ドリーム小説
あなたと同じ世界であなたと同じものを感じていたい
君がいない世界など我輩には何の意味もない
お互いの存在を確かめ合い
全てをゼロに戻す
■ 魔女の条件 〜The Love of the Maiden〜 <12> ■
両腕にずぶ濡れの少女を抱きかかえ、スネイプは焦るように肩をぶつけて扉を押し開けた。薄暗い部屋に入るとすぐにスネイプは呪文を唱えて暖炉に強い火を灯した。煌々と燃える火が急速に室内の温度を高めていった。それを背に、スネイプはの身体をソファーに寝かせると、クローゼットからありったけの毛布を引っ張り出してきた。水を吸って冷たく重くなったのローブを脱がせた。制服の全てが冷たく濡れていて、スネイプは表情を歪めた。緑と銀のストライプのタイもブラウスも、そしてスカートも冷たく、雪の下で長時間放置されたために、衣服は薄く凍り付いていた。まるで冷凍庫の中で放っておかれたかのようだった。の顔色は青ざめ、息はしているが死んでいるも同然の姿だった。何よりも、体温が戻らないことにスネイプは焦った。
(死なせるわけにはいかない)
スネイプは意を決すると、冷たいを抱き上げ、暖炉の前に連れて行った。暖かなオレンジ色の炎に照らされる前で、スネイプはの衣服を全て脱がせた。水を吸った衣服が、べちゃりと重い音を立てて床に投げ捨てられた。スネイプは身軽になった少女を毛布でくるむと、奥の寝室に連れて行き、ベッドに静かに寝かせた。
何も身に付けていないその姿は白く透き通る肌が儚くも美しく、氷付けにされたどこかの国の王女のようだった。まだ僅かに幼さが残る肢体も、逆に穢れのない神聖なものに思えた。
スネイプはの身体に何枚も毛布を掛けた。青白い頬にそっと手のひらを押し当てた。冷たくて、まるで氷に触れているようだだった。何枚毛布をかけても暖炉の火を強くしても、の体温はなかなか戻らなかった。の意識が戻らなくても、細い身体はがたがたと震えていた。寒さに凍えるリスのように、は身体を小さく丸めて震えていた。
(・・・)
見ていられなかった。スネイプは立ちつくししばらく考え込むと、自分のローブを椅子にかけ、自分も着ているものを脱いでいった。自分も同じベッドに入り、少女の体を背中から抱きしめた。小さな身体は、スネイプの両腕の中に綺麗に収まってしまった。スネイプはぞっとした。まるで冷たい鉄の塊に触れているような錯覚を覚えた。がたがたと震えるの体を抱きしめたが、何の反応も返ってこなかった。
「・・・」
スネイプは声に出して少女の名を呼び、そしてきつくきつく抱きしめた。少女の耳筋にひとつ、うなじにひとつ、肩にひとつ、唇を押し当てた。自分の腕の中で、の身体をこちらに向かせた。二度と起きることのない、永遠の眠り姫のような表情をしていた。
「、・・・目を開けてくれ」
スネイプはの頬に手を添え、親指の腹で愛おしげにの頬を撫でた。そして顔を近づけ、そっと唇に口付けた。現実は夢物語のようにはいかず、それで彼女が目覚めることはなかった。だが、スネイプは諦めなかった。
「。君に伝えたいことがあるのだ」
スネイプはの小さな頭を胸に抱き、柔らかな毛布の中で強く強く抱きしめた。このまま溶けて一つになれればと願いながら、強く強く。
とくん、とくん、と脈打つ鼓動。自分の命の半分を差し出すかのように、スネイプはに自分の鼓動を聞かせた。スネイプの強い鼓動は、の鼓膜を確かに揺らしていた。
あったかい
お日様に当たっているのよりずっとあったかい
心が安らぐ
私のことをあの何もない世界から連れ出してくれたのは
今もこうして抱きしめてくれるのは
だれ?
『』
声がする
そんなふうに呼ばれたことはないけれど
とても懐かしい気がする
(・・先生・・・?)
