ドリーム小説
あの夜の出来事が、思った以上に私の心を惑わせていた
あの日以来、彼のことを変に意識してしまってしょうがないのだ
ジムで彼を見かければ胸が高鳴り、彼の声が聞こえればそっちを振り向いてしまう
目が合えば耳が熱くなり、指先が触れ合えば心臓が爆発しそうなほど早くなる
落ち着かないこの気持ちをどうやって鎮めたらいいのか、対処法がわからない
18:ドッキドキの初デート1
「はぁ・・・?!柳岡はん、・・・本気でっか?」
「おぉ。本気と書いてマジと読むんやで」
(・・・?)
それは試合から数日後のジムでのことだった
乾いたばかりの大量の洗濯物を抱えて歩いていたら、不意に兄と千堂くんの話し声が聞こえてきた
あの夜以来彼の声に過敏になっている私の耳は、まるでウサギのようにぴくんと反応を示す
2人の方を見ると、兄は腕を組んで仁王立ちしていて、千堂くんはあんぐり口を開けていた
一体何を話しているのだろう、ちょっと気になっていたのだけれど・・・
「デートしてこいって・・・。なんやねんそれ」
「何って、デートはデートや。たまには羽伸ばして遊んで来い言うとるんや」
デート・・・という気になりすぎる単語が聞こえてしまった
デート【名】男女が日時を決めて2人で会うこと。待ち合わせ。ランデブー
頭が勝手にその単語を辞書引きする
私の心は私の意志に関係なく勝手に慌て始めた
(デート・・・?え、千堂くんが・・・デート?え・・・、えぇっ?)
大量の洗濯物に半分隠れた私の顔は、眉がハの字に曲がって見るからに困惑した顔をしていた
会話から推察すると、千堂くんにデートを勧めているのは兄柳岡のようだ
(お兄ちゃん・・・、千堂くんと誰をデートさせるつもりなんだろ・・・)
気になって気になってしかたがない
不安で胸がドキドキして落ち着かない
(相手の人って誰だろ・・・。お兄ちゃんの知り合い?それとも・・・・・・千堂くん、彼女いたのかな・・・)
今頃になって驚きの事実発覚か!?
私は大量の洗濯物を持ったままそわそわうろうろ
傍から見たら完全にアホの子だ
そんなことをしていたら、不意に兄がこちらを向いて片手を挙げてきた
「おぅ、。えぇとこに来たわ。ちょぉこっち来ぃ」
「・・・!」
兄に呼ばれて私はびくりと反応し、それから恐る恐るという足取りで2人の方へ向かった
洗濯物の陰からちらりと見やると、複雑そうな面持ちの千堂くんと目があった
不機嫌・・・というわけではなさそうだけれど、どうしたのだろう
私は千堂くんから兄へと視線を移した
「なにか用?」
「おぅ。お前、明日ガッコ休みやったな」
「え?うん。土曜日だからね。バイトは来るけど」
そんな当たり前のこと訊いてくるなんて、なんなのだろう
そう思っていたら、いきなり兄はにっこり笑って私の肩に片手をポンッと乗せてきた
「・・・?」
「お前、明日はバイト休みや」
「へ・・・?な、何いきなり」
いきなり過ぎる予定変更。一体どうしたというのか
確か明日はスポーツショップからグローブの納品があったはず
受け取り作業は私の仕事なのだけれど
そう説明しようとしたら、兄はポンポンッと私の肩を叩いて言った
「明日一日、ワレ千堂とデートしてきぃ」
「・・・はい・・・・・・?」
一瞬何を言われたのかわからず、私は兄を見上げて両目をパチクリさせた
そして言われたことを理解すると私はドサリと洗濯物を落とし、ボンッと音を立てて真っ赤になった
「な、な・・・んな・・・っ!?お兄ちゃん・・・、何を言って・・・っ」
両手は洗濯物を抱えていたときのままの状態で
私は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせて、まるで金魚のようになっていた
「何って、別に変なこと言うてへんやろ。一日こいつと遊んでこい言うてるだけや」
「な、なんで・・・っ」
「なんでって。放っといたらこいつぜんっぜん休まへんやろ。目ぇ離したらすぐ練習始めるさかいな」
「え・・・?・・・・・・ぁ」
それで私は理解した
デートと言われて慌てふためいてしまったが、要は千堂くんに休養をとらせるのが第一の目的なのだ
兄は千堂くんにこう言ったようだ
「ワレはしばらくボクシング離れて休め。明日は貸したるさかい、一日デートでもしてきぃ」
貸してやるって・・・私はレンタル可ですか
(一人で慌てまくって・・・恥ずかし・・・)
私は別の意味で顔を赤くし、落とした洗濯物をもう一度抱えるべくしゃがみこんだ
タオルやらTシャツやら重ねていたのだが、そうしたらフッと目の前に影が差した
「・・・?」
「なぁ」
「ひゃ・・・!」
誰かと思ったら千堂くんだった
大量の洗濯物を挟んで私の前にヤンキー座りで座って目線を合わせてくる
ジッと見つめられ、思わずドキドキしてしまった
目をそらすのも不自然で、ドキドキを我慢して彼を見つめ返す
何だろうと待っていると、
「自分、どっか行きたいとこあるか?」
「え?」
思わぬ千堂くんの一言に、私は再び目をパチクリさせる
どっか行きたいとこ = 明日のデートの行き先、ということでいいのだろうか
意外だった。てっきり、「デートなんぞ誰が行くかい!」と怒って言うことなんてきかないと思っていた
「千堂くん・・・、明日お暇なんですか?」
「んー・・・まぁ試合も終わってしもうたし、医者のせんせにも休め言われとるからな」
かなり暇やで、練習したいわ
そうぶつぶつ言う千堂くんの頭を、兄が小さな拳骨で小突いて「ダメや」と釘を刺す
千堂くんはふてくされたように唇を尖らせて、「わかっとるがな・・・」とぼやく
「つーわけで、柳岡はん命令やさかい。明日は出かけるで」
「え・・・、あ・・・はいっ」
いつの間にやら流れで明日出かけることになってしまった
千堂くんが嫌だと拒否しなかったことが、私をじわじわ嬉しくさせる
そして私は再び、「んで。自分どこ行きたい?」と訊かれた
私は「えっと」とか「あの」とかを繰り返しながらいろんな行き先を頭の中に巡らせる
そして時間をかけて私が出した答えは
「ゆ・・・遊園地」
「・・・あん・・・?」
定番過ぎる定番のデートスポットで
ぽかんと口を開けた彼の反応になんだか無性に気恥ずかしくなり、私は再び顔を赤くさせるのだった
遊園地デートはいいですよね
それはともかく、大阪に遊園地はありますか?(そこか)
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