ドリーム小説
マルコ先生が実は何気に女子生徒の間で人気があるのは知ってたけど
バレンタインなんて休み時間ごとに「先生チョコもらってくださーいvv」って女の子たちが職員室に行くの知ってたけど
マルコ先生のファンがたくさんいるのは知ってたけど。けどけどまさか
「わたし・・・先生のこと好きなんですっ」
(うは・・・)
自分と同じように恋人ポジション希望の子がいたなんて、それは知らなかったよ
なんてタイミングが悪いんだろうとは自販機の影に隠れながら自分の不運を呪った
(日頃の行いか・・・)
まさかのバッドタイミング。神様は意地悪だとはべぇと舌を出す
社会科教員室でマルコを待っていて、喉が渇いたから自販機にいちごミルクを買いに来ただけなのに
聞こえてきてしまった告白の声に慌ててしゃがんで自販機の影からこっそり様子を窺えば
なんとなんと、告白を受けているのは彼女の恋人マルコ先生なのだった
「あの・・・わたし、もうずっと前から・・・去年のはじめからずっと先生のことが好きで」
顔を真っ赤にして言葉に詰まりながら一生懸命告白する女の子。も彼女を知っている。同じ学年の子だ
というか、の学年ではかなり有名な子だ。可愛くて頭がよくて生徒会に入っていて男女に人気があって
男子が授業中にこそこそ回している投票用紙で「彼女にしたい子」ナンバーワンになった子だ
「生徒のわたしが先生にこんなこと・・・、いけないことだって分かってます。でも、・・・でも先生のことが好きすぎて・・・っ」
(・・・ぅひゃぁ)
自販機の前で体育座り。は財布を胸に抱えて自分の口を手で覆う
同性の自分でも思う。・・・可愛い。可愛すぎる。顔も可愛いけど仕草も可愛い。頭もよくて礼儀正しくて人気があって
そんな子がマルコ先生に愛の告白って。自分はライバルになるわけか。ライバル・・・
はたと考えて、はがくりと首を倒す。・・・おぉう、・・・だめだ。真っ向勝負で勝てる要素がひとつもないじゃないか
「お願いです・・・、先生。わたしのこと、彼女にしてください・・・っ」
(・・・素直な子だなぁ)
可愛くていい子だなぁ。男の人はきっとああいう健気な子が好きなんだろうなぁ
自販機の取り出し口にコツンと頭を預けては空を仰いだ
夕暮れの橙色の空が綺麗で、綺麗すぎて、ちょっと目にしみた
*
結局その場を去るタイミングを逃し、は告白を最後まで聞いてしまった。で、結末はというと
結論から言えば、マルコは彼女の告白を断った。「悪ぃな。お前のことは優秀な生徒だと思ってるよい」って
残酷で素敵な断り方だ。さすがは大人の男性
女の子の瞳には見る見るうちに涙がたまっていって、綺麗な双眸からぽたりぽたりと雨が落ちた
両手で顔を覆って泣く彼女の頭を見かねたマルコはよしよしと撫でてやっていた
そうしたら女の子がマルコの胸に抱きついて「私じゃダメですか・・・っ?」って涙声で懇願するんだ
それが可愛すぎて。先生、あのまま抱きしめ返しちゃうんじゃないかとちょっと不安に思ったけどそんなことはなかった
そっと女の子の両肩に手を置いて体を引き剥がして、「悪ぃな」って言って泣きじゃくる女の子を優しい目で見下ろしていた
社会科資料室に戻ってきたは、扉に背を預けて寄りかかって両足を前に伸ばしてぼぉっとしていた
あの子、先生にすごく似合ってるなぁ、とか。あんな子が彼女だったら男の人は自慢だよなぁ、とか
そんなことを考えていたら、いきなり扉がガラガラと開いてマルコが入ってきた
部屋に一歩足を踏み入れて、すぐ真横に寄りかかっているを見つけて「ぅおぃっ」と驚く先生
「んなとこで何やってんだよい」
「・・・」
ガラガラと扉を閉めて、それから問いかけに答えないに視線を送る
マルコの方を見ようとしない。横顔だけだが元気がない。唇がちょっと尖っている、ということは何かふて腐れているな
何かあったのだろうかとマルコはもう一度声をかけようとして。彼が一言目をしゃべる前にに先に口火を切られてしまった
「もてもてマルコ先生」
可愛い子に告られちゃって、と笑顔もなく言って、は寄りかかった姿勢のまま首を横に向けてマルコを見上げた
いつも半分しか開いていないマルコの目が驚きに丸くなっていた
なんで知ってると視線で問う彼に、はぷいっと視線を前に戻して正直に言った
「ジュース買いに行ったら見つけちゃった。退散しようかと思ったけど、物音立てずに立ち去る自信なかったから座って聞いてた」
「・・・そうかい」
マルコは別に盗み聞きしていたことを咎めはしなかった。ただばつが悪そうに後頭部をぼりぼりと掻いた
の口からふぅとため息がつかれ、それから寄りかかっていた背を起こして、首だけをマルコの方に向けた
「可愛い子だったね」
ニッと歯を見せて笑って、冷やかすように言ってやる。マルコは無表情での言葉を聞いていた
「生徒会の子だよね」
「あぁ」
「先生、知ってる?あの子ね、3年の男子の中で人気投票ナンバーワンの子なんだよ」
「へぇ。それは初耳だよい」
「ちょーいい子だって」
「成績は良かったねぃ、1年の頃から」
「だよね。いつも5番以内にいるもんね。先生、もったいないことしたね」
「・・・」
振っちゃってよかったの?
