ドリーム小説
が神無大学を第一志望に受験するらしい。
そこでちょうど文化祭中の神無大学に見学がてらに足を伸ばすことになった。
ヒョーゴにとって神無大学は懐かしの学び舎。
ここにはヒョーゴの甘酸っぱい恋の思い出が詰まっている。
最寄り駅で待ち合わせて大学へ向かい、がやがやと賑わうキャンパス内を2人で歩いた。
の興味関心は先程から構内のあちこちに向けられている。
古い石造りの神無大学はまるで中世のヨーロッパにいるようで、はその厳かな雰囲気が気に入ったらしい。
「冷たいのに、なんだか暖かい。不思議な建物。いいとこね、神無って」
「・・・・・・」
「ヒョーゴ、聞いてる?」
「あ?・・・・・あ、あぁ悪い」
その一方で、隣を歩くヒョーゴはといえば、どことなく気もそぞろであった。
その理由は、彼の横を歩くこの少女にあるのだが。
ヒョーゴはちらりと横目でを盗み見た。
(・・・・どう見ても高校生には見えんな)
今日のは私服姿だ。
ふわふわのスカートに濃茶のロングブーツ、控えめなフリルのブラウスに黒のカーディガン。
うっすらと薄化粧した彼女の唇には淡いピンクのグロスが塗られている。
制服姿のときでさえ人よりも大人っぽく見えるのに、今日の彼女は女子大生そのもの。
可愛くて美人のに、男の目が集中しないわけがない。
大学の門をくぐった辺りから、すれ違う男どもが彼女に視線を送ってくるから、ヒョーゴの機嫌は悪くなるばかり。
が綺麗なことなどよくわかっているつもりだったが、まさかここまでとは。
「・・・・予想以上だ」
「うん?」
「いや・・・何でもない」
横から見上げてくるに溜め息で返し、ヒョーゴはジャケットのポケットに両手を突っ込んだ。
キャンパス内は大混雑で、客引きの元気のいい学生たちでごった返している。
さて、まずはどこから案内しようかと考え巡らせていたときだった。
「・・・・・ヒョーゴ?」
背後から、とは違う女の声で名前を呼ばれた。
誰だ、とヒョーゴはゆっくりと後ろを振り返る。
彼の真後ろにはがいて、彼を呼んだのはその更に後ろにいる人物。
眼鏡越しのヒョーゴの目が、瞬時に驚きに大きくなった。
「な・・・・・・・」
「うわ、当たった・・・・ヒョーゴだ」
ばったり出くわしてしまった予想外の相手に、思わずヒョーゴはフリーズしてしまう。
長い髪を一つにくくり、形の良い両耳には質素なピアス。
細身のジーンズにスニーカー、深緑のフード付きパーカー姿で、右腕には神無大学祭スタッフの腕章をつけている。
彼女もまたヒョーゴを見てびっくりしているようだったが、その顔には次第に笑みが浮かんでいった。
「・・・・ビックリした。すごい・・・久し振りだな、ヒョーゴ」
「あ・・・・あぁ・・・って、本当に・・・お前か?」
ぎこちない返事を返すヒョーゴに、彼女は「そうだよ」と呆れながら笑う。
彼女の唇が緩やかに三日月型を描く。
こうやって笑うときの彼女が一番美しかったのを、ヒョーゴは今でも覚えている。
大学卒業以来、数年ぶりの彼女との再会。
あの頃、自分が愛してやまなかった彼女との再会。
どんなに愛しても最後まで自分には振り向いてくれなかった彼女が、今は変わらないあの笑みでヒョーゴの前にいる。
不思議な気分だった。
そして、ヒョーゴと彼女に挟まれるようにしてそこに立つもまた、何ともいえぬ不思議な気分でいるのだった。
Romantic Quartett
「いや、でも本当に久し振り。元気だったか?」
「それなりにな。お前は相変わらず、元気そうだな」
「はは、まぁね」
挨拶を交わし、互いにふっと笑い合う。
懐かしい彼女はあの頃と変わらない、いや、あの頃よりもっと綺麗になっているとヒョーゴは思った。
「ヒョーゴ、今何やってんだ?」
「あぁ。お前の母校で教えている」
「うそ、神無学園で!?うっわ、すごい。なんかよくわかんないけどすっごい」
