■10月6日 晴れ
閉じた瞼の上に朝の光が降り注いでいた。
重たい扉を開けるようにぐぐぐと瞼を押し上げれば、起き抜けの瞳に自室の丸窓を通して眩しい光が差し込んでくる。
たまらず眉間に皺を寄せ、片手を両目の上にのせて日除けにした。
パチパチと数回瞬きをして、ゆっくりと虹彩が働き始めるのを待つ。
ようやく目が光に慣れてきたところで私は隣にいるはずの彼がいないことに気付いた。
「マルコさん……?」
水分不足の掠れた声で彼の名を呼ぶも返事はない。
さして広くもない私の部屋には彼が隠れられるようなところはない。
気怠い体を起こしてベッド下を見れば、散らばっているのは昨日私が着ていた衣装のみ。
彼の衣服はどこにもない。
お風呂にでも行ったのだろうか。
それとも朝ご飯を食べに?
朝の業務に……行った可能性は低い。
なぜなら彼と、それから私は、今日一日雑務を忘れて好きに過ごしていいと暇をもらっているから。
まぁいいか、とりあえず自分も起きて、まずは服を着よう。
後で湯を浴びに行くのだからとりあえず今は昨日のものでも構わない。
シーツを手繰り寄せて体の前を隠し、ベッド下に落ちた下着に手を伸ばす。
するとその瞬間、なんともタイミング悪く部屋の扉がノックなしに唐突に開いた。
「お? 起きたのかよい」
顔を上げれば、そこには片手でトレイを持ったマルコさんの姿が。
開けた扉をすぐに閉めると「朝からなかなか刺激的な格好してるねぃ」とニヤニヤとした顔でこちらを見下ろしてくる。
間抜けな格好を見られてしまった。
思わず頬を赤くし、「からかわないでください……」と手早く衣服を拾い上げて再びベッドの上に座り直す。
「おはようございます、マルコさん」
「おぅ、おはよ。ゆっくり眠れたかい?」
持ってきたトレイをテーブルに置いてベッドの縁に腰掛ける彼に「ちょっとまだ眠いです」と正直に答える。
ギシリとスプリングを軋ませ彼は私の方に体を寄せると、ちゅっとひとつ、頬に触れるだけのキスを落とした。
「あんまり寝させてやれなくて悪かったねぃ」とまったく悪いと思っていない声で謝罪の言葉を口にする。
キスされた頬がじわじわと熱くなっていく。
いつもなら「本当ですよ。加減してください」と文句のひとつも言うところだけれど、昨日は特別な日だったので私は寛容に目を瞑ってあげた。
トレイから昇るコーヒーの香ばしい薫りに誘われ視線をそちらへと向ける。
そこには2人分の朝食がのせられていた。
どこに行ったのかと思ったら、どうやらキッチンにこれを取りに行ってくれていたらしい。
トーストにサラダ、目玉焼きにベーコン、コーヒーが入ったマグがそれぞれ2つずつ。
それからなぜかショートケーキがひとピース、小皿に盛られていた。
なんでもサッチさんが誕生日ケーキの余った材料で今朝作ったものらしい。
「すみません、主役に給仕みたいなことさせて。私がおもてなししなくちゃいけないのに」
「構わねぇよい。もう誕生日なら過ぎた。それに、お前ぇにはゆうべ目一杯祝ってもらったからねぃ」
「それで十分だ」とマルコさんは私を見つめて満足そうに笑う。
その笑顔があまりにも幸せそうで、満ち足りていて、シーツで隠した胸の奥がきゅうと締め付けられた。
こんな爽やかな朝だというのに、頭をスッキリとさせてくれるはずのコーヒーの薫りも忘れて、私の体は思わず昨夜のことを思い出してしまう。
誕生日だから、特別だからと彼の要望にすべて応え、心も体もすべて捧げて彼に奉仕した。
昨夜の自分の痴態が思い出され今更ながらに少々気恥ずかしさに襲われる。
熱くなり始めた顔を俯かせると「」と優しい声で名を呼ばれた。