首を傾げて問いかける、彼女の顔は笑っていた。マルコは無表情でそれを見つめおろす
そのまま数秒。それからマルコはゆっくりと息をついて目を閉じ、そのまま彼女に問いかけた
「怒ってんのかい」
「うん」
彼女からの答えは即答。けれどその声に怒りの音色はなく、晴れ晴れとした響きで「怒ってるよ」と言う
「先生のせいでいちごミルク買いそびれたからね」
それが目的だったのに、とは不満そうな顔をする。その言葉と表情は本気か、嘘か
きっと他の人間にはわからないだろう。けれどマルコにはわかる。きっとどちらもだ
マルコはフッと力を抜いて苦笑して、「そりゃ悪かったねぃ」と謝った
「放課後は一杯のいちごミルクって決めてるんだけどなぁ」
私の大切な至福の時間を奪ってくれた罪は重いのよ。わざとらしいくらい恨みがましい口調で訴える
怒ってるよ。怒ってる。腹が立ってしょうがないよ。それもこれも全部
「先生のせいなんだから・・・」
いちごミルクが飲みたかったんだ。けど買えなかったんだ
だって先生があんなところで、あんな可愛い子に告白なんかされてるから
泣きじゃくるあの子の頭を撫でて、抱きつかれて優しくなんかするから
優しくなんかしたら、あの子はもっと先生のことを好きになる
可愛くて頭が良くて人気があって・・・どうやっても私じゃ勝てないのに
どんどんマイナスになっていく思考
そうしたら不意に腕を引っ張られて、思考はそこで止められた。先生に後ろ向きで抱きしめられる
背の高い先生にすっぽりと覆い被され、ぎゅっと抱きしめられた。それから穏やかな声で「じゃぁ」と問われた
「どうすれば許してもらえるんだい」
子どもみたいに怒って不機嫌な自分を全身で覆って穏やかなオーラで中和しようとしてくれる
背中に先生の体温を感じて、私の中にあった負のオーラは次第に甘えと
それから、彼によって育てられた情欲に変わっていくのを自分でも感じた
可愛くて頭が良くて健気でみんなから人気で、彼女にしたい子ナンバーワンの女の子
そんな素敵な女の子にはなれないけれど、けどお願い・・・
「いっぱい愛して・・・」
夕暮れから夜に変わっていく。薄暗くなっていく静かな部屋に小さく響いて消えていった彼女の懇願
彼女を抱きしめる腕に力を込めて、マルコはふっと笑って彼女の耳に囁く
「了解」
片腕を彼女の体から放して後ろにまわす
カシャン!
響く金属音は、部屋の鍵が閉まる音。閉ざされた空間に二人だけ。広がる夕闇が二人の姿を隠していく
彼の熱い唇が彼女の首筋を這い、彼女の唇から甘い吐息がこぼれてすべてが始まる
待っているのは、いちごミルクより何倍も甘い時間
ごめんね先生
教師と生徒の恋模様
08:無関心なフリ
なんて、私にはできないよ
※たまには女の子の方からヤキモチ妬いてもらいましょう♪
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