だぁ、駄目だ
声に出したつもりなのに
全然声になっていない
これじゃ届かない
伝わらない
このままじゃあの人は行ってしまう
待って行かないで
『、・・・我輩はここだ』
あぁ・・・・よかった
よかった
ありがとう行かないでいてくれて
もう少しだけ待っていて
今すぐ行きます
だから
「・・・・先・・生、・・?」
自分の胸元から、掠れた小さな声が聞こえた。スネイプは耳を疑った。だがすぐに腕の力を緩め、ゆっくりとの頬に手のひらを押し当てた。柔らかな反応は、確かに返ってきた。猫がするように、するりと頬を押し当てる仕草ではスネイプの手に頬をすり寄せた。生きた者の温かな体温に、スネイプの厳しかった表情は次第に緩んでいった。
「・・・・・・・っ、」
スネイプはから少しだけ身体を離した。はスネイプの胸に両手を押し当て、ゆっくりと彼の方を見上げた。まだ半覚醒だが、だが変わらない蒼い瞳がじっとスネイプを見つめていた。
「よかった・・、」
スネイプは安堵から、困ったような顔で優しく微笑んだ。スネイプのそんな顔など見たことがなかった。「よかった、」と何度も呟き、スネイプは優しくの頬を撫でた。
優しい大きな手。
優しい黒い瞳。
自分の生還を、よかったと喜んでくれる人がそこにいた。
気づけば、スネイプを見つめるの瞳から涙が流れ落ちていた。の涙は頬を包むスネイプの手を濡らし、彼にまた心配そうな顔をさせた。
「どうした。どこか痛むかね」
スネイプの言葉は本当にを心配していた。溢れんばかりの彼の想いが伝わってくるのがわかった。はそっとスネイプの胸に額を押しつけ、ぽろぽろと涙を流し続けた。
「・・・怖い、・・です」
「なに、」
「これは、・・・夢でしょうか。こんなに幸せなことなんて、ない・・・。・・怖いんです・・・、」
の涙が、スネイプの胸を濡らし続けた。の細い肩は、寒さとは別の意味で小さく震えていた。は怯えていた。がどんな想いで泣いているのか、今のスネイプには完全には理解できなかった。だが、彼女が恐れる悪夢から救ってやりたいとスネイプは心から思った。
「これが夢なら・・・、このままがいい。このまま、死にたい・・・。どうせ死ぬなら、あなたの胸の中がいい、」
「だめだ」
震える少女の声は、威圧的な声で途切れた。スネイプの声にはいつもと変わらぬ厳しさがあったが、だが同時に厚い優しさに覆われていた。
「我輩より先に死ぬことは許さん」
スネイプはの肩を強く抱きしめた。銀色の溶けるような髪に鼻先をうずめ、彼女の香りを吸い込んだ。そして、の額に口付けると、目尻に口を寄せてたまった涙の雫をすくい取った。
の知らないスネイプの姿に、は戸惑いながらも彼の顔を見上げた。こんなにも近くで目を合わせたことなんてなかった。すべて夢の中で見たことばかりだった。けれど、これは夢ではないと教えてくれたのもスネイプだった。
「」
スネイプはの顔を両手で包み、視線を合わせた。呼び慣れないはずの彼女の名は、だが不思議なくらい自然にスネイプの唇から零れた。
「君を失いかけてやっとわかった。、・・・君が、好きだ。そばにいてくれ」
(・・う・・そ)
「それだけでいい。・・・君を失いたくないのだ」
スネイプの指がの目尻をそっと撫でた。それが合図だった。の瞳からまた涙がこぼれおちた。
「、」
「私、・・・傲慢と言われてもかまいません。私、本当は・・・、本当は、その言葉が聞きたかった・・っ」
待っていると、ずっと待っていると言ったけれど。本当はそのたった一つの答えを待ち望んでいた。叶わぬ夢だと覚悟していたから、の瞳から零れおちる涙は絶えることがなかった。もう一度伝えたいと、の心は一つの想いに溢れていた。
「スネイプ先生・・・、わたし・・・私は、」
「あぁ」
「私は・・・、あなたが好きです・・っ」
