ドリーム小説
シンドバッドから新たなヒントをもらった三人組はきょろきょろと視線を巡らせながら宴の中を歩いて回った
を見つけるため、三人は特に女性の背中を念入りに観察する
けれど宴の会場全体をぐるりと見て回っても、シンドバッドのヒントが該当する女性はなかなか見つからなかった
「いないねぇ、おねえさん」
「うーん・・・王宮に戻っちまったのかな」
アリババは後頭部を掻きながらため息をつく
少年二人がもう諦めてシンドバッドに降参しに行こうかと言ったとき、モルジアナが「あっ」と声をあげた
「どうしたんだい、モルさん」
「まだ探してない場所がありました・・・」
「え?あったか、そんなトコ」
「はい、一ヶ所だけ。盲点でした。私もついさっきまで居たのに」
「モルさんもさっきまで居たところって・・・・・、あ!」
「あ・・・あー、あったな!あと一つ」
三人は顔を見合わせるとニッと笑って一斉に同じ場所を向いた
ドンドット ドンドット ドンドンッ!!
ドンドット ドンドット ドンドンッ!!
南国特有の太鼓が力強い音を奏でる
音楽に合わせて仮面をつけた麗しい女たちが舞い踊る
壇上の周りでは松明の火が煌々と燃え、踊り子たちを照らし出していた
「いいぞー!踊り子のねぇちゃんたち!」
「飛び入り大歓迎だ、どんどん入ってくれー!」
周りで見物する男たちが酒を片手に大いに盛り上がっていた
壇上では踊り子たちが入れ替わり立ち替わり舞を踊り続けている
三人組がまだ探していない場所とはここのこと
「衣装が恥ずかしくて隠れてる人が、まさか一番目立つところで踊ってるなんて考えもしなかったな」
「そうだね。おねえさんいるかな?」
アラジンとアリババは壇上の女性たちを端から順に見ていった
一方で鼻の利くモルジアナは壇上の中心で踊る女性に目をつけ、その人をじぃっと見つめていた
そして太鼓のリズムに合わせて女性たちが片足でくるりと回転し、一瞬だけ背中を見せた
その一瞬で、モルジアナは持ち前の動体視力を発揮してみせた
「あっ。居ました」
「え!ホントかい?」
「どこどこ、どこに?!」
「あの真ん中で踊ってる方です。髪も水色で紫紺のピアスをつけていて。それにさっき回ったとき背中が見えました」
モルジアナが指さす方向を二人も見つめた
するとタイミング良く、踊り子全員がこちらに背を向ける振り付けとなった
大勢の中、中心で踊る一人の女性の背中をアラジンとアリババは食い入るように見つめる
途端二人の少年の顔はパァッと明るくなった
「見つけた!」
「うん!おねえさんだ!」
シンドバッドが言っていたとおりのヒントを彼女の背中に見つけ、三人は確信する
踊り子たちが再び正面に向き直り、トットットッ!と早い足運びで床石を鳴らし出す
「いくぞ、アラジン」
「うん!せぇの・・・」
アラジンとアリババはすぅっと息を吸うと、太鼓の音に負けないぐらいの声で彼女の名を呼んだ
「さーんっ!!」
「おねえさーんっ!!」
ドンドット ドンドット ドンドンッ!!
ドンドット ドンドット ドンドンッ!!
大音響の中にもかかわらず、二人の声は彼女に届いていた
魅惑的な腰つきで踊りながら、彼女は仮面をわずかにずらし、弧を描いて笑う口元を見せた
その笑みは三人に「正解です」と言っているようだった
「曲の締めだ!見物だぞー!」
誰かが声をあげるのと同時に太鼓が一際大きく力強い音を奏でた。踊りが最高潮に達する
舞の終演へと向かい、麗しい娘たちが足を鳴らし花を散らしながら高く跳び上がると、会場全体からわぁっ!と大きな歓声があがった
※後編に続きます
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