「……はい」
「なに考えてんだよい」
「……、……」
「もしかしなくても、俺と一緒のことかねぃ」
「え? ……ぁっ」
顔をあげられずにいたら、顎を指で掬い上げられてキスされてしまった。
さっきみたいな触れるだけの軽いキスじゃない。
昨夜の行為を思い出させ、その続きを誘うような甘く濃いキス。
起き抜けのまだ気怠い頭と体に、それは毒のようにじわじわと浸透していく。
ゆうべ彼を何度も受け入れた体が再び同じ熱を求めて疼き始める。
たまらず体を隠すシーツをぎゅっと握りしめたところで、唐突に唇は離れていった。
濡れた唇は今は熱くとも、すぐに空気に触れて寒さを感じてしまう。
「中途半端なところで悪ぃが。飯、冷めちまう前にな」
コーヒーの湯気が消えないうちに、トーストの上のバターが溶けきらないうちに。
空っぽの胃にエネルギーを与えてやろうと言う彼に、私は「はい」と素直に返事をしながらも酷いお預けを食らったことに悶々ともしていた。
よほど物欲しそうな顔をしていたのだろう、渋々フォークをとった私の顔を見てマルコさんは肩を揺らして笑う。
「続きは食ってから、な?」と意地悪な顔で言われ、胸の内の欲望を言い当てられた私はますます顔を赤くさせる羽目に。
手元をよく見ずに落としたひと刺しは見事に外れ、プチトマトはお皿から零れ落ちトレイの上を転がっていってしまった。
それをマルコさんはひょいと摘み上げ自分の口に放り込むと、代わりに彼のお皿にのっていたトマトを摘まんで私の唇に押しつけた。
お礼もいただきますも言えぬまま私は素直にそれを口の中に招き入れる。
甘酸っぱいトマトの果汁に喉を潤していると、私の視界にショートケーキの小皿が映りこんだ。
ふと昨日のパーティーの最中のサッチさんの言葉が思い出される。
───ちゃんに『はい、あーん』って食わしてもらったらより一層美味くなると思うんだけど
「マルコさん」
「ん?」
トマトのお返しのつもりもあった。
私はデザートフォークに持ち替えると、一口分のショートケーキをのせたフォークをコーヒーをすする彼の口元に差し出した。
「はい」
「……?」
「あの、あーん」
「……」
「……」
「……」
2人しかいない部屋にしーんと流れる、痛いぐらいの沈黙。
彼は目を点にして私を見つめてくる。
やらかしてしまったと気付くのにそう時間はかからなかった。
「えーと……その……」
「……」
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
恥ずかしい真似をしてしまった。
行き場のない手をそろそろと引っ込める。
すると突然フォークを持った手を彼にがしりと掴まれた。
びっくりして顔を上げると、フォークの先はあーんと大きく開いたマルコさんの口の中に吸い込まれていくところだった。
彼はもぐもぐと咀嚼したケーキをコーヒーで流し込むと淡々と一言「ごちそうさん」と告げて私の頭をやや乱暴にわしゃわしゃと撫でた。
びっくりした。
まさかノッてくれるとは思っていなかったから。
「冷めちまうぞ」と彼に促され、私はデザートフォークを置くと再び食事用のフォークを取り目玉焼きに切れ目を入れた。
ちらりと、視線を何気なく彼の方に向ける。
そんなに甘かったのか、マルコさんはずっとコーヒーを飲み続けている。
けれど、それは彼の照れ隠しなのだとすぐにわかった。
「……。マルコさん?」
「……」
呼んでも返事をしてくれない。
マルコさんの耳はほんのりと赤くなっていた。
あぁ、やっぱりそうなんだ。
どうやら彼は人に対してする分には問題ないけれど、自分があーんされる側になることには抵抗があるらしい。