言葉にすればするほど、涙が溢れた。どうすれば涙が止まるのかわからなかった。涙でくしゃくしゃのの顔を隠すように、スネイプはを自分の胸の中に閉じこめた。はスネイプの厚い胸に頬を押しつけ、ゆっくりと目を細めた。瞼を下ろした瞬間、大粒の涙がぽたりとこぼれ落ちた。
「もう、・・・離れたくない・・」
が言葉を言い尽くすと、スネイプはを強く抱きしめた。
「あぁ。・・・もう、二度と放さん」
スネイプはそっとの顎に手を掛け上を向かせると、優しく彼女の唇を塞いだ。何度も何度も、優しい口付けを交わした。スネイプに促されるまま、も彼の首に腕を巻きつけ、そして2人はそのまま静かに眠りに落ちた。
愛してる
愛してる
貴方だけを愛してる
いつもと変わることのない朝が2人のもとへも訪れた。今日が土曜日で授業がないのが幸いだった。時間を気にすることなく、長く幸せな時を噛みしめることができる。
スネイプはいつもと同じ時間に目が覚めた。世界は何も変わっていなかった。ただ違うのは、自分の隣に愛しい人がいること。銀色の髪をシーツに広げ、すぅすぅと静かな寝息を立てている。スネイプの口元は思わず緩んだ。
の長い睫毛がぴくりと動いた。肌に触れる柔らかな布の感触の心地よさに、はゆっくりと瞼を押し上げた。
不思議な夢を見た。冷たい雪の世界でもうすぐ自分の命が尽きると思っていたのに、突然現れた王子様が私を助けてくれた。
そして自分は今こうして生きている。
ここはどこ?
見覚えがある。前に一度、同じようにここで眠ったことがあった。
「・・・ここは?」
「起きたかね」
聞き覚えのある声が聞こえた。耳に心地いい、自然と入ってくる声だった。聞き間違えることなんてない。それは、
「スネイプ先生・・・?」
は気だるい身体を、肘をついて起こした。そして声が聞こえた方向を探した。まだ半覚醒の目を何度も瞬きさせて、声の主を探した。そしてその人を見つけるや、
「え、・・っ!?」
は頬を赤らめてすぐに彼から顔を背けてしまった。寝室の入り口に立つスネイプは、ズボンのみを身に付け、裸の上半身は首にバスタオルをかけただけの湯上がりの姿をしていた。男性の半裸など見たことがないにとっては、とても刺激的な姿だった。
「な、なんて格好なさってるんですか・・っ」
は頬を赤く染め、あたふたした。だが、慌てたのはスネイプの方だった。のように慌てふためいたりはしなかったが、スネイプは僅かに顔色を良くし、から顔を背けた。
「君こそ、・・・その姿をなんとかしたまえ」
「え・・・?」
スネイプの横顔が、不機嫌というよりは照れているように見えて、は我に返った。はスネイプが目をそらした自分の体に目を移した。そして、妙にスカスカすると思ったわけを理解した。半裸のスネイプが何のその、は自分が裸であることにようやく気づいた。
「き、・・・きゃあぁ!!」
の顔はぼんっと音を立てて真っ赤に染まった。は自分の周りの毛布を全てかき寄せると、頭から毛布を被りベッドの上で丸まってしまった。その姿を見たスネイプは、思わず苦笑してしまった。
「まるでダンゴムシだな」
スネイプは首にかけたタオルでがしがしと濡れた頭を拭きながら、が丸まるベッドに腰掛けた。そして、ダンゴムシの毛布を、一枚一枚剥いでいった。何枚も脱皮させて、ようやくの銀色の頭が姿を現した。艶やかな髪を、スネイプは優しく撫でた。
「気分は悪くないかね」
スネイプは気を遣って声を掛けると、は毛布に包まったまま一度だけ首を縦に振った。
「そうか。よかった」
よかった。
その優しい言葉を、昨夜も聞いた。薬品で荒れたスネイプの大きな手が、不意にの頬に触れた。そして、
「」
スネイプの深い声が、優しくの名前を呼んだ。慣れない響きだった。なんだか気恥ずかしかった。けれど、それ以上に幸せを感じた。
