ドリーム小説
※『寂しさと愛しさの乗算』続き
マルコの意地悪に耐えられず、逃げるようにパブを飛び出したその10分後
は本日二つ目の災難に遭遇
「おぉー別嬪姉ちゃん。俺らと一杯どうよ?」
「お前またナンパかよ・・・って、おい。こりゃ確かに上玉だな」
このまま真っ直ぐ船に戻るのも癪で、船に一番近いパブでひとりヤケ酒をしていたらこれだ
カウンターに一人腰掛けるに、さっきからひっきりなしに男たちが声をかけてくる
「姉ちゃん海賊か?どこのもんだ」
「・・・」
「へへ。無視する顔もまた可愛いなぁ。んで、どこの所属なんだ?港に白ひげの船が停まってるけどよ、まさかそこのもんじゃねぇだろ?」
「・・・・・・」
まさかのまさかでそこのもんです
正直に答えようかと思ったがは無視を決め込んだ
「素性は明かさない主義なんです。ひとりにさせてください」
男たちが飽きて離れていってくれることを望んだが、ナンパ男たちはなかなかにしつこくて
離れるどころかニヤニヤ笑っての隣の席に座り込んできた
「謎めいた美女。いいねぇ。ますます知りたくなったよ、お前ぇさんのこと」
そう言って男の一人はの肩に手を回してきたのでこれにはもビックリ
「・・・放してください」
「放すさ。お前ぇさんが一緒に遊んでくれると言ってくれりゃあな」
「・・・」
くくっと喉を鳴らして男たちは笑う
は面倒くさくなってしまい、もうやっつけてしまおうかとため息をついた
カウンターの下でパキパキと関節を慣らした瞬間
「おいおい、お前ぇら。一体誰の許可とってそいつに触れてんだよい」
(・・・!)
背後から聞き慣れた声がしては目を丸くする
ナンパ男たちは怪訝そうな顔で声の主の方を睨む
「あ?なんだ、てめぇは」
「見ねぇ顔だな。島のもんじゃねぇな?おい、名を名乗れや」
「んな必要ねぇよい」
「あ・・・?なんだ・・・と、」
会話の合間に突然、ボキリと骨の砕ける生々しい音が店内に響き渡った
店主も客たちも息をのむ
の肩に手を置いていた男の腕をマルコがへし折ったのだ
「・・・――っ!?」
声にならない悲鳴をあげてナンパ男は床に倒れる
自由の身になったの肩には今はマルコの手が乗せられていた
を守るようにマルコはグッと自分の方へ彼女の肩を引き寄せる
「てめぇ・・・!!」
「馴れ馴れしく人の女に手ぇ出すから悪いんだよい」
「ぶ、ぶっ殺、・・・す・・・、・・・っ!?」
怒りにナイフを抜いた男たちは、だがマルコの胸に刻まれたマークを見るや一瞬で顔色を青ざめさせる
「し、・・・白ひげの・・・!?」
「おぉう、さすがに知ってたかい」
「・・・ってことはまさか、その女も・・・っ!?」
ナンパ男たちは信じられない顔でを凝視する
は男たちと目が合うと、しれっとした顔で視線をそらす
それは肯定
「お、おい・・・やべぇよ逃げようぜっ」
「ちっ・・・くそったれが・・・!」
「あぁ、賢明だぁよい」
冷たい笑顔で微笑むマルコ
男たちは腕をへし折られた仲間を担ぎ、脱兎の如く店を去っていった
*
夜になっても活気のある明るい街の通り
「助けていただかなくても、あのぐらいの相手でしたら私一人でも大丈夫でしたのに」
パブを後にしてとマルコは港に向かって歩いていた
が前を、その2メートル後ろをマルコが追いかける
振り返ってもくれない、なんだか冷たいの背中を見つめてマルコは苦笑する
「助けてもらって礼もなしかよい」
「・・・ありがとうございました」
「心がこもってねぇよい」
「・・・」
はマルコに見えないのをいいことに唇を尖らせる
「逃げ出したのに・・・。どうして追ってこられたんですか?」
「んあ?」
「今夜はあの女性とお過ごしになるご予定では?」
「んな予定はねぇよい」
「もったいない。次またいつ陸にあがれるかわかりませんよ?」
皮肉に挑発、さっきマルコにやられた意地悪の仕返し
けれど、そんな心にもないこと、言えば言うほど軋むのは自身の胸
「部下の私の許可なんて必要ないはずです。どうぞご自由に。存分に大人の遊びでも楽しんでおいでに」