「なんだその驚きは。大袈裟すぎるわ。で・・・あー・・・お前は?」
「わたし?あぁ今はね、テッサイ先生の助手兼講師」
「講師って・・・お前、あの選考試験通ったのか」
「あぁ。まぁね」
誇らしげに笑う彼女。
その口元には、懐かしい三日月が浮かぶ。
彼女は相変わらず自信に満ちていて、綺麗で豪快だった。
「なに、今日は。遊びに来たのか?」
「あぁ・・・・いや。実は教え子が来年ここ受けるんでな」
「あぁ、下見?じゃ、受けるのは・・・・そちらのお嬢さんかな?」
彼女の視線が、ヒョーゴの横に立つに向く。
2人は目があい、は彼女に向かって緩く会釈した。
顔を上げたとき、2人の視線はまたかち合った。
初めて会った者同士なのに、なぜか不思議と違和感は感じなかった。
綺麗な人だと、は思った
綺麗な子だと、彼女は思った
「「はじめまして」」
「・・・あ?」
「「あ・・・、」」
2人同時に開いた口は、全く同じ言葉を発した。
見事に声がかぶってしまい、何だかおかしくて彼女もも思わず笑ってしまった。
彼女は丸めた学祭パンフレットでトントンと肩を叩いている。
男みたいな仕草なのに、それがすごく似合っていた。
(男の人みたい・・・なのに、どうしてかな。すごく女性らしい)
それがが感じた彼女の第一印象。
彼女は男の人みたいに気持ちよく笑う人だった。
綺麗な人、頭も良くて、性格もいい。
ヒョーゴがずっと前に話してくれた、彼が好きだった人はこの人だと、にはすぐにわかった。
「もしかして、”委員長さん”?」
「お。懐かしい呼ばれ方だねぇ」
「だって神無学園の伝説になってるから」
の言葉に彼女は照れたように片眉だけ下げて笑う。
そんな表情もいちいち可愛い。
気さくな話し方をするに文句を言ったりもしない。
おおらかで豪快で、全てを受け入れてくれそうな広い心を持っている気がする。
この人を嫌いになる人なんているんだろうかとは思った。
(ヒョーゴ、意外と女を見る目があるんだね)
くるりとヒョーゴを振り返って、くすりと含み笑いをしたら、ヒョーゴに眼鏡越しに怪訝な顔をされてしまった。
「先生」
「あ?」
「私、キャンパス内を歩いてきますから、どうぞごゆっくり」
「あぁ。・・・・・は?!」
「大丈夫です、一人で行けますから」
「お、おい・・・っ!」
ヒョーゴの呼ぶ声を無視して、はさっさとその場を退散してしまった。
後ろからはヒョーゴの呼ぶ声が聞こえていたが、ひどい人混みでそう簡単には追いかけられない。
ヒョーゴが久々に会った彼女のことをすごく気にしている。
は彼の想いを敏感に感じ取っていた。
彼の彼女を見る目が酷く優しくて、酷く懐かしそうで。
彼女と二人だけの時間を過ごしたいっていうオーラが出ていたから。
「邪魔にはなりたくないからねー」
かつて愛した女と、現在関係を持っている女を目の前にして。
思い出の大学で、思い出の女を前にして。
きっと自分がいたらヒョーゴは居心地悪いだろう。
だからは2人の前から立ち去ることにした。
「うーん・・・聞き分けの良い女になるのも楽じゃないなぁ・・・・」
の口から小さな溜め息が漏れる。
前と違って、自分の心が『さみしい』と言っているのを認識してはいる。
ヒョーゴへの自分の気持ちに気付いてしまってからは特にだ(シチさんのせいだ)。
最近は乙女思考になることが多くて大変だ。
本当は彼と一緒にいたい、彼に構内を案内して欲しいのだが。
「素直じゃないなぁ・・・私も」
そんな自分に呆れて苦笑しながら、は神無大学の一番奥に見える建物目指して歩いていった。
マイドリーム
アルビノカップルと委員長カップルのコラボ
やっちまった感が強いです(冷静にガタブル)
と委員長の初顔合わせ
きっとヒョゴは心中穏やかじゃないですぞ
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