ドリーム小説
白鯨に似せた巨大帆船に乗り戦う、一人の娘がいる
「おー、また派手にやられたなぁ」
「・・・不名誉です」
エースに白い歯を見せて笑われ、頬をぷくりと膨らます
背中側、左肩から肩胛骨にかけて走る大きな切り傷はまだ血が止まらず、どくどくと生暖かい血が流れているのがわかる
「油断したな、」
「うぅ・・・、まだまだですね」
「あぁ。背中を取られてるようじゃまだまだだな」
「まだまだ、です」
「まだまだだな。一番隊副隊長さんよ」
「・・・ですね」
頑張って頑張って任されたその役職は一番隊隊長である「彼」の隣に立つことを意味するから
こんな情けない姿を彼に見せることはできない
「マルコは知ってんのか、お前のこの怪我」
「いえ、秘密にしてあります。知られたらきっと大騒ぎするから」
「あー・・・、うん。確かにな」
エースは苦笑して頬を掻く
マルコがの怪我を知ったら、きっと地の果てまでも彼女を怪我させた奴を探しに行く
そのくらいマルコはに対して過保護で、彼女への溺愛っぷりはすごい
だから今も怪我の手当てを隊長のマルコではなく友人のエースに頼んでいる
「お願いがあります、エース。もしできたら、しばらくの間私の傷を看てほしいのですが。背中なので自分ではどうにもできなくて」
「あぁ、別に俺はかまわねぇけどよ。でも船医とかナースの姉ちゃんにでも頼んだ方がいいじゃねぇか?」
「船医さんは医療日誌に怪我の記録しているので私の名前が残ってしまいます。ナースさんたちはですね、・・・残念ながら口が堅いとは言えないので。その点エースは信用できます」
「そうかい。ありがとよ」
何が何でも怪我したことを隠したい
の涙ぐましい努力にエースは苦笑する
「ほんじゃ傷まわりの汚れ拭くから、さらし外せるか?」
「え?あ、はい」
甲板に座り込み、は言われたとおり胸を締め付けていたさらしを外す
はらりと落ちる布の向こうには真っ赤な血を流す切り傷
けれどその傷を差し引いてもの肌の白さと細く浮き出た肩胛骨の美しさは光る
男なら生唾ものだが、友人のエースには下心がないことをはよくわかっている
「背中だけ看っから、前は隠してろ」
「はい」
「消毒する。化膿止めも含ませるから、結構しみるぜ」
「はい、大丈夫です」
大丈夫とは言ったが、エースが言うとおり消毒液の威力はすごいもので脱脂綿が傷口に触れた瞬間背中に激痛が走った
「・・・う、・・・っ」
「我慢しろよ」
「・・・うぅ・・・はいっ」
背中の消毒を終えると、エースは麻酔薬を注射器に用意して彼女の背中に麻酔を刺した
しばらくしての痛覚が麻痺してきたところで背中の傷口を針と糸で縫い始めた
「思ったよりでけぇ傷だぜ、これ。痕残るな」
「ですね」
「あーぁもったいねぇ。せっかく綺麗な体してんのに」
「ふふ。ありがとうございます。そんなこと言われたの初めてです」
「まぁできるだけ痕目立たねぇようには縫うけどよ。俺あんまり器用じゃねぇから、悪ぃけど期待すんなよ」
「いいですよ。治ればなんでもいいです。海賊なんですから、傷の一つや二つ今更」
「はは。美人で豪快、いいことだ。ま、痕が残ったとしても大丈夫だろう」
「?」
「傷だらけになったとしても、お前のこと嫁に貰ってくれる奴ならもういるだろ」
パチンと糸を切る音がして「終わったぜ」とエースに言われ、はゆっくりと首を後ろへ
目が合うとエースはにやりと笑ってきた
「マルコなら、お前がどんな姿になっても嫁にしてくれんだろうよ」
「・・・、エース・・・」
「ちっと年の差があるけどな。あいつならお前のこと大切にしてくれるぜ」
の耳が少しだけ赤くなる
「困ります・・・」と眉をひそめて恥じらう彼女の可愛らしいことといったらない
白ひげ含め年配の海賊たちにしてみたらまるで娘
若い世代の奴らにしてみたらまるで妹
はこの船の男たちに愛され大切にされている
けれどその筆頭にいるのは、おそらくきっとこの男なのだろう
「こんなところで何やってんだよい・・・お前ぇら」
「・・・!」
「・・・っ」
やたらとドスのきいた冷たい声が頭上から降ってきて、エースももぴきりと凍り付く
声がした方を見上げれば、積み上がった荷物の一番上で胡座をかき頬杖ついてこちらを見下ろすマルコがいた
いつも穏やかで飄々としているのに、今は目が据わっており額には青筋が浮いている
「お、おぅマルコ・・・」
「隊長・・・」
「他の奴らはみんな戦利品の取り分けしてて賑わってるよい」
「おぉ、そうか、そうだな。俺も早く行かねぇと」
「お前ぇら二人の姿だけ見えねぇからどうしたのかと思って探してたんだが」
「そうか、そりゃ悪かったな・・・サンキュ、」
「まさか二人でこそこそ密会たぁ、考えもしなかったよい」
「や、それは誤解でだなっ」
「実は隊長、エースは私の傷を、」
「真っ昼間っからの服ひんむいて、何やってくれてんだよい・・・え?エース」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
マルコの怒りは留まるところをしらない
彼の怒りはまぎれもなくエースに向いていた
愛しいを誘惑して強姦まがいのことをしている(と勘違いしている)エースに
(やべぇ・・・俺確実に消されるわ)
(・・・すみませんエース・・・、・・・)
誰かに愛されることは喜ばしい
けれど愛されすぎることへの不安を改めて再認識するなのだった
エースへの誤解が解け、マルコの怒りがおさまったのはそれから正味2時間後のこと
戦利品に賑わうモビーディックの片端で、蒼い炎の本気の攻撃と赤い火の本気の防御が繰り広げられていたとか
止まらない愛憎を止めて
(大切だから目の届くところに置いておきたいんだよい)
※初不死鳥さん
なのにエースの方が出張っている
マルコは溺愛です
自分以外の男にべたべた触られるのが許せない
ヤキモチやきな不死鳥隊長です(いつもとばっちりを受けるのはエース)
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