ドリーム小説
アポなしどころか、ほぼ殴り込みのような状態で鴨川ジムまでやってきてしまった千堂くんと私
突然現れた関西弁のゴンタクレと謎の娘
鴨川ジム一同からの奇異の目に晒されながら待つこと20分
待ちに待った東西フェザー級新人王の御対面がいよいよ実現する瞬間がやってきたのだった
09:恋人はインファイター?3
「やっと現れよったか。待ちくたびれたでぇ。というても、ここに着いてまだ20分しか経っとらんけどな」
「はぁ・・・」
ジムの扉がガラリと開いて現れたのは、ボクシングとは縁遠そうな穏和な雰囲気をまとった少年だった
この人が幕之内一歩選手・・・。千堂くんとはまるで正反対の人物に見える
状況が見えていない幕之内選手に、千堂くんは居丈高に自己紹介するのだった
「ワイの名は千堂武士。フェザー級の西日本新人王や!」
「西日本新人王・・・!」
「ほぉ、聞いたことあるぜ。関西のホープNO.1って雑誌で騒がれてたな」
「浪速のロッキーって呼ばれてんだろ?」
幕之内選手をはじめ、彼よりもちょっと年上の二人(木村さんと青木さんと言うそうだ)も驚きを隠せない
それもそうだろう、突然西の新人王がアポなしでやってきたら
それでなくとも幕之内選手を説得するために半ば興奮状態の千堂くんの態度と来たら無礼極まりないというのに
「突然お邪魔してしまって申し訳ありません。私たち、大阪のなにわ拳闘会の者で」
私は千堂くんに代わって素性と事情を説明した
カッカしながら幕之内選手に絡む千堂くんと違って、どうやら私は冷静に話が出来そうだと理解してもらえたらしい
「はー、なるほどねぇ。一歩と戦いたいがためにわざわざ大阪からね」
それはご苦労なこった、と木村さんは苦笑する
「で。お嬢ちゃん、あんたが付き添い役ってわけだ。・・・えーと」
「あ、すみません申し遅れました。私、千堂のトレーナーの身内のもので」
「柳岡と言います」と自己紹介し、私は木村さんと青木さんに向かってお辞儀をした
一応こういう作法は母に教えられていたから、たぶん失礼はなかったと思うけれど
「ちゃん、か。関西出身のわりにずいぶん標準語うまいね」
「あ、はい。私、生まれは大阪なんですが育ちは東京なので」
「へー」
「実は昔住んでいたところもここのすぐ近くで」
と、思わず雑談に花が咲いてしまった
木村さんは女性の扱いが上手だ。話を合わせてくれるから私もすぐに打ち解けることができた
その一方で、千堂くんはいまだに幕之内選手に鋭い眼光を浴びせ必死の説得を続けていた
「全治2ヶ月やろ?せやったらギリギリ間に合うやんけ!やれるやんけ!!」
何が何でも彼と試合がしたいのだと千堂くんは主張する
なかなか引かない彼に圧される幕之内選手を、ジムの先輩である青木さんと木村さんが庇ってあげる始末だ
「無茶言うなって。わざわざ大阪から出てきてもらって悪いがよ」
「一歩は試合できる状態じゃねぇんだよ」
「す、すいません・・・」
幕之内選手は千堂くんの目をおずおずと見つめながら恐縮そうに謝罪する
そんな彼の態度に千堂くんは完全に焦れている
拳をわななかせたまま何も言わない彼に代わって、私が幕之内選手に声をかけた
「そんな・・・気にしないでください、幕之内選手。怪我を治すのが最優先ですから」
「は、はい。でも・・・本当にすみません、せっかく来ていただいたのに」
「・・・――っ。はっ、勝手にさらせっ!」
どうやっても幕之内一歩と戦うことはできないのか
念願かなわず苛々が募る千堂くんは手近のサンドバッグに八つ当たりする
あ・・・!もう・・・、他所様の器具になんてことを・・・
幕之内選手は彼のあからさまな態度を気にしながらも、けれどロードワークの時間が来てしまい一人ジムを後にしていった
そんな彼に千堂くんはひとしきり嫌味をぶつけていたが・・・、どういうわけだかいきなり彼もセーターを脱ぎだした
「・・・?千堂くん、何を」
「ちょぉ待てや、幕之内!ワイも連れてけや、ロード!!」
「へ・・・?ちょ、何を・・・っ」
何を言い出すのやら。千堂くんは脱いだセーターを私に放り投げて渡すと、あっという間に走って行ってしまった
どうやら幕之内選手のロードワークについていく気らしい
「せ、千堂くん・・・っ!幕之内選手の練習の邪魔にっ」
一体どこまで自由奔放なのだ
敵地だというのに悠々自適に振る舞う彼に、私の気苦労は尽きない
一人ジムに置いてけぼりにされてしまった私は、2人が帰ってくるのを青木さんと木村さんと話をして待つことになるのだった
やっと鴨川陣営と接触できました。キャラが増えてますます賑やかになってきました
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