の脳裏に、昨夜から今に至るまでの記憶が急速に戻ってきた。愛する人に命を救われたことも、彼と気持ちが結ばれたことも。校舎を飛び出したときはあんなにずたずただった心が、今はこんなにも穏やかだった。
「いい加減出てきたまえ」
スネイプの声に促されるように、はおずおずと身を起こした。真っ白なシーツで身体の前を隠しはしたが、の頬も耳もまだ赤く染まっていた。上目遣いにスネイプを見上げて、一瞬目が合ってしまい、は気恥ずかしさに再び視線を落とした。だが、不意に額に暖かくて柔らかな感触を覚え、は反射的に顔を上げた。それを待っていたかのように、スネイプはの顎に手を掛けて上を向かせ、押しつけるように彼女に口付けた。突然のキスに、は目を閉じるのも忘れてしまった。唇が少しだけ離れた。お互いの息が掛かるほどの近さに、の鼓動は破裂しそうだった。うまく回らない頭で、はたどたどしく言葉を紡いだ。
「・・・先生。私、・・・あの、」
何を言おうかと考えもせず開いた口は言葉が続かず、苦笑するスネイプにまたすぐに唇を塞がれてしまった。に何も言わせず、スネイプはベッドに座り込む彼女の身体を強く抱きしめた。は、濡れたスネイプの髪に頬を押し当てた。冷たいとも嫌だとも思わなかった。ただ、愛しかった。
「これが、我輩の答えだ」
聞き違えることなどない、彼の声は、答えは、確かにそこにあった。低く深い声は、の心にゆっくりと染みこんでいった。
「ずっとそばにいろ。・・・もう離さん」
スネイプに痛いほど強く抱きしめられ、夢ではないと実感できた。はスネイプに抱きしめられたまま、何もない宙を呆然と見つめていた。だが、視界はゆっくりと揺らいでいった。あんなに泣いたのに、どうしてだろう。の頬を、また涙が流れ落ちていった。はたはたと大粒の涙を流しながら、はスネイプの想いに答えた。
「はい・・・。ずっと、・・・あなたのそばにいます」
は目を閉じ、自分からスネイプの髪に頬を寄せた。濡れたスネイプの黒髪に、の涙は吸い込まれていった。スネイプの大きな手のひらが、彼女の頭と背中を優しく撫で続けた。抱き合う身体を離し、2人はどちらからともなく長く甘い口付けを交わした。
愛してる
愛してる
貴方だけを愛してる
☆おまけ☆
何度してもし足りないとばかりに、スネイプは何度もついばむようににキスした。はその度に幸せそうに目を閉じ、スネイプの想いに答えた。スネイプに身を委ねるは可愛らしくもあり、本人も気づいてはいないだろうが、とても扇情的で美しかった。
スネイプが一定の距離を取ると、は離れたくないとばかりにスネイプに近づきしがみついた。それが嬉しくもあり、またスネイプを困らせもした。
「。そろそろ離れてくれないかね」
僅か一昼夜で呼び慣れてしまった彼女の名前を、スネイプは自然に呼んだ。離れてくれとスネイプに言われ、はふと我に返った。スネイプは苦笑いしていた。
「そんな刺激的な姿でずっといられると、我輩も困るのだがな」
は、自分が裸にシーツ1枚くるんだだけの姿でスネイプに抱きついていたことを思い出した。
「ご、ごめんなさい!」
恥ずかしくては真っ赤な顔であわててスネイプから離れた。距離を置かれ、スネイプは彼女の全身を視界に収めた。白いシーツにくるまれた彼女の身体は、うっすらと肌が透けていた。彼女自身はそのことに気付いていなかった。細い肢体と、少しずつ女性らしいラインが出てきた彼女の身体を目の前に見せつけられて、スネイプは自分を抑えるので精一杯だった。そんなことを知らないは、赤い顔でちらりとスネイプを見上げると、珍しく自分からスネイプの手に触れた。おずおずと手を伸ばし、そっとスネイプの手に自分の手を重ねた。の方から触れてくるなど、初めてといってもよかった。スネイプはが重ねてきた手に指を絡ませた。