そのことに気付いてしまった私は、こみ上げてくる笑みを隠すために慌てて顔を伏せた。
けれどもちろん私が隠れて笑っていることなど彼にはお見通しで。
すぐに「……っ、なに笑ってやがる」と照れ隠しの仏頂面を浮かべた彼に仕返しのようにケーキをのせたフォークを差し出され、私は強制的にあーんさせられて半分以上食べる羽目になったのだけれど。
それはそれでなかなかに楽しい朝のひと時で、ケーキでお腹が膨らんでしまった私は自分の分のトーストを彼にお願いして食べてもらったのだった。
「サッチの野郎が『ちゃん、プレゼント用意したみてぇなんだけど、なんか自信がなくて渡すの迷ってるらしいんだよな』って言ってたんだがねぃ」
食事の後、体に巻いていたシーツを解いてシャツを1枚羽織っていたらそんな話題を振られてしまった。
誕生日を過ぎてもなお私はいまだに渡す自信がなく、用意したプレゼントは今も大切にベッドの真下の箱の中にしまってある。
マルコさんはベッドの上で胡坐をかき、背を丸めて頬杖をついた姿勢で私を見つめてにまにましている。
「全然大したものじゃないんですけど……。いります?」
「欲しいねぃ」
にこにこと楽しそうな笑顔を向けられ、余計にプレッシャーを感じてしまう。
そんなに期待されるようなものではないのだけれど、それでも欲しいと言われてしまったら渡すほかない。
私は渋々ベッド下の箱を引き出し、しまっていたプレゼントを取り出すと「お誕生日おめでとうございます……」と自信のない声でお祝いの言葉を唱え彼にそれを手渡した。
マルコさんはお礼を言って受け取ると「開けていいかい?」とその場での開封を求めた。
私が頷くと彼は早々とリボンと包装紙を丁寧に解き始める。
そして出てきた小箱の蓋をそろそろと開けると、中身を確認した彼は「へぇ……こいつはまた」と興味深げな顔で口元に笑みを浮かべた。
「懐中時計か。それもアンティークの」
「はい。すみません、新品のものじゃなくて」
「いや、構わねぇよい。ていうか、むしろこっちの方がよっぽど値が張ったんじゃねぇのか?」
「う……まぁ、それは秘密です」
彼の手のひらの中に収まったアンティークの懐中時計は先日上陸したものづくりの島で購入したものだ。
彼の言う通り、確かにそれなりに値はした。
他にもそこそこの値段で良質なものはたくさんあったけれど、一目見てこれが彼には一番似合うと感じたのだ。
マルコさんに満面の笑みで「ありがとよい」とお礼を言われ、このひと月ずっともやついていた心が一瞬で晴れた気がした。
彼が喜んでくれた、それがこれ以上ないくらい嬉しく感じる。
「嬉しいねぃ。大切にするよい」
「よかった。喜んでいただけて私も嬉しいです」
愛おしげな目で時計を眺め、蓋を開けて中の細工まで丁寧に鑑賞し始めるマルコさんに私はホッと安堵する。
だが不意に彼の口から「ん?」と怪訝な声が飛び出した。
内蓋に何か気になるものを見つけたのか、片方の眉を上げて一点をじぃっと見つめている。
なんだろう、何か気に入らないものでもあったのだろうか。
再び不安を感じていると、なぜかマルコさんは私の方を向いてにやにやとした笑みを浮かべた。
「、お前ぇ。わかっててこれ選んだのかよい?」
「はい? あの、これって」
「これだ、これ。ここに彫られている文字、読めるかい?」
「文字、ですか?」
マルコさんに差し出された懐中時計、その内蓋の下の方に小さく刻まれた文字に目を凝らす。
totus tuus
vade mecum
見慣れない文字だ。
私たちが普段使っている共通言語じゃない。
ト、ツ……?
