ドリーム小説
※『止まらない愛憎を止めて』数日後のお話
怪我したこと、マルコにだけは隠しておこうと思ったのにあっという間にばれてしまった
隠している間はエースに治療してもらおうと思っていたのだけれど
「は俺の隊の部下だ。俺が看るよい」
隊長権限であっさりとの面倒を見る権利をエースから奪い取っていった
あれから数日
毎日朝と晩にマルコがの怪我を看るのが日課に
はじめの二日間ぐらいはマルコの部屋で治療していたのだがマルコの匂いがしみついた部屋は完全に彼のフィールドで
ベッドの上に腰掛けて消毒や包帯の交換をしているとだんだんと二人きりであることが色濃く出てきてしまいは気が抜けなくなってしまった
ということで、せめてものの願いで治療は甲板の端っこの一目のつかないところで行われることに
二人きりであることに変わりはないが、ここならまだ彼の匂いに強く支配されることはない
「夕べは熱は出てねぇかい?」
「はい、夕べは。ゆっくり眠れました」
「そうか。ならよかったよい」
「でも、傷を縫ってもらったことをすっかり忘れていて、今朝寝起きに思いきり背伸びしてしまって激痛が走りました」
「それはまぁあれだ。アホ過ぎだろい」
「まったくですね」
は首だけ後ろを向けて、笑うマルコに苦笑してみせる
マルコはの頭をクシャクシャと撫でた
「さて、んじゃぁ」
「はい」
そのやり取りを合図にはいつも上着を脱ぐ
背中の傷を圧迫しないようにここ数日さらしを巻いていない
だぼっとしたシャツのボタンを外して衣服を落とせば、現れ出るのは真っ白な背中
左肩から肩胛骨まで走る縫い傷
痛々しい傷にマルコは眉間に皺寄せる
「傷、開いちゃいました?」
「いぃや、問題ねぇさ。少しずつ塞がり始めてる」
「そうですか。よかった」
「けど、こりゃ大層な痕が残るよい」
「はい。エースにも言われました。でもいいんです、傷の一つや二つ今更ですから」
「はぁー。美人のくせに豪快なこと言いやがって」
「あ。それもエースに言われました。なんだか不思議な感じですね」
はくすくすと肩を揺らす
けれど不意に後ろのマルコからの返事がなくなった
「隊長?」
何か燗に障ることでも言っただろうか
気になって後ろを向こうとした瞬間、ひやりとした手のひらの感触を背中に受けてびくりと体が跳ねた
「ひゃっ」
「そうかい。エースと同じことを言ったかい」
「隊長・・・?」
「一番隊の隊長が二番隊の隊長に先越されるたぁ、情けねぇよい」
「な・・何言ってるんです。ただの他愛ないおしゃべりですよ」
「そうかもしれねぇよい。けど、それがお前ぇに関わっているんなら別さ」
マルコの冷たい手がの背中の中心線を上から下へと降りていく
ゆっくりと指先で撫でられ、くすぐったくもあるが同時に感じてしまうのは彼の情欲のせい
がベッドのある彼の部屋での治療を拒んだ一番の理由
マルコに触れられると、体の熱が高くなる
「笑うかい?」
「え・・・?」
「みっともなく嫉妬してばっかりのこんな俺を」
「嫉妬・・・だなんて、そんな」
「冗談なんかじゃねぇよい。毎度毎度言ってるとおりさ・・・なぁ、」
「はい・・・」
「俺はお前が好きで好きでしょうがねぇんだ」
「・・・、・・・」
彼のその愛をもう何度贈られたことかわからない
はじめてマルコにそう言われたときからもうずっと彼の愛は変わらない
直接的な彼の愛に、の耳はいつも朱に染まる
「心配なんだ。こんな傷つくって、治療のためとはいえ他の男に体晒して」
「・・・へ、変な言い方しないでくださいよ。エースは友人です。純粋に傷を看てもらっただけで」
「信頼してるって?」
「・・・勿論、です。信じています」
「俺は?」
「おれ、は・・・」
即答、できる質問ではなかった
にとってマルコには、「信頼」とは違う別種の感情があったから
けれどそれを口にすることは今はできず、沈黙はかえって彼をがっかりさせてしまうのだった
背後からマルコの小さなため息が聞こえ、の胸は軋む
「意地悪して悪かったよい」
「い、意地悪だなんて思ってな」
「けど、これだけは覚えておいて欲しいんだな。俺はどんなことがあろうとお前を愛し裏切らない」
「・・・、・・・」
「それから、必ずお前を振り向かせてみせる」
「・・・隊長、・・・」
「」
「・・・はい」
マルコに呼ばれ、はゆっくりと左へ振り返る
真剣な目のマルコに視線を合わせられ、気まずさと恥ずかしさと彼の想いを受けとってあげられない後ろめたさに俯く
すると彼の手が伸びてきて、顎に指をかけてクッと上を向かせられてしまった
「・・・!」
「ちゃんとこっちを見ろよい」
どこか甘さを含んだ声で命令され、今度こそ視線を外せなくなる
じわじわと耳が赤くなっていくのが熱で分かる
うぶなを面白がるようにマルコは笑って、それからゆっくりと首を傾けてに顔を近づけてくる
何をされるか察したは逃げ腰になるも体を強張らせるだけで本気で逃げることはできずにいた
「あっ!だ、駄目ですよ・・・っ」
抵抗の意をみせるもマルコはとまらない
超至近距離にまで迫られ、結局は眉間に皺ができるくらいきつく目を閉じることを選ぶ
目を閉じる間際、最後に見たのはマルコの得意げな笑み
「・・・・・・」
数秒ののち、はゆっくりと目を開ける
パチパチと瞬きさせ、そして予想と違うキスに思わずはマルコを見やる
「唇にされると思ったのかよい」
「・・・っ」
にやりと笑われ、はボッと顔を真っ赤にして彼を睨む
マルコの唇はの唇の左端に落ちた
予想とは違うも、まだ彼の唇の感触が残っていての胸をドキドキさせている
「酷い人です・・・」
「ん?」
「どうしてこんな意地悪を・・・・・・」
「はは。そうだぁな。・・・誓い、と願いだよい」
「え?」
「今はまだ俺の恋人じゃねぇからなぁ、だから唇にはしねぇよい。けど、俺の気持ちだけは伝えときたくてな」
それは、誓い
「俺のすべてをお前に捧ぐ」
そして、願い
「だからお前のすべてを俺にくれ」
海賊だから、今は奪うようなやり方しかできないけれど
いつか君の言葉で聞きたい、愛のしらべ
「俺の気持ちを受けとってくれる日が来たら、今度は唇をもらいに行くよい」
「・・・!」
空は青く、気持ちのよい海風が肌を撫でる
けれどどんな風も今は彼女の火照った頬を冷やすことはできない
僕のすべてを君にあげよう
(まずは名前で呼ぶように調教してみるかよい)
※不死鳥はけだものです、の巻
を溺愛しすぎて自我を抑えられなくなっている今日この頃
このあとマルコはもう一度チューを(ほっぺに)しようとして今度は両手で唇を押さえられて禁止されます
「ち、調子にのるのもいい加減にしてください・・・っ」
「ちぇ・・・」
「なに舌打ちしてるんですか・・・・・・、もう」
の苦労は続く
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