「どうかしたかね」
「あ、・・・いえ。先生は、体温が低いんだなぁと思って」
はふわりと笑ってそう告げた。スネイプは苦笑して見せた。
「低血圧でね。君はあたたかいな」
スネイプはの手に絡めた指に力を入れた。は肩を微かに揺らして笑った。
「ふふ。先生と違って、まだ若いですからね」
は悪意なく、にっこりと微笑んだ。スネイプは少しふくれてしまうかと思ったが、逆ににやりと意地の悪い笑みを向けられた。
「我輩が低いのではなく、子どもの君の体温が高いのではないのかね」
スネイプは勝ち誇ったように鼻を上に向かせた。小馬鹿にされたことにムキになったのは、やはりの方だった。
「こ、子ども扱いしないで下さい。先生だってそのお年で低血圧の冷え性は危ないんじゃないですか?」
子どもらしい対抗心に、年甲斐もなくスネイプはむすっとした顔をした。勿論そのまま黙っているスネイプではなかった。スネイプは不意に少女の細い腕を引き寄せると、彼女の耳元で囁いた。それはそれは体の芯まで貫くような、艶めかしいバリトンの声だった。
「我輩の体温が低いのは、君が年寄りの体温を直に奪ったからであろう?」
は目を丸くして動きを止めた。
「え・・・?」
呆然とするを、スネイプは意地悪な笑みを浮かべて見つめていた。の思考回路が、スネイプの言葉の意味をゆっくりと解いていった。そしてその言葉の意味することを理解するや、
「え・・、え・・・・・・えぇっ!?」
の顔から再び湯気が上がった。言葉にならない恥ずかしさに、は金魚のように口をパクパクさせた。
「せ、・・先生・・。あの、まさか、・・・裸で・・・?」
たどたどしい言葉は、最後の方はほとんど聞こえないくらいになってしまった。意地悪そうに笑っていたスネイプだったが、慌てふためくを見て、「やれやれ」と苦笑してため息をついた。
「服を着ていては温められんだろう」
ため息とともにスネイプは当然というように告げた。の思考は、自分の記憶にない昨夜の状態を想像していた。何を想像したのか、突然の頭からぼんっと湯気が噴射した。
「あの、・・・あの、スネイプ先生・・・っ」
「なんだね」
「あの・・あのですね、・・・私、いえ私たち、・・・・あの、っ」
困ったような泣きそうな顔で「あのあの」ばかりを言うに、スネイプは思わず吹き出してしまった。これ以上いじめるのは可哀想な気がした。
「心配するな。何もしておらん」
が何を考えているのか容易に想像できるスネイプは、の頭を軽く叩いて苦笑した。はそれを聞いてほっとしたような寂しそうな顔をした。目聡いスネイプはにやりと笑った。これ以上のからかいは可哀想かと思ったが、やはりを翻弄させるのは面白くて仕方がなかった。
「なんだ。何を期待していたのかね?」
「なっ!ち、ちがっ」
「まぁ、そう焦らずとも、これからそんな機会は幾らでもある。安心したまえ」
スネイプの直球な発現に、ははっきりと「違う」とも言えず、唇を真一文字に結んで泣きそうな顔で再び毛布の中にもぐってしまった。
「せ、先生の意地悪!エッチ、ばかっ!」
今のに言える精一杯の仕返しだった。可愛らしい反逆に、スネイプは「やれやれ」とため息をついて笑った。
彼女はまだまだ可愛らしい、幼さの残る少女だ。だが、スネイプははたと思い出すのだ。こんなやり取りをしていると忘れてしまいそうだが、助けるために服を脱がせたときに見たの折れそうな細い肢体や、真っ白で極め細やかな肌、それから薄く色づく唇に扇情的に濡れる瞳をスネイプは不意に思い出してしまった。自身が気付いていないその魅惑的な体に、いつまでも歯止めがきくとは思えない。
セブルス・スネイプも男である。いつまで理性がもつやら。
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