ダメだ……全然読めない。
素直に首を横に振って自分には解読不可能なことを伝えると、彼は綺麗な発音で流暢にその文字を読みあげてくれた。
「トトゥストゥース。ヴァデミカム。だよい」
「トトゥ……? なんですか、それ」
どこの言葉なのかもわからない。
一体どういう意味があるのだろう。
こんなものが彫られていたなんて全然気が付かなかった。
「あの、まさか……呪いの言葉とかだったり?」
もしそうなら申し訳ないどころの話ではない。
不安な顔で彼を見上げると、なぜか「ある意味、嬉しい呪いだねぃ」と呑気に笑い返された。
そして彼は見慣れない言語で書かれたその文字の意味を私に教えてくれた。
totus tuus
身も心もすべてあなたに捧ぐ
vade mecum
一緒にいこう、ともに進もう
「こいつはな、よく結婚指輪の内側に彫られる定番の文字なんだよい」
「え……、けっ……!?」
その言葉の意味を聞いたとき、妙に勘が働いてもしやと思うところがあったけれど、やっぱりそのもしやだった。
まさかそんな意味の言葉が彫られている品を恋人である彼にプレゼントしてしまうなんて。
じわじわと顔を赤くさせていく私を見てマルコさんは当然のように肩を震わせて笑う。
「てっきり先越されてプロポーズされちまったのかと思ったが。そういうわけじゃねぇんだな」
「ちが……っ、あの……ごめんなさい、本当に知らなくて」
無知な自分を恥じる。
本当にそんなつもりはなかったのだ。
彼に変な勘違いをさせてしまったことを心から申し訳なく思う。
ごめんなさいと思いながら、けれど同時に彼にそんなふうに思われたことが少し嬉しいと思う自分もいた。
だからきっと、心の奥にある彼に対する私の気持ちはたぶんもう決まっているのだろう。
「プロポーズねぃ。まぁ、されるのも悪かねぇが」
「マルコさん?」
「できれば男の俺の方からしたいもんだねぃ。もうちっと場を整えて、きちんとな」
「え……っと、……あの」
「」と穏やかな声で名を呼ばれ、真っ直ぐに彼を見つめる。
「機会を改めて俺からさせてくれよい」と優しい顔で告げる彼に私は今にも泣きそうになるのを唇を噛んで必死に耐えた。
それはいつになるのかはわからないけれど。
でも私は待ちわびるその日まで、そしてその後も、ずっと彼のそばにいられる、いることを許される、そういうことになるのだ。
こんなに幸せなことが他にあるのだろうか。
泣くのを耐える私を見てマルコさんは笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれる。
彼の想いに応えたくて私は噛みしめた唇を開けて精一杯の答えを返した。
「お」
「ん?」
「お待ちしてます……」
あなたが私に幸せな呪いをかけてくれるその日を夢見て。
私は今日も、明日も、これから先もずっと、あなたの隣で笑顔であり続ける。
私の答えは彼にとって及第点以上のものだったらしい。
石火の速さで抱きしめられ、気付いたときにはシーツを背に感じ彼に唇を塞がれていた。
唇を重ねたまま、羽織ったばかりのシャツが彼の手で性急に脱がされていく。
私は彼の首に両腕を回し、先程お預けにされた昨夜の続きを全身で彼に強請った。
太陽は空の一番高いところを目指してどんどん昇っていく。
せわしなく人々が動くモビーの片隅で、私たちだけがなかなか起きていけなかったのは言うまでもないこと。
ようやくいつもの服に着替えて甲板に出た頃には太陽はすっかり午後の活動領域に入っていた。
今日一日私たち2人だけは暇をもらっているためモビーにいても特にすることはない。
「散歩にでも行くかねぃ」
マルコさんの一言で私たちは日が暮れるまでの時間をモビーの外で過ごすことにした。
不死鳥に変身したマルコさんの背を借り、甲板から飛び立った私たちは空の散歩に出掛ける。
行く宛など特に決めていない、島が見えたら適当に降りてみようというざっくりとした予定の自由な旅だ。
晴れた秋の空には綿飴を引き延ばしたような薄っぺらい雲がたなびいている。
掴めるかなと時折手を伸ばしてみるも結局は水滴の塊なので手に残るものは何もない。
風にあおられ髪と上着がバサバサと揺れる。