「部下じゃねぇよい」
饒舌なの言葉を切って捨てるマルコの一声
いつの間に距離を詰められていたのか、不意に手首を掴まれ歩みを止められる
「・・・なにを、」
「お前ぇを追いかけてきた理由なんざ決まってる」
「・・・?」
振り返り、は怪訝そうに首を傾げてマルコを見上げる
不意に掴まれていた手首を引っ張られ、は路地裏に連れ込まれた
「ちょ・・・!」
街の明かりが届かない店と店の間の細い路地
二人だけを包み隠す柔らかな闇、通りから少し外れただけなのにそこはもう別世界
「何なんですか!」とが毒づく暇すらなく
マルコに背後からきつく抱きしめられてしまい身動きがとれなくなってしまった
背中に彼の胸の熱さを感じての胸が揺れる
「放してください・・・」
「やぁだよい」
マルコの体温に胸が昂ぶる
ぎゅっと抱きしめられて密着した体、顔のすぐ横で聞こえる彼の呼吸
耳元でマルコが苦笑したのがわかった
「惚れた女に嫌いだと言われて平気でいられるほど俺は大人じゃねぇんだよい」
「・・・」
「なぁ、」
「・・・はい」
「俺はお前ぇが他の男といるだけで苛ついてしょうがねぇんだなぁ」
「・・・」
「お前は?俺が他の女と何してもいいって?」
「・・・」
「何も感じてくれねぇのかよい」
「・・・、・・・」
問いながらマルコの指がの顎のラインを撫でる
あからさまな男の嫉妬
熱すぎるくらいの愛を向けられは唇をキュッと噛みしめる
「・・・・・・別に何も」
「・・・」
「どうぞ隊長のご自由に・・・」
「・・・それ本気で言ってんのかよい」
「・・・・・・」
「なんでそこで黙るかねぇ」
否定できない沈黙は肯定を意味しているも同じ
マルコは力なく息を吐いて笑って呆れる
「素直になれよい。なぁ、・・・」
「・・・?・・・、・・・!」
声にならない驚き
の目が見開かれる
指をかけられていた顎をのけぞらされ突然首筋に彼の唇の感触を感じた
「なっ・・・隊ちょ、」
「少しぐらい妬いてくれたっていいんじゃねぇかい」
耳元で囁かれて全身の力が抜けそうになる
彼の唇が首筋のラインを何度もなぞる
体中の熱が一気にそこに集まっていく
「なに、を・・・っ」
「素直に妬いてくれねぇお前ぇに嫌がらせさ。唇にはしねぇから問題ねぇはずだ」
「悪趣味、です・・・」
「何とでも言えばいいさ」
首筋に降り続けるキスの雨
唇にするより質が悪い
マルコのキスは悪魔の口付け
彼女の吐く息の色が変わったことに気づきマルコはにやりと笑う
「感じるか?」
「別に・・・」
「頑張るねぇ」
蒼い炎を宿した目がにやりと笑う
唇が離れてがホッとした瞬間、マルコの赤い舌が彼女の首を下から上へとべろりと舐め上げた
「ぁ・・・っ!」
不本意ながら漏れてしまった艶のある声
は慌てて手で口に蓋をし、マルコは唇を上げて笑う
「善い声だ」
「・・・、・・・っ」
「俺以外の男に絶対聞かせるなよい」
それは獲物を捕まえた獣の微笑
一度味見をしたらとめられない
マルコの指がの服の襟を引っ張り肩までづりおろし、露わになった肩口に唇を押しつける
それからまた、今度は肩から耳裏までゆっくりと彼の舌が舐め上げていく
彼が与える快楽には耐えるしかない
「・・・、・・・ぁ・・・っ」
(おいおい・・・やべぇだろい、その顔は)
子どもだ乳臭いと商売女に嗤われていた娘が見せる快楽に耐える顔は
男の方が耐えなければすぐにでも理性を持って行かれそうになるほど艶があり
これがの女の本性
知ってしまったらもう引けない
「・・・早く」
「・・・っ、・・・?」
「早く俺のもんになってくれよい」
これ以上俺を苦しめないで
そこで僕はブラックアウト
嫌いって言ったのを訂正させるために追いかけてきたのにこれでは余計に嫌われるばかり
(逆効果なことしちまったよい・・・)
でも君の意外な一面が見られたから後悔はしてない
※意地悪マルコ隊長、獣心を露わにする
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