みを交わす

「ミスタースネイプ。あなたがサポートしながら失敗することはないでしょう。それでもちょっとした緊張感を持ってもらいたいので」
「緊張感って・・・」
「ふ、普通にやりたいでっす・・・」
「問答無用です。それではお二人とも、明後日を楽しみにしていますよ」

そう言うとニコレッタ先生は極上の笑顔を見せてローブを翻し、教室を去っていった
残された2人は呆然と先生の背を見送り、それからゆっくりとお互いの顔を見合い

「・・・なんてこと・・・」
「・・・なんてことだ・・・」

2人同時に同じ言葉で嘆くのだった





 





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