腰のベルトには今朝私が彼に贈った、今は彼から預けられている懐中時計がチェーンで繋がっていた。
それもまた風を受けて浮き上がりチャリチャリと心地よい金属音を奏でている。
「誕生日、楽しめました?」
風の音に掻き消されないよう、そこそこ大きな声で彼に問う。
不死鳥の姿の彼は前を向いたまま「おぅ!」と同じく大きな声で返事を返してくれた。
「お前ぇの誕生日も盛大にやってやるから覚悟しとけよい」
「盛大にってどれぐらいですか?」
「あぁ? あー、そうだねぃ。親父のと張るぐらいにだよい」
「それはまた。ふふ、でも楽しみにしていますね」
マルコさんの誕生日だって十分すぎるほど盛大なものだったのに、父様のならきっとそれ以上なのだろう。
そんなふうに大勢から誕生日を祝われたことなんてない。
楽しみに思いながらも、きっと私はみんなから矢継ぎ早にかけられるお祝いの言葉に目を回してしまうのだろうなと情けない自分が容易に想像できて今から苦笑してしまった。
「いい天気ですね。風が気持ちいい」
「そうだねぃ。お前ぇを乗せて飛ぶのはなんだか久しぶりな感じがするよい」
「確かに、そうですね。……へへ」
「?」
「久しぶりですが、でも私はマルコさんの背に乗って空を飛ぶといつもあの日のことを思い出します」
それは忘れることなんてできもしない、マリンフォードから彼が私を連れ出してくれたあの日。
長く海兵として生きてきた私の人生に幕が下ろされたあの日だ。
郷愁に浸っていたつもりはないけれど、懐かしい記憶を話題に出した私にマルコさんは「久しぶりに覗きに行ってみるかい?」と散歩の進路変更を提案する。
それが冗談なのか本気なのかはわからないけれど、どちらであれ私の答えは決まっていた。
いいえと答え首を横に振る、私の口元には笑みが浮かんでいた。
「もう私には用のない場所ですから」
晴れ晴れとした気持ちでそう伝えれば、「そうかよい」と答えるマルコさんの声もどことなく明るいものに聞こえた。
「マルコさん」
「なんだよい」
「愛しています」
「……!?」
脈絡のない唐突な愛の告白に慌てた不死鳥の顔がバッとこちらを振り返って見てくる。
「なんなんだいきなりっ」と訳が分からないという顔の彼に私は自然と浮かんでくる笑みを向けて、もう一度同じ言葉を繰り返し彼に伝えた。
「愛しています、マルコさん。心から」
それは今初めて伝える言葉ではないけれど、でもきっと今の彼に伝えるべき一番ふさわしい言葉だと思うから。
私が彼にあげられるものなんて限られているから、だからあげられるものなら全部、それが言葉で足りるものなら何度だって伝えたいのだ。
普段滅多に気持ちを伝えることのない私が珍しくストレートに想いを伝えたせいだろう。
マルコさんが纏う青い炎が心なしか穏やかな色に変わったような気がする。
「マルコさん。もしかしなくても照れてます?」
「、てめぇ……っ。くそ、陸に降りたら覚悟しとけよい!」
「ふ……、あはは! はい、覚悟しておきます」
私に幸せをもたらしてくれた青い鳥、彼の背に乗る今の私の顔には最高の笑顔が浮かんでいる。
私は今日も、明日も、これから先もずっと、彼のそばで生き続ける。
彼と2人でならどこへだって、天国だろうと地獄だろうと、たとえ世界の果てだろうと飛んでいける。
私はこれからもずっとあなたのそばで生き続ける。
あなたを心から愛しながら。
「マルコさん、お誕生日おめでとうございます!」
私は笑顔で繰り返し何度もあなたに告げる。
おめでとうございます、マルコさん。
そして、ありがとうございます。
Fly me to the World's End
この世界に生まれてきてくれて。
途方もなく広いこの世界の中から私を見つけてくれて。
ありがとうございます。
←
□
終わりです。
最後まで目を通してくださり誠にありがとうございます。
マルコさんの誕生日をこうしてお祝いできたことを心から幸せに思います。
作中で懐中時計に彫られた文字はラテン語で実際にある言葉です。
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